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行政の可能性は無限大!プランナーとして企画力で街を元気にすべく複業に挑戦

大学生のときに「企画力で街を元気にしたい」と思い大学を休学し、エンタメを本場で学ぶために単身で渡米した池嶋さん。そこで知った社会起業家という生き方を体現すべく自治体複業に挑戦されました。

ご自身のプランナーとしての経験を自治体複業で活かそうと思った経緯や企画力をどのように街の発展につなげるのかについてお話を聞きました。

*プロフィール
池嶋 亮 氏/株式会社Playable代表
静岡県磐田市:シティプロモーションアドバイザー
兵庫県西宮市:SNSマーケティングアドバイザー

1988年大阪生まれ。大阪駅前の大型商業施設にてイベント企画、プロモーション施策立案、大型都市開発プロジェクトなどに従事。2020年4月に独立。企業向け研修の企画、謎解きコンテンツの制作などを行う。同年11月より香川県のコワーキングスペースSetouchi-i-Baseコーディネーターとして、イベントなど活動の全体企画を務める。また地元である松原市の観光・シティプロモーション課にも所属し、魅力発掘と発信に取り組んでいる。2023年2月株式会社Playable設立。

エンタメの力で街を活性化させたい

池嶋さんが磐田市に訪問した時に食べた海鮮丼の写真


ーー池嶋さんが自治体複業に挑戦しようと思った理由は何ですか?

自分が企画したイベントの力で町を元気にしたいと思ったことが、私がプランナーになった原点だったからです。

学生のころ、コンサート運営会社でアルバイトをしていて、エンタメが人を豊かにするうえで大きな力を持っていることを知りました。この経験がエンタメの力を街の活性化に役立てたいと思うようになったきっかけです。当時はリーマンショックの影響で元気がなかった地元大阪をエンタメの力で活気付けることが夢でした。

エンタメを本場ニューヨークで学ぶために大学を休学し、単身で渡米しました。縁あってイベント制作会社でインターンを経験することができ、その経験は帰国後に従事してきたイベントの企画や立案に大きく役立っています。

7年間ディレクターとしてプランニング会社に勤め、充実した日々を送っていたのですが、息子が生まれたタイミングで少し体調を崩し、しっかり今後のキャリアを考え直そうと退職しました。

コロナのタイミングも重なり、しばらくは個人事業主として活動しようと考えました。その中で、自分のやりたいことを体現できる地域創生や活性化の仕事を探しているときに、複業クラウドを見つけたことが自治体複業に挑戦しようと思った理由です。

ーー自分が持つスキルを使って社会貢献をしたいという思いが池嶋さんの原点だったのですね。

その通りです。そして、ニューヨークに渡った時に社会貢献をビジネスとしている社会起業家という存在を知りました。学生のころは漠然と「エンタメで街を元気にしたい」と思っていましたが、それをビジネスに結びつけることは出来ませんでした。

「社会を良くする=社会貢献=ボランティア」という認識が強かったからです。しかし、社会貢献をしながらお金も稼いで生きている人の存在を知り、自分もそうなりたいと思うようになりました。

ーープランナーとして働く傍ら、地元で臨時職員として働いていると聞きました。行政から見てプランナーが持っている企画力は行政にどのように役立つと思いますか?

自治体の広報活動の改善に大きく役立つと思います。
私は2年前から地元の大阪松原市の臨時職員として働いてきました。そこでは、観光・シティプロモーション課に所属していて、街の魅力発掘と発信に取り組んでいます。

実際に自分が行政という組織に所属してみて、行政が持つ可能性に気付きました。行政は定期的な人事異動などの仕組みの問題から、様々な分野で専門的なスキルやノウハウが不足しがちです。

しかし、逆に言えばそれを補うことができれば行政の出来ることの幅は広がるのではないかと思うようになりました。この経験を通して、自分の力を他の自治体でも使いたいと思うようになったことも磐田市のプロジェクトに応募した理由の一つです。

スポーツの街・磐田市をPRするために

磐田市内のジムに所属する格闘技の元世界チャンピオンとの記念写真

ーー複業クラウドでは多くの自治体複業の案件が公募されていますが、その中でも磐田市と西宮市の案件に応募した理由について教えてください。

磐田市の案件はスポーツの力で街を活性化するというテーマだったので、募集要項を見たときにすぐに興味が湧きました。実はオリンピックやW杯期間中は常に寝不足になるくらいスポーツが好きなので、自分の好きな分野で力を活かせそうな案件だと思い応募しました。

西宮市は磐田市のプロジェクトを通して、自宅から遠く中々現地に行けないもどかしさを感じたので、大阪から通いやすい自治体が良いなと思い応募しました。また、祖父の代から熱狂的な阪神タイガースのファンなので、本拠地・甲子園球場がある西宮市にはご縁を感じたのも応募した理由の1つです。

ーー今回は磐田市のプロジェクトについて詳しくお話を聞いていきたいと思います。磐田市の広報を担当する職員が抱えていた課題はどのようなものがありましたか?

発信するべきネタはたくさんあるのに、それを発信するノウハウが不足していたことです。磐田市はジュビロ磐田のホームタウンであることをはじめ、世界的に活躍するアスリートを多く輩出しており、全国的に見てもスポーツが盛んな自治体です。この強みに加えて豊かな自然や海の幸に恵まれていて、発信するべき魅力が多くあります。

しかし、街としてのプロモーションにその魅力を落とし込めておらず、宝の持ち腐れ状態になっていました。広報は情報をどうやってラッピングして届けたいところに届けるかが大切です。魅力が発信しきれていない現状を変えるために職員の方と念入りに打ち合わせしてプロジェクトのゴールを設定しました。

ーーその設定したゴールはどのようなものでしたか?

大きく分けて2つのゴールを設定しました。1つ目はスポーツにまつわるイベントの企画です。磐田市がスポーツの街であることをアピールするために大小さまざまな企画を考案しました。

たとえば任期中には実現には至りませんでしたが、全世代を対象にした体力測定のイベントを提案しました。老若男女問わず自分の50メートル走のタイムを知っている街って面白くないですか?もし、これが実現したら磐田市がスポーツが盛んな街であることを存分にPRすることができるのではないかと思います。

次に、「#いいわたし」(#を井と捉えて読むと「良い磐田市」になる)というハッシュタグを考案し、市民の方にSNSに投稿してもらう企画を提案しました。

街を盛り上げていくためには市民の方の力を欠かせません。このハッシュタグを市民の方が自主的に用いて自分たちの街のPRに使ってくれたら嬉しいです。

得意な分野で自分のスキルを活かす

職員に研修を行っている様子の写真

ーー池嶋さんが思うプロジェクトを進める上で一番大切なことは何ですか?

職員さんに自分のルールや価値観を押し付けない、それと信頼に値する人間になることが、一番大切だと思います。

たとえば信頼を築く前にアドバイスしても、職員の方から見れば「よく知らない人が何か言っている」という程度の認識になってしまいます。なので、きちんと職員の実情に向き合って自分について知ってもらい、まずはこの人になら頼ることができると思ってもらうことが重要だと思います。

ーー磐田市でのプロジェクトを通して一番印象的だったことは何でしたか?

実際に現地に行ったときに職員の方が温かく迎え入れてくれた事です。

案件の要件にはなかったのですが、どうしても現地が自分で見たくなり、実費でもいいからと現地に伺いました。

そのときに、サプライズで磐田市のジムに所属する格闘技のチャンピオンに会わせてくれました。私が大の格闘技好きであることを知った職員の方が企画してくれたそうです。もう二度と会えるチャンスは無いかもしれないと思い、記念に三角締めしてもらいました(笑)

プロジェクトの内容や成果に直接関わっている訳ではありませんが、職員の方が温かく受け入れてくれていることが分かる良い機会だったので強く印象に残っています。また、この経験を通し、成果がしっかり出せるようなプロジェクトにしようと改めて思う事が出来ました。

ーー自治体複業に挑戦したいと思っている人にメッセージをお願いします!

私自身も行政組織の一員として働いているため、行政が抱えている複合的な課題を実感しています。たとえばインターネットが浸透している現代社会ではSNSでの発信が大きな影響力を持ちますが、行政にそのノウハウはなかなか蓄積されません。今挙げた例は課題のほんの一部で、他にも様々な課題があります。そして、このような課題を外部人材だからこそ解決のお手伝いができるのだと思います。

私は磐田市でも西宮市でも幸運なことにプランナーとしてのスキルが活かせるプロジェクトに参画させてもらいました。自治体複業では自分が持っているスキルをいかに活かすことができるかなど、ニーズとスキルセットの相性がプロジェクトの成果を決めると思っています。私と同じ様に企画の力で一緒に日本を面白くする仲間が増えたら嬉しいです。

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取材、執筆:井原 沙樹

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