
プロダクトとカルチャーの融合が魅せる未来 - Qastを支えるエンジニア3人の本音座談会 -
シリーズB資金調達記念 any的アドベントカレンダー🎄本日は第5弾!テーマは「プロダクト」です!今回は初の座談会形式でお送りします。
今回の座談会参加者
👤 柳川 愉恵(呼び名:柳川さん、ユエさん):any社員(2024年7月入社)、エンジニアリングマネージャー
👤 櫻井 郁也(呼び名:ふみやん):any社員(2021年9月入社)
👤 荒川 聖悟(呼び名:しょーご):any社員(2024年3月入社)
Qastの進化を支える開発メンバーが集まり、AI導入による新たな挑戦や、スタートアップならではの葛藤など、Qast開発のリアルを語り合います。anyのカルチャーがプロダクトにどのように息づいているのか、ぜひ最後までお楽しみください!
Qast初期フェーズ:スピードと柔軟性
機能をどんどん追加しながら、ユーザーのフィードバックを基に改善を重ねる。開発としてはスピードを意識し、手戻りや修正が発生することも多かったが、スタートアップらしい開発の進め方。
柳川:
ではまず初期のQastの開発についてお話を伺います。ふみやさんが約3年前に初めて出会ったQastは、どんなサービスで、どう変わっていったかを、ふみやさん目線でぜひ、教えてください!
櫻井:
エンジニアって情報共有するサービスへの感度が高いと思っているんですが、当時のQastは、正直に言うと「ナレッジサービスの一つ」という印象が強かったです。
他の競合サービスと比べても特別尖った部分がなくて、まだまだこれからという印象でした。でも、初期の開発チームは「まずは新機能をどんどん投入しよう」という方針で進んでいて、スピード感は抜群でしたね。
柳川:新機能!どうやって進めていったの?
櫻井:
当時は吉田さん(代表)、木村さん(Revenueチーム責任者)も入って開発を進めていました。機能の方向性が決まったら、エンジニアが主導でPjMもPdMも兼務して進めていくような形でした。当時は「どんどん試してみよう」という風潮が強かった気がします。
柳川:
そうなんだ!スタートで方向性を擦り合わせて、みんなで最速で作ることを意識していたのかな?
櫻井:
そうですね。開発としてスピードを意識していて、ユーザーからのフィードバックを受けて改善を重ねる形でした。もちろん、手戻りや修正が発生することも多かったですが、それが当たり前のスタートアップらしい開発の進め方でした。
荒川:
その柔軟性があったからこそ、Qastは初期段階からユーザーに近い形で進化できたのだと思います。その時期の試行錯誤がなければ、今のQastはなかったでしょうね。
櫻井:
今思えばびっくりするくらい試行錯誤だらけでしたが、個人的にはそのカオスが楽しかったです。みんなで何とかして形にしようとしていましたから。
AI導入による転換期:Qastが飛躍した瞬間
AIとナレッジサービスの親和性の高さに着目し、短期間で「メモ要約機能」や「ファイルtoナレッジ」といったAI機能を開発。これにより、ナレッジがより手軽に蓄積・検索できるようになり、ユーザーの利便性が大幅に向上。
柳川:
Qastが大きな成長を遂げるきっかけとなったのは、やはりAI導入だよね。その経緯や影響について詳しく教えてください。
櫻井:
そうですね。サービスとして尖ってきたのはQast AIからですね。2023年の秋頃からです。まずはベータ版としてお客さまに試していただきました。
荒川:
AI導入のタイミングは、社会全体のムーブメントと一致していました。ちょうどOpen AIが注目され始め、AI技術があらゆる分野で取り入れられていた時期です。Qastにとっても、AIはナレッジサービスとの親和性が高く、導入は自然な選択でした。
柳川:ナレッジマネジメントとAIの相性の良さってどういうところ?
荒川:
RAG(検索拡張生成)はナレッジマネジメントの一部のようなものだと思っていて、自然言語で検索できるということが大きなポイントですよね。
例えば、Qastの機能の1つである「ファイルtoナレッジ(ファイルからメモを自動生成する機能)」は、AIによる要約機能などが「情報を蓄積する」というプロセスを大きく促進してくれていると思います。ただ情報を貯めるだけでなく、それを簡単に引き出せるようにする。そういった仕組みがナレッジマネジメントに非常にマッチしていると感じます。
シンプルなキーワード検索だけでなく、自然言語でスムーズに検索できるという点が、ユーザーにとっても便利ですし、AIとの組み合わせで新しい価値を生み出せる部分だと思いますね。
櫻井:
確かに、「蓄積すること」と「探すこと」を人がやらなくて済むのはいいですよね。AIがそれを担ってくれるというのは、ナレッジ活用における最大のハードルを解消するポイントだと思います。
柳川:うんうん。これをやろうとなったのは、どういった経緯だったの?
櫻井:
その当時在籍していたエンジニアメンバーが、QastとAIの相性の良さを、OpenAIが出た直後から発信してくれていました。
柳川:
なるほど。開発側からAIとの相性の良さを発信して、プロダクトとして昇華させようとなったんですね。
櫻井:
AIの機能として最初にリリースしたのは「メモ要約機能」でした。これが開発期間1〜2ヶ月という驚異的なスピードで形になりました。その後、展示会に向けて「ファイルtoナレッジ」を2〜3週間で作り上げ、その後「こましりチャット」(困った・知りたいをチャットで自然言語で返す機能)も追加されました。
柳川:
anyにはAIに特化したエンジニアがいるわけではないけれど、そのスピード感でできたのはすごいことだよね。しかも、時代の波がすごく追い風になったところもありましたね。分かりやすくAIを起点に事業が伸びていったよね。
櫻井:
本当にそうですね。売り上げにも大きな影響を与えたましたし、Qastの存在感が一気に増しました。
荒川:
今のQastを支える基盤がその時にできたと言っても過言ではないですね。AI導入はまさにプロダクトのターニングポイントでした。

現在の取り組み:価値と精度を追求する日々
AI技術の進化をプロダクトにどう活かすや、精度向上に向き合えることはポジティブ。一方、スタートアップならではの制約の中で、いかに最大限の価値を提供するかとのバランスが難しさでもあり、面白さでもある。
柳川:
現在の開発チームが取り組んでいることについても話していきましょう!
ロードマップ開発を進める中、特に2人はAIチームにいますが、今、特に力を入れているのはどんな部分でしょうか?
荒川:
大きな柱は、やはりAI技術の進化をプロダクトにどう活かすかですね。特にLLM(大規模言語モデル)とナレッジマネジメントは相性がいいので、AI チームが行っていることは、最先端のものを追いながら、それでも負債にならないようにバランスも取りつつ、機能に組み込むことです。これが面白さですね。
柳川:
そうだよね。一方で最先端だからこそ、キャッチアップが大変だったりはしませんか?
日々技術が進歩しているから、リアルに次の日には革新的な技術進歩が世界に発表されていることもあるよね。
荒川:そうですね。それがね、楽しいんですよ!

柳川:
私から見ていると、精度向上が大変さの一つのようにも思えます。定量化していく事も含め、精度検証にすごく誠実に向き合っていると思うんだけど、向き合い続けることをどう捉えていますか?
荒川:
僕は精度に向き合えることをポジティブに捉えています。精度のことを議論できてること自体が、かなり贅沢な話のように感じています。
RAGは今すごく流行していて、同じようにアプリケーションを作りたいと思ってる人たちが多分世の中には大勢いると思うんです。ただ、RAGを自社サービスに組み込むにしても、その情報源となるドキュメントを執筆するといった基本的な機能を構築するのはとても大変です。
だけど、Qastにはそれがもうある。その土台があるからこそ、RAGに組み込めるし、精度について議論できるのも、お客さまの声をいただけたり、実際のデータもあるからできることなので、難しいことだけれども僕はポジティブです。そこで悩めることが嬉しいです。
柳川:うんうん。確かに。ふみやさんは?
櫻井:
僕もめちゃくちゃポジティブです。一方で難しいと感じる部分もあります。うちはスタートアップ企業なので、正直、莫大な時間や資金を投入できるわけではないんですよね。そんな中でも、お客さまに高い精度を提供しなければならないというプレッシャーがあります。
もし、僕がただのいちエンジニアとして、一切の制約なく自由に精度向上に向き合える環境なら、ただ楽しんで思い切り取り組めると思います。けれど、制約のある環境の中でもお客さまに最大限の価値を届けたいという気持ちは、きっと今いるメンバー全員が感じていることだと思います。それを考えると、大変さや苦しさはありますが、そこを楽しめる人こそ、本当にanyに向いている人だと思いますね。
柳川:
うん。今まさにそこで正直苦しんでるところもあるよね。精度検証はやり出したらいくらでもやれるし、一方で早くお客さまに価値を届けたいというバランスの難しさがありますね。
櫻井:そうです。僕たちは研究機関ではないので。
柳川:
価値を届けることが最優先だよね。でも、精度が低くて使われないものは価値とは言えない。そういう意味では、そのバランスを取るのが本当に難しいところですね。さらに、判断基準を明確に持つことができない部分があると、余計に難しさが増す。ただ、その難しさが逆に面白さでもある気がするね。
櫻井:
本当に面白いなと思いますよ。抽象度の高いものとか不確実性の高いものが多い!

組織の変遷:これから迎え入れたい仲間
現在は、プロダクトの価値を最大化するために、技術力と顧客視点の両方を持ち合わせたチームへと進化している。今後は、より技術に尖った人や研究職含め、多様な人が活躍できる環境を整えていきたい。
柳川:
ここからは少し話題を変えて、組織について話していきます。
これまでの組織の変遷について振り返ると、最初はやっぱり技術に特化した人たちが集まっていたと思います。自分でどんどんプロダクトを作って進められるような人たちが中心で、それがスタートアップらしい形だったんじゃないかなと思います。そういう中でふみやさんが入ってきて、学ぶことも多かったんじゃないですか?
櫻井:はい、本当に学べることがたくさんありましたね。
柳川::技術的な成長もかなり大きかったですか?
櫻井:そうですね。めちゃくちゃ成長できたと思います。
柳川:
そうだよね。ただ、チームとして見ると、メンバーが辞めていったこともあったよね。その中で、開発チームはどう変化してきたと感じていますか?
櫻井:
今のチームは、プロダクトと技術とちょうど半々で好きなメンバーが揃っていると思います。そしてチーム全体として「プロダクト軸」で動いている印象があります。
例えば、この取り組みがお客さまにどう反映されるかや、売上にどれくらい直結するかを常に意識しているメンバーが多いですね。お客さま視点を大事にしつつ、技術的な基盤をしっかりと支えられるメンバーで構成されている印象があります。
ただ、個人的には一つ思うことがあって、技術的な挑戦をしてくれるような人が増えてもいいかなと。例えば、AIとの相性が良いと早い段階で提案してくれたのは技術に尖っていて感度が高いメンバーでした。彼らがスタートポイントを作ってくれたおかげで、プロダクトが大きく成長できた部分がありました。
そういう技術に対する高い感度や尖りを持つメンバーがいる環境は、今後もぜひ維持していきたいですし、さらにそういった人たちが輝ける場所にしていきたいですね。
柳川:うんうん。
櫻井:
もちろん、プロダクト開発をしっかり進めることも大切です。ただ、それだけでなく、ゆくゆくは研究に特化して新しい可能性を探求するような人がチームにいても良いと思います。その点で、RAGなどの分野では、研究に特化したメンバーのほうが強みを発揮できるのではないかとも思います。
柳川:
そういう環境もいいね。プロダクトをしっかりと作り上げることも大切だし、研究に特化して新しいことに取り組む人たちがいても良いと思います。そういった多様な取り組みができる環境を整えられると理想的ですね。
未来のQast:理想のプロダクト像を語る
プロダクト自体がanyの企業文化を体現する存在となり、組織の課題解決に貢献する新たな価値を創出していく。今後も、Qastがチームで働く上で「なくてはならない存在」を目指し、進化し続ける。
柳川:
最後に、Qastをどんなプロダクトにしていきたいか、理想の姿を教えてください。
荒川:
僕は、RAGをもっと尖った存在にしていきたいと思っています。ただ、それ以外にも既存のドキュメントやナレッジマネジメントツールとは異なる強みを打ち出しつつ、anyのカルチャーとマッチするようなものを作れると、とても良いなと思っています。
例えば「Give&Give」(anyのValueの一つで、受容性をもって他者を受け入れ、見返りを求めずに思いやりの心を持つことを大事にしています)のような、ナレッジを書いてくれた人に感謝を伝えたり、ナレッジ共有を自然に促進するようなものにすることで、プロダクト自体がanyのカルチャーを体現する存在になれば、素晴らしいですよね。それがプロダクトとカルチャーの相乗効果として機能していく形が理想です。
Qastがanyの価値観を具現化したようなプロダクトになれば、独自の景色が見えてくると思います。
柳川:
本当にその通りだと思います。実は私も入社を決めた理由にその部分が大きく関係しているんです。マネジメントや組織作りをしたいという気持ちで入社したのですが、anyのプロダクトが自分が目指すチーム作りや「チームウィル」のような考え方とすごく親和性が高いと感じました。「自分がやることがそのままプロダクトに生かされる」と思えたのが大きかったですね。
そういう意味で、anyの核となるカルチャーがしっかりプロダクトに反映されている状態を作ることができたら、本当に素晴らしいと思います。私もそこに強く共感していますし、ぜひそういう形を目指していきたい!
荒川:ふみやんは?
櫻井:
個人的な意見ですが、ナレッジサービスって、新しい何かを生み出すという意味では、まだまだブルーオーシャンだと感じています。
例えば、それを通じて組織を強化するきっかけを作ったり、役員がそのデータを活用して営業判断を下せたりと、さまざまな可能性があると思うんです。そうした新しいテクノロジーや仕組みを生み出せるサービスに進化させることができれば、非常に魅力的だと感じます。それがセカンドプロダクトになるのかは分かりませんが、そういう方向性で尖らせていくのは「あり」だと思っています。
一方で、RAGを使って検索性を高めるだけだと、競争が激化している「レッドオーシャン」に突っ込むことになる気がします。大手企業が潤沢な資金や人材を投入してくるので、そこは非常に厳しい戦いになる気がします。
だからこそ、しょーごさんの話にすごく共感しました。anyのカルチャーと結びつけて、新しい価値を生み出すようなサービスを目指す、そういう方向性で進んでほしいというのが、僕の個人的な想いです。
柳川:
Qastが企業の中で「なくてはならない存在」になるといいよね。「会社に行ったらまずQast」という存在になれることが理想。
櫻井:
そうですね。いつもそばに寄り添ってくれるような感じで。
Qastがあることでコミュニケーションが活性化されて、チームで働く上でも「Qastがないと困る」と思えるような状態を目指したいですね。
柳川:
技術を進化させていくことももちろん大切だけど、Qastが痒いところに手が届くような、ユーザーに寄り添う機能を開発していくことも重要だと思います。その両方をバランスよく進めていけるといいね。

今回の座談会では、プロダクト開発の歴史から現在の取り組み、そして未来への展望まで、開発チームのリアルな声をお届けしました。Qastを通じて培われた技術とカルチャーの融合が、メンバーによって進化し続けています。
お客さまに価値を届けること、そして技術的挑戦を楽しむことへの強い想いが印象的でした。anyの未来を支えるプロダクトのさらなる成長に、ぜひご期待ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
🌿 お気持ち と お知らせ 📅
今回座談会にも参加した柳川です!
今回の座談会を通して、プロダクトのここまで歩んできた歴史や、そこに向き合う開発者たちの強い想いを感じていただけていたら幸いです。
私自身座談会に参加してみて、Qastの未来に非常にワクワクすることができ、お客さまにとってより価値の高いプロダクトをつくっていきたいという思いを強くしました。プロダクトはもちろんのこと、使用する技術もプロダクトチームの歩み方も日々ブラッシュアップしていくことで、私たち自身の手でQastの未来をつくっていきたいと思います!
そして、現在プロダクトチームのメンバーで、
any Product Team Advant Calendar 2024 に参加しています。
https://qiita.com/advent-calendar/2024/anyinc
プロダクトチームの開発プロセスのアップデートや、技術で開発を前進させた体験記など、様々な記事を発信しています。
個性豊かなプロダクトメンバーの記事となりますので、ぜひこちらもご覧いただけたらうれしいです!
anyでは共に事業を推進する仲間を募集中
候補者の方々にとって、これからは個人としても組織としても新しいチャレンジをしながら事業フェーズをダイナミックに変えていけるステージに突入していきます。最高のチームと、最高の仕事がしたい方のご応募お待ちしております。
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