見出し画像

【特許から見る】ミスミグループの部品調達プラットフォーム「meviy」

「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

今週の日経ビジネスでミスミグループの部品調達プラットフォーム「meviy」が取り上げられていました。

私が部品調達プラットフォーム「meviy」について知ったのはものづくり太郎さんのYoutubeチャンネルです。

この動画見た時もすごいプラットフォームだなと思ったのですが、日経ビジネスを読んで、改めて部品調達における素晴らしいシステムだなと実感しました。

こういう記事を読むとすぐに「特許出願しているのかな?」と気になってしまいます、職業病ですね。

早速、Google Patentsを使ってミスミグループの出願を調べてみました。

画像1

出願人・権利者名で調べたいときは、トップページのブランクではなく、下にある[Advanced Search]をクリックして、

画像2

左側の[Assignee]に ミスミグループ と入力します。

画像3

「About 70 results」ですので、ミスミグループ自体あまり特許出願件数は多くないことが分かります。

ミスミグループのプレスリリースによれば、部品調達プラットフォーム「meviy」の提供開始が、2016年6月9日なので

画像4

Google Patentsの検索結果をSort byから[Newest]で並び替えます。

画像5

するとmeviyに関連しそうな特許が出てきました。

WO2020137896A1
部品選択システムのサーバ装置及び情報提供方法、並びに部品選択システム用のコンピュータプログラム
発注支援サーバのコンピュータにより、特定の製品に対応する製品型番を特定するために必要な情報を端末装置から取得する処理(S11、S14)と、取得された情報に基づいて特定の製品に対応する製品型番を特定する処理(S15)と、特定の製品に対応する構成部品データに基づいて、製品型番に対応する部品型番を、それらの型番間に設定された対応関係の規則に従って製品型番の変数部分の値に対応する部品変数部の値を確定しつつ特定する処理(S16)と、特定された部品識別情報を端末装置に提供する処理(S17)とを実行する。

画像6

これがmeviy関連特許かなと思ったのですが、よくよく読んでみるとCADデータをアップロードして受発注できるという特徴が開示されていませんでした。。。

実はプレスリリースをよくよく見ると、

画像7

なんと特許取得済と書いてあるので、登録特許があるはずです。

ということは出願人・権利者がミスミグループではなく、ミスミグループのグループ会社の可能性もあるのでミスミグループの会社概要からグループ会社を確認してみました。

画像8

まずは、株式会社ミスミで検索してみます(Newestでソート)。

画像9

下の方まで見ていくとありました!

JP6783280B2
自動見積方法及びコンピュータ
【課題】少ない試行回数で容易に見積結果をユーザの希望価格又は希望納期の範囲内に近づけることができる自動見積方法を提供する。【解決手段】自動見積方法は、アイテムを認識する工程と、製造条件ごとのアイテムの価格を取得する工程と、製造条件のうちの指定条件を認識する工程と、指定条件に対応する価格に基づいて、アイテム群の第1の価格を決定する工程と、希望価格を認識する工程と、製造条件のうちの固定条件を認識する工程と、製造条件を変更した場合に決定される価格の第1の価格に対する変動値を算出する工程と、変更した場合に決定される価格が第1の価格よりも希望価格に近くなる製造条件である推奨条件を検索する工程と、固定条件と推奨条件とその推奨条件に変更した場合の変動値とを報知する工程とを有する。

画像10

実施例中にも

なお、本実施形態の自動見積りシステムでは、アイテム群の形状データとしては、3DCADデータを用いている。しかし、形状データは3DCADデータの他、複数の2DCADデータ等、アイテム群に含まれるソリッドの形状を認識し得るデータであれば、他の形式であってもよい。

とあるので、meviy関連特許だと思います。

が、2016年6月9日発表のプレスリリースが既に特許取得済と記載があるので、時系列的につじつまが合いません。もっと古い特許があるはずだと思い、さらにさかのぼってみると・・・・

JP5753621B1
自動見積り方法、サーバ、及び、自動見積りシステム。

【課題】価格及び納期を考慮しつつ、アイテムの仕様をユーザが容易に決定することができる自動見積り方法を提供すること。【解決手段】自動見積り方法は、アイテムの形状データを取り込む第1工程(STEP02、形状データに基づいてアイテムの形状を認識する第2工程(STEP02)と、認識された形状に基づいて選択し得る製造条件を取得する第3工程(STEP06)と、製造条件及び対応する価格・納期を表示する第4工程(STEP08)と、製造条件の変更に応じて表示される価格・納期を更新する第5工程(STEP09,STEP10)とを備える。

【特許請求の範囲1】入力端末を介してアイテムの形状データを取り込む第1工程と、
前記形状データに基づいて、前記入力端末に入力された前記アイテムの形状及び寸法を認識する第2工程と、
認識された前記アイテムの形状及び寸法に基づいて、前記アイテムを製造する際に選択し得る公差を含む製造条件を取得する第3工程と、
前記製造条件を選択可能に表示端末に表示するとともに、表示された前記製造条件に対応する価格又は納期と、寸法及び公差を付した前記アイテムの3Dモデルとを前記表示端末に表示する第4工程と、
前記入力端末を介して選択された前記製造条件に応じて、前記表示端末に表示される前記価格又は前記納期と、前記3Dモデルに付された寸法及び公差とを更新する第5工程と
を備えることを特徴とする自動見積り方法。

画像11

この特許は2014年9月19日出願で、2015年7月22日に登録になっているので、プレスリリースのタイミングには既に権利化済みです。

なお、ウェブサイトの記事にはミスミグループ本社の大野社長のインタビュー記事は掲載されていませんが「2021年からは海外にも売り出す」とのことですが、このmeviyの基本特許については海外の対応出願はなく日本国内のみでした。

あと、特許だけではなく商標について確認しておきました。グローバルの商標出願を確認する際は欧州知的財産長(EUIPO)のTMViewが便利です。

トップページの商標名のところに meviy と入力して検索すると、

画像12

一部ミスミグループではない出願も含まれますが、ミスミグループが日本だけではなく海外にも meviy の商標出願は行っていることが確認できました。

画像13

日本はDX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れている、と言われることがありますが、ミスミグループのmeviyのようなデジタル技術を活用したサービスが今後もっと登場してくることを期待したいと思います。

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは情報収集費用として有効活用させていただきます!