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評論

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大学のレポートのような、割とちゃんとまとめたもののような。
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#石川啄木

石川啄木の、現代への警鐘

石川啄木の、現代への警鐘

 冒頭の1歌も含め、『一握の砂』は1~151までが「我を愛する歌」という小題でまとめられている。この「我を愛する歌」の最後の2歌について、ここでは論じたいと思う。

 筆者はこの2歌こそ啄木の歌の中で最も解像度の高い時代性・社会性を持った歌だと考える。冒頭の「東海の…」は、解像度よりも相対性を重視しているのに対し、この2歌は実際の人物や事件をそのまま題材としている。

 1909年10月26日、伊

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