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月刊アルバムレビュー 2021年11月号

①Snail Mail / Valentine

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いつ2枚目が出るのかと待ちに待って、満を辞してのリリースとなった本作。彼女の1stが出てからというもの「スネイル・メイルに続く」や「スネイル・メイル好き必聴」などの謳い文句でリリースされる作品のなんと多いことか。それだけの影響力を持っていながらほぼ沈黙していたこの三年。そして発表された新作は大幅にスケールアップした大作揃い。大人になった、とはいえ未だ二十歳そこそこの女の子とは思えない貫禄っぷり。表題曲”Valentine"のMVで見せる表情の演技の高さといいまだまだ計り知れない才能を持っているようだ。

②FUR / When You Walk Away

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オールディーズからグラムロック、00年代ガレージリバイバルまでを繋ぎ、20年代のUK音楽シーンを華やかにするバンドのデビュー作。多幸感のあるアレンジとひたすらにポップでキャッチーなメロディライン。ロックナンバーだけでなくレノン=マッカートニー風味のあるアコースティック・ミディアムもあり懐の深さが感じ取れる。Lemon TwigsやThe Strokes、はたまた毛皮のマリーズやThe Bohemians好きには超絶オススメ。

③Courtney Barnett / Things Take Time, Take Time

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インディ・シンガーソングライターの中でも大きな存在感のあるコートニー・バーネット3年ぶりの新作。これまでの90年代オルタナ/グランジな雰囲気も残しつつ、フォークやベッドルーム・ポップを取り入れており、彼女の声やメロディが際立つ作品になっている。

④Chime School / Chime School

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清々しいほど、底抜けにキラキラのギターポップ。80年代後半から90年代にかけてのネオアコ/ギターポップ好きにはたまらないサウンド。個人的にネオアコの理想形はEast Villageなのだが、かなりそれに近い雰囲気にひとつまみのドリーミーさを加えた感じ。

⑤Sei Still / El Refugio

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冷徹、鋭利、ミニマルな音像と低音ボーカルはポストパンクの美徳。ジョイ・ディヴィジョンやギャング・オブ・フォー由来のサウンドにMotoramaのようなロシアの雰囲気もあるが、実はメキシコのバンド。陽気なイメージの中米で鳴らされるダークウェイヴというのはミスマッチと思いきや、スペイン語との親和性は意外にも高かった。

⑥Robert Gorl & DAF / Nur Noch Einer

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ジャーマン・ニューウェーブの代表格DAFのロベルト・ゲアルが相方ガビ・デルガドの死後に作った新作。武骨なシンセと単純なリズムで没入していく感じはまさにDAFサウンド。やっぱりこういう音好きだなぁ。

⑦Riki / Gold

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ダークシンセポップ・プロジェクトの新作。80’s風のシンセポップサウンドをバックに妖しく美しく歌う女性ボーカルがなんともロマンチック。各曲なにかしらの余韻が残るラインナップ。渋谷系好きには馴染みがあるかもしれない”Porque Te Vas”のカバーも収録。

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