なぜteshioniは職人を大切にしているのか

わたしたちはnutteというサービスを運営しています。

nutteは縫製職人のためのサービスです。
お互いの選ぶ権利を大切にし、職人側は「やりたい仕事を」「やりたいときに」受けられるシステムになっています。

その私たちがなぜteshioniをやっているのか。
どういうところがteshioniは職人さんのためのサービスであるのかを説明したいと思います。

ところで
まれに一般アパレルの方から「小ロットで生産できるならうちのもやってよ」と言われることがあります。

答えは【NO】です。

なぜNOなのか、この図をご覧ください。

原価率の図

上代とは【洋服を売る値段】です。
一般的なアパレルで行われる卸販売とは、百貨店やお店に出す料金と思っていただければわかりやすいかと思います。

駅の近くのあのビルに、いつでも買いに行ってもらえるための料金。ということです。
手数料のほかに場所代などもかかりますので、そういったものはブランド利益から捻出されています。

OEM・振り屋さん というのは生地・資材・工場などをまとめて管理や、場合によっては発注などもしてくれるところです。

メーカーやブランドの企画側から「この値段でこのぐらいの数量をいつまでに作ってください」と言われたら、つながりのある工場さんや仕上げ屋さんにお仕事をお願いして、手配をしてくれます。
メーカー側からは【モノを作ってくれる人】で工場側からは【仕事をくれる人】です。
メーカー側は想定の上代にはまるような原価で作って欲しい、工場側は工数と値段を合わせたい、それを折衷する役割もあります。

値段の交渉しかり、生地を動かすのもしかり、加工が入ればその分またモノを動かして、戻して、というような手間もしかり、間に入る人や業者も【少ないロットでやっていては利益が出ない】というのが一般論です。

そこで「小ロットでブランド運営をやっているteshioniなら小ロットでアパレルの下請けをやってくれるんじゃないか」と思われがちなんですが、同じではないのです。

原価率の図

しつこいのですがもう一度この図をご覧ください。
アパレルの生産を請け負うとなると、この図の中のOEM・振り屋さんという立場に該当します。これで成り立つのはあくまで大量生産だからです。1型で何万着作るのであれば、会社としては利益を合わせることができますし、工場だって潤います。
大量生産が前提の運営で成り立っているところに、生産だけを小ロットにしてしまったら、苦しむのは工場さんだって同じです。工場はあくまでラインの人数が空くなら無いよりマシなだけで、私たちがそれを請け負う必要性を感じません。

もっとも大事なことはいちばん下の【縫製職人の工賃】というところです。

あくまで割合の話ではありますが、縫製職人の工賃の割合が左右で全く違ってきます。

teshioniの場合、私たちが生地を発注し、私たちが職人に仕事を発注します。
デザイナーがSNSを通じて商品を説明し、販売します。
販売するためのweb上のお店を用意し、購入してもらったら私たちが発送作業をします。

一般的なアパレルでは何人もの人数で行う業務のほとんどを、我々とデザイナーとで行い、工数に合う工賃から原価を計算して、金額の設定をしています。

また、teshioniでスタートするブランドは【存在意義のあるブランド】であることと、【継続させること】を最も大切にしています。

職人にとって、大切なことは「毎月きちんと一定数の仕事がある」ということです。
単発で来る仕事では計画が立ちません。
同じく、仕事があるだけでもいけません。縫製するスタッフ全員にきちんと報酬を支払える状況を作り続けなければいけません。
nutteに登録する職人さんは1人または数人のアトリエであることが多いため、【縫製するスタッフ全員】という単位が大所帯の工場とはちがってきます。
ですから1つのブランドで10着から生産が可能になります。
それに、teshioniから仕事が行かないときは職人が自分でnutteで仕事を取ってくることもできます。
10着から作れるからこそ、ブランドもやり方を模索しながら数量を少しずつ増やしながら継続ができます。
そういうわけでnutteとteshioniは切っても切れない関係です。

毎月一定量の生産をするブランドを運営すること、
企画(デザイン)と工場を最も近くにつなげていること、
お客さまに熱量を持って販売することができるデザイナーがいること。
teshioniが「縫製職人を大切にしている」と言えるのはこの3つが揃っているからです。

【小ロットの生産をやっている】という言葉だけでは伝わらない中身の一部をご紹介しました。

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