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宇宙(微小重力空間)で嗜むコーヒーは本当に美味しいのか?味覚について考察してみる。

宇宙で飲まれるはじめてのスペシャルティコーヒーを日本、奈良からプロデュースする。しかも、マイクログラビティ空間で抽出もする事の実現を目指しているのですが、果たして地上と同じように美味しさを感じる事が出来るのでしょうか?
今回はその疑問を私なりに考察していきたいと思います。

そもそも人間は美味しさはどう感じるのか?

五感で感じる事がトータルで美味しさになる。
味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚。というのは一般教養としてわかるけどそれ以外の部分もあります。
今までの体験からくる経験や今まさに味わう時の体験がそう。
宇宙で飲むコーヒーはその場の体験、青い地球を見ながら、重力に縛られずに飲むコーヒーはきっと特別でとても美味しく感じるのでしょう。

だがしかし、味覚の部分は本当に地上と同じように機能するのでしょうか?
味覚を細分化するとさらに甘味、塩味、酸味、苦味、うま味から構成される「五味」があります。
これを私たちの舌の表面にある「味蕾」という器官が味を感じとり神経に信号が送られ「味」として感じます。(舌以外の口の中に「味蕾」は存在しているそうです)

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味蕾は宇宙でも地上と同等に機能するのか?

1960年代前半、宇宙飛行士らは、宇宙にいるときに自分の味蕾が効果的に働いていないことを発見しました。
https://www.stem.org.uk/system/files/elibrary-resources/2019/02/TasteInSpace%20%28Japanese%29.pdf

かなり前から地球上とは味の感じ方が違うことがわかっているようです。
理由は”体液シフト”が起こることが一つ要因です。身体中の体液が地上では重力の影響で身体の下のほうにあるが宇宙空間だと身体中に均等になっていく。そうなると顔がむくんだり、鼻が詰まったりして味の感じ方が鈍くなる傾向にあるそうです。味蕾の働きに関しては未知な部分があるそうですが、味は全体的に薄味に感じたりもするそう。(宇宙飛行士により個人差があるそうです。)

となるとです。繊細でフルーティな浅煎りのコーヒーを宇宙で嗜むと薄く感じてしまう可能性があります。
スペースコロニーや月面居住空間とかなら問題はなさそうですが、ISSなどだと美味しいコーヒーも美味しく飲めない可能性があります。

ただ味をまったく感じなくなるわけではないので、それを見越したコーヒー生豆を選んで、焙煎プロファイルも調節すればちゃんと個性のあるコーヒーを宇宙空間でも嗜むことが可能だとも思いました。

エチオピアイルガチェフG1 FW  アリチャ001

産地からの物語がもっと美味しくする

冒頭の美味しさの感じ方に対する部分にて”体験”も影響すると記しましたが、あともう一つが学習からくる情報や経験なども影響します。

コーヒーの物語。

産地でたくさんの人の手によって育てられて、収穫され、海を渡り、焙煎され、そして宇宙までつながる。この壮大なスケールの物語は必ず”美味しさ”の重大な要因になるはずです。

マイクログラビティ空間でも、月面でも美味しくコーヒーを淹れて飲むという事を必ず実現させたいですね。「物語を宇宙まで」。

P.S. ワインやウイスキーの熟成はすでにISSなどで実験しているそうです。
もしかしたら宇宙でコーヒーを淹れるより「月面発酵 Moon carbonic maceration」とかプロセスの一部を宇宙でするってことの方が先に実現しそうです。

参考文献:
https://kagakucook.com/mikaku_shurui/


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