Antaa 〜つながる力〜
救急医が選ぶマイナーだけど重要な画像診断スライド3選
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救急医が選ぶマイナーだけど重要な画像診断スライド3選

Antaa 〜つながる力〜

救急外来において、診断や治療方針決定に画像は非常に重要ですよね。画像診断のスキルを磨くには、教科書などで学習しつつ、実際の画像を数多く読むことが重要です。見たことがある画像診断は比較的簡単にできますが、見なれていない画像は、いくら所見があっても見逃してしまいますよね。救急医をやっていると、時々見かけるくらいのマイナー画像だけど、知っておくべき画像がいくつもあります。

今回はAntaa slideで画像診断の勉強をしたことがある方は、すでにご存じの和田武先生のスライドを紹介しましょう。和田先生のスライドはとても質が高く、臨床に役立つ知識が詰まっています。その中でも救急医が知っておくべき、ちょっとマイナーだけど重要な画像診断についてのAntaa slideを3つ選びました。画像診断を勉強したい方は、ぜひご覧ください。

腹腔内出血の原因となる動脈瘤があったら、MALSは必ずチェックしよう

救急外来での腹腔内出血の診断は、緊急性が高い疾患のひとつです。外傷以外にも動脈瘤破裂や、腫瘍性病変の破裂による腹腔内出血もあるでしょう。どこから出血しているかの判断に加え、IVRなどの治療をする際に血管解剖は必須の知識です。

特に上腹部の血管解剖で時々見る腹腔動脈起始部狭窄の原因に、正中弓状靭帯症候群(median arcuate ligament syndrome:MALS)があります。MALSは膵十二指腸動脈瘤の原因になったり、IVRをおこなう時に腹腔動脈の起始部が狭くてカテーテルがかかりにくい原因になったりすることもあります。

スライドでは症例提示から始まり、MALSとは何か、膵十二指腸アーケードによる側副血行路が原因で動脈瘤ができるメカニズムを解説してくれています。狭窄部分は3Dや側面像、MIP像などのMRP画像を上手に使うことで狭窄がわかりやすくなるので、積極的に活用しましょう。腹部の造影CTを撮影した時には、血管解剖をチェックするクセをつけておくとよいですね。

Pseudo-SAHの見分けかたは病歴とCT値など、MRIもうまく活用しよう

Pseudo SAHは、CTでぱっと見た感じがSAHのように見えます。実際にはくも膜下に出血は起こっておらず、SAHの偽物の病態です。SAHの診断、見極めは緊急性も重症度も非常に高いですよね。Ppseudo-SAHは出血してないので、治療は経過観察や症状に応じた対処療法が中心になります。

Pseudo-SAHのまとめのスライドにあるとおり、pseudo-SAHは低酸素脳症などのびまん性脳浮腫などで起こります。ミエログラフィー後のpseudo-SAHの診断には、病歴が鍵です。救急現場ですとCPA蘇生後やautopsy imaging(Ai)のCTでSAHのような所見を認めた時、病歴から得られる情報は限られていることがあります。特に目撃者のいないCPAなどでは病歴による鑑別はほぼ不可能ですので、画像診断に頼らざるをえません。そのような時はCT値を測って出血のCT値なのか、MRIでT2*WIやFLAIRで出血の信号かで鑑別しましょう。

CTスカウト像も画像の一部、余すところなく診断に活用しよう

CT撮影時に必ずスカウト像ってついてきますよね。緊急時の撮影では、操作室で画像ができたらすぐに読影されている先生も多いと思うのですが、スカウト像が一番先に活用できる画像です。CTスカウト像も上手に使いましょうと提案してくれているスライドを紹介します。

スライドでは大動脈解離や肺がん、気腫性胆嚢炎、フルニエ壊疽が例に挙げられています。どれもスカウト像だけで診断する病気ではありませんが、CT撮影前に「おかしいな?」と思うことで、CT読影時により感度を高めて病変を拾い上げることができますよね。スライドで紹介されているリフトの金糸のように、思わぬ異物がスカウト像に映り込むことがあります。ぜひスカウト像も上手に活用してみましょう。

画像診断のコツは画像のプロから教わりましょう

画像診断が上達するコツのひとつは、読影専門医の先生が画像読影時にどこにポイントを置いて読んでいるのかを知ることです。武田先生のAntaa slideは今回紹介したスライド以外にも複数あり、質が高いものばかりです。Antaaには画像診断クラブというタグもあるので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。


執筆:すたば@救急医


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