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「シトロンの弾けたのを指で持つ」


拝啓、すずめ園さま


すずめちゃんこんにちわ!あちちです‥

最近、眠る前アイスを半分食べるのにハマっています。たとえばスーパーカップ、以前はぺろりと一個平らげていたけれど、半分でもけっこう幸せだということを学びました🍨大人の階段を上った気持ちです‥



ちなみにスーパーカップはチョコミント味にハマっています。ハーゲンダッツのマサラチャイ味も美味しかったです。富豪になったらまいにち食べたいです
すずめちゃんはこの夏、お気に入りのアイスありますか🍨今度教えてくださいっ



前回のすずめちゃんの自由律俳句、砂浜を裸足で歩いた時みたいな情緒が、全体を通してありました‥夏についてのエッセイは物語みたいで面白いし、どの句もいつぞやの夏に通過したことのある時間や体験が散りばめられているようで、ほんのり懐かしい気持ちになりました。すずめちゃんの句「つないだら夏のてざわり」を思い出しました。

うたたねの肌が野球中継の音を吸う

すずめちゃんはしっとりとした夏の表現がとってもお上手です。見てないけど聴こえる野球中継を、「吸う」という表現に落とし込むことで、湿気の多い夏の空気感や、のんびりした夏休みの昼過ぎの情景が浮かび易くなっています。いつか体験したことのあるような記憶って案外思い出しづらいのに、すずめちゃんの句にはよく出てきます。現在と記憶と季節がひとつになって、こうやって句になるんだから自由律俳句は不思議‥


・たぶん同じ蚊にさされた

・信金のうちわで向かい風を作る

この二句の連なりが好きです。「たぶん同じ蚊にさされた」、蚊に刺されるのはとっても嫌だけど、一緒にいた人とおなじ場所をさされてたりしたら、ちょっとだけ笑っちゃうかもしれない。すごく痒いタイプの悪い蚊でも、この蚊は悪い蚊だね‥と言い合えたらとっても楽しそうだなと思いました。

二句目、直接的に夏だとは言っていないのに、爽やかさが透ける秀逸な句です。信金のうちわ、夏祭りで配っていたりする‥うちわで向かい風をつくるという表現、確かにと思いました。小さな小さな抵抗ですが、そこにはちゃんと違う向きの風が起きていますもんね🎐


・いつか縁側でする永いキスです

ほんわかハートフルな句‥ なんて可愛らしいの‥風で頬撫でられたみたいな気持ちになりました。「縁側」と「永い」があることで、パートナーと生涯歩みを共にするような、尊さみたいなものを感じました。物語ではよく、キスが誓いみたいにつかわれたりするけれど、この句にも同じ雰囲気を感じます

エロ自由律俳句を通じて知り合ったわたしたちですが、自主的に作りあったことはなかったですよね‥!

それではわたしもキスの句から始めてみようと思います💄


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ねえしてマスク越しの半キス

変なカクテルみたいな爪だね

 


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照れ照れて頬同じ色へ染まる

淡白な夜ですきみに会えない

湘南行きトムクルーズ似がふたり

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「照れ照れて」と「湘南行き」は先日のせきしろ句会で発表した句です。色がテーマの今回、すごく難しかったのですが、木下龍也さんやせきしろさんに感想を頂けたので、この二句は宝物になりました。肌の色にフォーカスしてみると、生活の模様や感情が透けていたりして、色ってただそれだけのものではないんだなあと思いました。たくさんの色を見つめていきたいな。




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この色はまだ食べれますか

納豆ご飯でしか癒せない悲しみ

もりそばの海苔を観察する会



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野菜だけのやさしいパスタで居たい

頬杖の形になって焼けました

クッションに好きなひとの居た残像

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もうだれも居なくならないで欲しいけど、朝は来て君は出ていって、涼しい部屋だけ此処にあるの



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シトロンの弾けたのを指で持つ



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爛々とぬいぐるみ散らばり星になる

ああ君も鞄持たない男の子

ルンバやっちまえ世界中の汚れを

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文字が身体から出て行かなくて身体だけ熱を帯びて、もやもやとしていることが多い日々だった。朝ごはんが大切なことを知って、ほんの気持ちだけコーンフレークを食べるようになった。蝉うるさいな夏は似合わないな、と思いながら外へ出る、チェリーピンクの口紅を指しておく。涼しさを求めて入るだけの喫茶店のアイスココアは当たり外れが結構あって、今日は当たりだったから、自分のためにはにかんでみた。おいしいからちびちび飲む、空白のあいだ埋めるみたいに、手遊びで水滴の輪をつなげてみる。目の前のあなたはずっと俯いている。落下したらガラスのテーブルに刺さりそうなほど、長い睫毛がそこにある。居てくれてありがとう、と思う。

世界のことを何も知らなくて、不自由さはあって、子猫になって窓の隙間から出入りできたらわたしは幸せだったのかな、って考えて結局、人のかたちで頑張って生きている、へたっぴ屋さん、わたしが落ちこんでいるとき、あなたは落ち込まないでね、と沢山の人の顔を見るたびに思って、幸せと悲しみを天秤に乗せて、悲しみの分だけだれかと美味しいものを食べて、笑いかけてもらって、そうして半分こ、優しい気持ちになれたとき、わたし生きていける気がする。


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句が全然出来なくて、悩んだ二週間でした。同じような日々でも、急に言葉が形にならないと、わーんって思ってしまいます。この二週間で見聞きしたこと、今は言葉にならなくても、いつかきらぴかになってくれたらいいなと思って、本を閉じるみたいに、今書き終えました。

もうすぐ二周年ですね㊗️これからもすずめちゃんと健康に、のんびりと自由律俳句を楽しめたらいいなと願っています。正直、二年という時間の中で想像もつかなかった嬉しいことだらけだし、ひだりききクラブがわたしの人生でいちばんのしあわせです‥

それではまたね〜すずめちゃん🐕


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つぎは7月27日 すずめちゃんの番です🍑


『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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