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何を再現するのか。

古着ならではの良さがあります。
それが何なのかと言われるとわかりません。
それ自体が持つ味や雰囲気はもちろんですが、ひょっとすると単なる希少性に惹かれているだけなのかもしれません。
重ねてきた時間経過は何物にも代えがたい・・。

何度か書いたことがありますが、洋服を作る者として古い洋服をそのまま再現するつもりはありません。
ただ古着は好きだし、そんなモノたちが育まれた時代も興味深い。
その空気感を自分のブランド内でどう表現するのか?またどのタイミングで、どう強弱をつけて届けるのか、そんなことを常に頭においてきました。
それと同時に、古着好きな人が自分のつくる洋服をどう見てくれているのか、気になるところではありました。

何年か前、とあるお取扱店様で販売イベントをさせて頂いた時のことです。店主からあるお客様のことをお聞きしました。
そのお客様は普段古着しか買わないんですが、先日珍しくアナザーの洋服を買って行ってくれたんです、と。
そのあと、そのお客様と直接お話しさせて頂くことになるのですが、打ち解けるのに5分とかかりませんでした。
古着好きな彼に私の目指すところが確実に伝わっていて、ありがたいことに共感いただきご購入までいただけている。
何が好きかより、どこを見ているのかがとても大切なんだと確信した瞬間でもありました。

今日、1着のスウェットパーカのサンプルが上がりました。
色、形、風合い、とても満足できる出来です。
5、6年ぶりとなるスウェットパーカ、前回は後の裾のつっぱる感じを強調させたマニアックなものでしたが、何人かのバイヤーさんには大変ご好評いただいたことを記憶しています。
万人受けしないことは重々承知しているけど、決して奇をてらったものではなく、その時自分が本当に着たいと思うモノをこれからもつくっていく。

この秋のanother 20th centuryにもご期待ください。

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