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【大人の童話】幻獣むかし話【無料版】不死鳥──フェニックス

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幻獣むかし話 あらすじ

「ユニコーン。ヴァンパイア。ドラゴン。あなたは彼らを知っている? もしかして知らない?この本はかつて存在した幻獣について書かれた本の切れ端。これを読めば彼らのことが少し分かるかもね。それと──あなた達人間がどう育ってきたのかということも。物語に順番は関係ないわ。だってこれは切れ端だもの。名前が気になった幻獣から見るのはどう?例えば不死鳥──フェニックスとか。え、私が何者か?それは気にしなくていいの。私は神でも幻獣でもなく人でもない。ただ、あなた達に近しい存在よ」

不死鳥──フェニックス

その黒い鳥は退屈していた。
神から冥界の番を任せられて鳴き声を上げて喜んだ日は遥か遠く昔。

今は黙って毎日やってくる魂を見送る日々。
おりこうな魂ばかりで門番はすることがなかった。

だから彼は下界に降りることにした。
そして人間を陰から観察することを新しい自分の仕事にしたのがつい先日のこと。

この時代、まだ神に創られたばかりの人間たちは純粋であり何も知らない。

人畜無害な二足歩行の生き物たちは全てを愛し全てに感謝して生きていた。

そんな生物を見ていて黒い鳥はここでも退屈だった。

けれど冥界に戻っても自分を待っているのは音のない世界。
ならば生きている魂を見ている方がマシだろうと黒い鳥は残ることにした。

初めは退屈な彼だったが採集をして狩を覚えて、村を作り毎日成長していく人間を見ていると情が湧いた。

黒い鳥にとってそこにいた人間はいつしか自分の子供のような存在になった。

そんな鳥は時々、人間の前に姿を現すこともあり彼の存在はすでに村中に知られていた。

ある日村から1人の女が彼に恐れず近づいてきた。

自然界で珍しい黒い鳥に何か神聖さを感じたのだろうか。 
女は近づくなり〝元気な子供が欲しい〟と彼に願った。

鳥はそれを了承すると自身の黒い羽に術を込めて渡した。

それから暫くして村中に男の子の元気な産声が響いた。

その産声が村中に広まるのと同時に願いを叶える黒い鳥の噂も広まったのだろう。人間たちは毎日彼の元へやってきた。

それぞれが鳥に願っては黒い羽を受け取った。
彼は大忙し、人間たちは幸せになった。

しかし、それから数年が経った時、村中の人間は急に弱ってしまった。

飢饉があったわけでも疫病が流行ったわけでもない。
ずっと村を見守ってきた黒い鳥は当然彼らが弱った理由を知っていた。

だから慌てることなく、その魂を冥界へ送ろうと黒いくちばしでついばんで回収していた。だが、鳥はその魂を誰にも渡したくなかった。

ずっと面倒を見てきたこの魂を神に触れさせたくなかったのだ。
そこでだ。鳥は魂を自分の体にとどめておくことに決めた。

最後に女の魂を回収すると黒い鳥はまた独りになってしまった。目の前には廃墟と化した村のみ。

だが黒い鳥は孤独でない。
彼の中には可愛い魂がいくつもある。

しかし鳥はもっと魂が欲しくなった。
彼はその黒い翼で世界中を飛び回った。

そして人々の願いを叶えては術──呪いを込めた自身の羽を渡した。
彼は長い年月それを繰り返して魂をいくつも集めた。

魂を溜め込んで獣のように大きくなった黒い鳥のところへある日、少年がやって来た。

「カタキを討ちに来た」と言う少年は願いを叶える黒い鳥の真実を知っていた。

不意を突かれた鳥は頭を矢で射抜かれる。

黒い羽に血がかかり鳥は死んだ。

──と、少年は思ったがなんと黒い鳥は起き上がった。
頭に刺さったはずの矢はドロドロと溶けて鳥の血と混ざる。

この時少年はもちろん黒い鳥ですら死んだ自分がなぜ起き上がったのか、分からなかった。

少年は恐怖のあまり矢を放ち続けた。
再び頭を射抜き赤い血が黒い体を塗りたくる。

それでも黒い鳥はなんどもなんども起き上がる。

頭を射抜かれる度に起き上がる黒い鳥は自分の体が軽くなっているのを感じた。

彼はその理由に気がついた。
たくわえていた魂が死ぬ度に自分の体から抜けていたのだ。

弓を放つ少年を見て鳥は笑った。

別に少年を哀れんだわけではない。
神が魂を欲しがるわけ、自分がおりこうな魂の番をしていたわけを知ったのだ。

〝自分は魂の番をしていたのではない。自分は魂を奪おうとするものがいないかの番をさせられていたのだ〟

そう思うと笑わざるを得なかった。

動かない鳥の頭に少年は最後の矢も頭に命中させた。
鳥が倒れるとすかさずナイフを構えて黒い喉を掻っ切る。

転がる頭と首から吹き出した血が少年ごと鳥の黒い体を真っ赤に染める。

真っ赤になった少年が拾い上げた矢にはまだ鳥の頭が残っていた。

その頭は少年を見て微笑む。
少年は恐怖のあまり矢ごと頭を放り投げた。

すると矢はまたしても溶けて鳥の頭と混ざる。
さらに頭を迎えに首を切られた真っ赤な体がやって来た。

頭と首が切断面を合わせると肉と肉を血の針が縫っていく。
それらが完全に合わさった時、黒い頭に赤い体の鳥が少年の前に現れた。

少年はナイフを握ったまま尻餅をついて動けない。
そんな愚かな人間に鳥は一歩一歩近付いた。

鳥は助けを求める少年の顔を凝視した。
何かを思い出したのか鳥は一言つぶやく。

「ああ、確かに元気な子供だ」

そんな言葉など届いていないほど怯えている少年の頭に鳥は食らいついた。
とうとう頭まで赤く染まった彼は完全に赤い鳥になっていた。

魂を喰らった赤い鳥は失った魂を取り戻すために今度は赤い翼で羽ばたく。

行く先々で赤い羽と引き換えに人々の願いを叶えた赤い鳥は後に不死鳥──フェニックスと呼ばれることになる。

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