ある生命保険株式会社の普通保険約款によると、被保険者が放射線治療を受けた場合には次のように給付金を支払うことを規定しています。
Mコード
医科診療報酬点数による放射線治療には次のようなものがあります。なお、管理料は除いてありますが、RI内用療法はM000ー2 放射性同位元素内用療法管理料で規定されています。
普通保険約款において、M003電磁波温熱療法については、手術番号81番が設けられています。またM005血液照射は身体に対する照射でないので除かれます。さらに次のような規定があります。放射線治療は複数日数にわたって照射が繰り返されることから、これを一連として、60日に1回の給付とし、総放射線量を50グレイ以上としました。定位放射線治療治療、直線加速器を使う放射線治療、粒子線治療などについては、総放射線量を問わないことになっています。
普通保険約款における悪性新生物根治放射線照射の手術番号は88番です。総線量50Gy以上を基準としていましたが、コンピューターの画像診断技術を駆使して近年総線量を減らす取り組みが行われ、従来より少ない総放射線量での治療が行われるようになりました。
放射線治療の効果を上げるために照射方法の工夫が試みられているのは周知の事実でしょう。一般に全照射の場合、1日につき1.8~2Gyを週5日の割合で分割照射が行われます。総放射線線量が50Gyならば、25日間つまり5週間にわたって放射線照射を繰り返すことになります。
寡分割照射について
乳癌の寡分割照射は、 乳癌診療ガイドライン2021年3月改訂版によると、2011年米国放射線腫瘍学会(American Society for Radiation Oncology; ASTRO)によるガイドラインでは50歳以上、乳房温存手術後のpT1-2N0M0、全身化学療法を行っていないことを要件としており、これに準拠するようです。
乳癌のpTNM分類でpT1-2N0M0が要件ですから、術後の病理組織診断後で病期Ⅰ期とⅡ期の乳がんの乳房温存手術後が対象となります。またN0ですから、センチネルリンパ節生検(SLNB)が陰性(-)であるこが前提です。SLNB(+)は残念ながら非該当となります。
1回線量2.5~3Gy、10回2週間程度照射回数を減らすなどの臨床試験が行われ、わが国では乳癌でJCOG0906での2.66Gy、16回、総線量42.56Gy、前立腺癌ではH-IGRA Studyでの2.5Gy、28回、総線量70Gyが主に使われています。
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