【特許から見る】関西の夏の風物詩 鱧（ハモ）関連の出願トレンド

「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

たまたまYouTubeで「鱧の捌き方」についての動画が表示されました（おそらくきまぐれクックさんの動画をよく見ているから？）。

そういえば、関西で夏と言えば鱧だよな～と思い、鱧についてどんな特許出願があるのか調べてみました。

1. 意外と難しい鱧関連特許母集団検索式

鱧関連特許なんてすぐに見つけられるだろう、と思って

鱧+ハモ+はも

で検索したみたら・・・

おっと・・・たしかに「ハモ＋はも」だとうまくヒットしないですね。

というわけで、漢字の「鱧」で検索を行い、前後に登場するキーワードをチェックして、苦肉の策でこんな検索式を作成しました（データベースはPatentSQUARE）。

S2の近傍検索を行っても「はもちろん」、「はもはや」などがノイズとしてヒットしてしまうため、S3でNOT演算しています。

セミナー・講演等でもNOT演算はあまり使わないと公言しているのですが、今回は特別に使いました。もちろん、これだけヒット件数が少ないので目視でタイトル・要約・クレーム1を読んで、ノイズ除去してしまった方が早いと思います。

というわけで、期間限定なしで44件が鱧関連の日本特許・実用新案となりました。

2. 鱧関連出願動向－1位企業の出願内容は？

まずは44件の鱧関連特許の件数推移から見ていきましょう。

やはり件数が少ないので、コレといったトレンドはありませんね（特に出願がない年は飛ばしてしまっています）。こういう場合、横軸は単年ではなく5年区切りや10年区切りにすると良いでしょう。

10年区切りで再度マップ化すると、2000年代までは増加傾向にあったことが分かります。

続いて出願人ランキングを見てみると（1件の出願人は権利存続中の権利者のみを掲載）、

トップは共栄化学工業（事業としてはテクノーブル）で、累積4件で2件の登録特許があります。ちなみにこの2件はいずれも化粧品でうち1件は以下のような内容です。

特許第6704628号
化粧料
【課題】生体安全性にすぐれた天然物由来成分を含有し、さらには、格段にすぐれた美肌効果及び美白効果を奏し、かつ、使用感にすぐれた化粧料の提供。【解決手段】フトモモ科（Ｍｙｒｔａｃｅａｅ）バンジロウ属（Ｐｓｉｄｉｕｍ）の植物であるグアバから得られる抽出物、又は当該抽出物及びコラーゲンを含有する化粧料であって、格段にすぐれた皮膚のバリア機能向上効果、保湿効果、抗老化効果及び美白効果を奏し、さらに、肌に塗布したときの使用感にすぐれていることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲１】フトモモ科（Myrtaceae）バンジロウ属（Psidium）の植物であるグアバ葉の水と１，３−ブチレングリコールの混合溶媒抽出物と、ウナギ、アナゴ又はハモ由来のコラーゲンを有効成分として含有する皮膚のシミ、ソバカス又はくすみの予防及び改善用の化粧料。

ハモ由来のコラーゲンを有効成分に含有しているそうです。

鱧のコラーゲンについて調べてみると、再春館製薬のウェブサイトにいきついたのですが、再春館製薬が共栄化学工業から鱧コラーゲンを仕入れているかは不明。。。

原料図鑑：コラーゲン(鱧)｜老化研究所｜再春館製薬所

3. 鱧関連出願の概要

てっきり鱧の料理・調理関連の特許が出てくるかと思ったら、いきなり化粧品でした。共栄化学工業以外の企業の出願（直近20年）のテキストマイニング結果を見てみます（テキストマイニングはユーザーローカルのAIテキストマイニングを利用）。

発明の名称ベースでは

のようになり、鱧のぬめりを取るたるための出願や、蒲焼、切り身・カット関連の出願があります。

要約ベースでは

調理・加工関連のキーワードが目立ちます。

ちなみに、昔と今では出願内容に差があるのでしょうか？2000年以前と2001年以降の発明の名称で比較してみます。

2000年以前ではハモの骨切りまな板（特許3455947）や、

人工受精（特開平09-233965）、

（おそらく調理時に）麻痺させる方法（特開平11-318324）などがあります。

4. まとめ

鱧関連出願は44件と少なかったですが一応統計解析マップとテキストマイニングで分析してきました。しかし、今回のように件数が少ない場合は強引に統計分析などをせずに、タイトルや要約などを読み込んで整理・分析してしまった方が良いと思います。

いつもであれば毎月1-2回ほどは関西出張に行っているので、鱧料理も食べられるのですが、昨年・今年と新型コロナウイルス感染症の影響で出張の機会もなく、鱧が食べられないのは残念です。

あぁ、記事書いていたら鱧食べたくなってきた。。。