見出し画像

切ナイ純愛ケータイ小説「名倉」

「はぁ。。。マジ彼氏に振られてガン萎えなんですケド」
ぁたしの名前は釈迦牟尼仏ユカ。JK2年生。昨日超愛してた彼ピッピに鳥肌実にガチ恋してることがバレて振られて超サゲって感じで落ち込んでる。全盛期の鳥肌実ならまだしも、今の鳥肌実にガチ恋はマヂで無いとか言われて、超ムカついて拡声器でこめかみをぶん殴ったらガチギレされてガラス灰皿で殴りかかられて、マジ気づいたらそこら中が血の海ってカンジんなって、片腕を失った彼ピに一方的に振られたってわけ。
ぁたしは左目の視力を失ったけど、まぁ片目ぐらい見えなくても気配で戦えるから超余裕。
「また振られたの?今月入ってもう80人目ぢゃん」
親友の笹本・ゴンザレス・田吾作子が呆れたように言う。
「まぢ人の趣味許容できない男多すぎなンだケド。ぁたしが実と守のこと愛してんの許せる男、どっかにいないカナぁ」
「守って誰?」
「宅間守」
「品がねぇ、萎え」
笹本が突然叫んだ。ぁたしはいつものことだから別に驚かなかったけど、近くにいた生徒がびっくりして窓から転げ落ちてウケた。
「はーあ、どっかにいい男いないかな。。。」
ぁたしは深いため息をついた。ヨルダン川よりも深くて、遠藤周作もびっくりの深さだった。そしたらその時……
「10歳になる、健太がワタシに言いました」
教室のドアをぶち破って、巨体の男が、太くて低い声で言った。子宮に響くテノールだ。
この、独特のイントネーション。。。間違いない。ぁたしはすかさずに「お父さん!オオクワガタが欲しいんだ」って返した。男がニヤリと笑った。
え。。。イケメン!ぁたしは股から液体が滴り落ちるのを認めた。すらっとした顎に、二重の形のいい目。しかしその眼光は狼のように鋭く、薄い唇はこの世の有象無象を嘲笑するように歪められている。まさに、若かりし頃の鳥肌実であった。
「おもしれー女」
男が言った。男の身長は2mぐらいあって、肩幅は30000mぐらいあった。小脇には血塗れの猪を抱えていてワイルドだったけど、もう片方の手にはタピオカミルクティーがあり、女子力も高くて痺れた。女の子ゎギャップに弱いんだゾ。
関係ないけど今これ電車で書いてるんやが、一人で怒声あげるジジイが乗っててマジ車内に緊張走ってる。
「抱いて!」
ぁたしは股ぐらをびしょびしょに濡らしながら叫んだ。男は猪の肉を噛みちぎり、タピオカミルクティーで流し込んで言う。
「今夜は寝かせぬ」
「ノゾミ、やったね!」
笹本がぁたしの肩をどついた。その振動で、ぁたしは脳震盪を起こしかけたけど、気合いでねじ伏せた。っていうかノゾミって誰?ぁたしは笹本の目を見たけど、その真っ黒な瞳にはもはや何も映っていなかった。
男はタピオカミルクティーと猪をクラスの陰キャ皆川くんに投げつけ、ぁたしの手を引いて走り出した。握力がヤバすぎて、ぁたしの手の骨は粉々になった。
ぁたしたちは、ひまわり畑でまぐわうことにした。何故か?そこにひまわり畑があったからである。ひまわり畑という、美しく清廉な夏の象徴を、人間の持つ性欲で、汚したくなったのである。
「フン、フン、フン、フン」
男はかの桜木花道のようにふんふんふんふん言いながら腰を振った。ぁたしは粉々になった手の骨を気合いで修復しながら言った。
「ひまわりの咲かない夏、あなたはどう思った?」
男は桜木花道を続けながら、答える。
「俺はああ言った叙述トリックは、好きじゃない」
なるほどな。あたしはすぐに反論材料を探したが、人の感想を否定するのは野暮というものだ。違う考えの人間の意見も尊重してこそ、ギャルというもの。ぁたしはそのへんの矜持はしっかり持ち合わせているつもりだ。
男は桜木花道をやめて、ひまわり畑の中であたしに挿入したままあたしをぐるんぐるんと振り回し始めた。
これは、きっと、試されている──。ぁたしは思った。
「例えるならば、限りなく透明に近いブルー、とでもいうところか」
言うと、男は顔を顰めた。
「あのような、低俗な文学気取りと一緒にされては、困る」
ぁたしは、これにはさすがに反論した。
「低俗? どこが? あれは、社会へのアンチテーゼや人間の虚しさ、欲望、醜悪さを凝縮したれっきとした崇高な文学作品よ。いわば、ロックなのよ。強烈な怒り、鬱屈、絶望的な虚無感を掻き鳴らす、ロックンロールなのよ」
「ふん、聞こえはいいが、それは君が深読みをしすぎているだけだ。まるで庵野と盲目信者を見ているようだよ。シン・エヴァンゲリオンを見たか? 何か意味深なことを書き散らかしておけば、あとは考察が趣味の陰気なフリークスが勝手に深読みして持ち上げてくれるのだから、楽なものさ」
「そう感じるのは、あなたが文字の表層だけをなぞっているからだわ。ただ書き綴られていることを目で追って、書かれていることが全てだと思い込んで、自分で考えようともしないからよ」
「読者自ら行間を読んでそれ以上を妄想し、作品を褒め称えろと? その妄想が正解だと、作者自身が言ったのか? 書かれていることだけを受け止めるべきだろう。もしも伝えたいことが大多数の読者に伝わっていないのなら、それは作者の力量不足だ。そんな作品は、作者のオナニーを見せられているのと、一緒なのだ」
は?マヂムカつくんですけど。男ってみんなそう。屁理屈こねて、ぁたしの意見なんて一個も聞いてくんない。。。萎えるわマヂ。一生リーマン予想でも証明しとけマジで。
ぁたしの濡れそぼった秘部が、2秒でカラッカラに渇いた。
──しかたない……殺(ヤ)るか……。
ぁたしが懐からトカレフを取り出そうとした瞬間、
「村上春樹なんかが、そのもっともたる例だ」と男が言った。
「え!待ってわかる。マヂ退屈の極み」
「ね〜(笑)クソつまらんゲボ吐きそう(笑)」
男が初めて無邪気な笑顔を見せた。
「それな(笑)」
ぁたしたちは、その後2000回ヤった。

それから中出しファックしまくって妊娠して男の元カノに突き飛ばされて流産とか着ぐるみとか別の男に出会ったりとか再開してまた妊娠したりとかちゃんと恋空っぽいこと色々してもうすぐ赤ちゃん産まれるぞーってなった時、男がヤバい病気で寿命5時間になった。
「嘘だよ!!嘘だよね!?」
ぁたしは彼の病室で泣き崩れた。
「ノゾミ……」
彼は悲しそうな顔をして言った。いや、ぁたしユカなんだけど。
「やだよ!!死んじゃイヤ。。。!あんたが死んじゃったら、ぁたしとお腹の子はどぅなるの!?」
「ノゾミ……」
「生命保険は!?入ってる!?ぁたしらまだ入籍してないから入っててもぁたしに一銭も入ってこないよね!?!!」
「ノゾミ……」
「貯金とかは!?残ってる!?母子手当出るとしたってシングルマザーはかなり苦しいとおもうんだけど!?ぁたし夜職とか絶対やりたくないんだけど!?だってぁたしは何かしらの才能を持ってるはずだからチャンスが訪れるまで適当にフリーターとかやってある日突然なんか偉い人に発掘されて大金持ちの超人気者になるシンデレラストーリーが待ってるはずなんだけど!?」
「ノゾミ……」
「貯金あるならさぁ今すぐおろしてこれない!?死後何日で口座凍結されるんだっけ!?医療ミスとか難癖つければ慰謝料もらえっかなぁ!?どう思う!?」
「佐々木希……」
アンジャッシュのコントって説明が多くてわかりやすい、易しいお笑いだよね。ほんまクソつまらんわ。あのさぁ、売れたからネタやらなくなる奴らは芸人じゃなくてタレントだからね。バナナマンを見習えよ。彼らはあんなにテレビで大活躍してんのに、未だに毎年俳優座でコントライブをやり続けてるんだよ。わかるか?この嬉しさが。あんなに全てを手に入れたのに、未だに尖り続けたネタをやり続けてくれる嬉しさが、お前らに、わかるかい?ぁたしは、俳優座の後方の席に座ってた東京03の三人の顔を思い出してニヤニヤした。豊本の不倫をネタにした03を見習って、アンジャッシュもトイレのネタをやらないかなぁ。。。そしたら、大好きになっちゃうょ。ぁたしらってなんやかんや、エンタ見て育ったジャンね。アンジャッシュのコント、大好きだったじゃんね。
「気合い入れろや」
ぁたしは彼の胸倉を掴んだ。胸倉って言葉には、名倉が隠れてる。ぁたしはそういう奇跡を、信じたいと思っている。
「ぬ」
彼が、目をカッピラいた。病室が光に包まれた。
「な、なんじゃあ!この光は!!」
解説役の隣のベッドのじじいが張り切り出したので、秘孔をついて眠らせた。眠らせたつもりが、心電図が0になっちゃった。いっけね!ぁたし、どぢっ子だから!そういうところが、人に愛される秘訣なの。完璧な女って、モテないから。わら
「わー病気が治ったよー」
「やったーやったー」
なんやかんやで病気をなんか上手い具合に治した彼とぁたしは、産まれたベイビーと仲良しに暮らしましたとサ!ハッピーエンド!
でもある日家にダンプカーが突っ込んできて皆死にました。人生って、そういうもんだから。スイーツ(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?