
7.デンタルフロス
今までの人生でこんなにも外に出ないことがあっただろうか。いや、ないだろう。
現在モスクワは外出制限が掛かっており、もちろん音楽院はお休みで、外へ行くのは食料品の買い出しのときのみ。それも4日に1度くらいの頻度だ。
「着替えが面倒」「外出面倒」と思うことが多い、インドア派なのか引き籠り体質なのか、ただ面倒臭がり屋なのかわからない私でさえで、ここまで外に出ないことは初めてだ。
時間に余裕も出来た。生活にも余裕が出来た。今までの人生では朝はギリギリに飛び起きて、ベッドメイキングすらしないで1日を始めていたが、今はどうか。毎朝綺麗に布団を整えている。これまでの自分であったら"マジで"あり得ないことだ。
今の時代はネットがあるとはいえ、やはり外に出ないと何となく退屈である。毎日同じ道を歩いていても、その時の空の色や周りの音、人や車のの様子を楽しんでいたからかもしれない。
だから生活にちょっと刺激というか、何か新しい事を始めたいと思い、デンタルフロスを手にした。スーパーの売り場で唐突に。
私の生活にデンタルフロスが新たに仲間入りした。
今回購入したのは自分でカットするタイプ。プラスチック製の旗みたいな形のフロスは子供の頃に家にあったから使ったことはあるけれど、自分で切るタイプは初めて。ケチなので始めはほんの10cmくらいで切って使っていたが、指が滑って使いにくい。
しかし、パッケージをよく見たら25m入っているではないか。1日1m使っても1ヶ月近くはもつではないか……と、わかってからは1回20cmほどを切って使い始めた。
とりあえず、朝昼は普通に歯ブラシだけ使い、夜のみデンタルフロスも使って歯磨きをしている。丁寧に磨いたと自分では思っていても、デンタルフロスを使うと目に見えるカスがとれることもあってビビる。
10年ほど前、矯正治療をしていたときにはよく歯医者さんで歯磨きが甘いって怒られていたなぁ。こちとらちゃんと時間かけて磨いているつもりだったのだけど。そんなことを思い出した。
デンタルフロスが習慣になりつつある今。歯は天然の物を一生使いたいので大事にしていきたい。