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いいこと以外は言いにくい

東京に出てきて、以前より映画館に行く機会は増えたものの、それでも年に数えるほど。そんな私がここ数日で3回も映画館に行った。多い。

観たのは、「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」、「海辺のエトランゼ」、「窮鼠はチーズの夢を見る」の3本。

ひとり暮らしで友達がいない私は、映画の感想を誰かに聞いてもらう機会がない。だから感想など、誰かに何かを話したいときはSNSで勝手に喋っていることが多い。そのほうが気楽だったりする。

だけど、今回観た映画のうち2本は微妙だった。世の中の人はどうだったのかと思い、Twitterで感想を検索してみた。「すごいよかったー!」「泣いたー」みたいな良い感想ばかり引っかかった。

わざわざ検索して、「微妙でした」という感想を見つけたのならまだいい。TwitterのTLなどで知りたくもないのに流れてきたら申し訳なさすぎる。これから見るのを楽しみにしている友人が目にしたら……と思うと、「微妙だった」という気持ちを置く場所が、そこにはなかった。

マイナスな意味を含む感想を誰かに伝えるのって難しい。

リアルでも似たようなことがあった。読んだことがあるマンガについておもしろいかどうかを聞かれた時のことだ。視点の問題で読みにくいところがあって素直に「おもしろい」と言えない作品だった。

「おもしろいは…おもしろいです……」

普通に「おもしろい」って言えよ!と自分でも思った(笑)  そんなに深く答えてほしいとか思ってないだろうに。なんで単に「おもしろい」って答えられなかったのだろう。私が微妙に思う気持ちなんて、相手には関係ない。余計な情報を与えたくない反面、嘘もつきたくないみたいな…。めんどうな奴。

微妙な意味合いを含む気持ちは他人に言うべきではないんだろうか。隠すものなんだろうか。でも、私はどこかに残しておきたかったんだよなあ。みんなは「感動した」「観に行った方がいい」って言うけど、そればかりじゃないと思うよって。だから久々にnoteを書いている。

随分だらだら書いてしまった。最後に映画の感想をば。(ネタバレするよ)

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

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復活のルルーシュを観た時と似た気持ちになった。みんながある程度満足できる作品って感じ。低いハードルを飛んだなというか…。がっかりはしないけど、期待を大きく超える訳でもなかった。テレビシリーズが一番良かったかな。

この映画で何を描きたかったんだろう。時代が進んで、手紙も廃れていくってアイリスが言ってたけど、それによる良さやそれでも変わらない手紙の大切さみたいなものがもっと見たかったなー。現実がこうも辛いことばかりだと、物語はハッピーエンドになりがちだ。ギルベルトが生きていて良かったはずなのに、ご都合主義って言えばいいのかな…。なんだか無理矢理感が否めなくて、「生きていてよかったね、ヴァイオレット…!」って思えなかった。残念。原作読んでないからわからんけど、今の京アニにはそういう結末(ハッピーエンド)以外を望むのはそもそも酷なのかもな。

個人的に一番納得できなかったのは、ヴァイオレットが最後まで「愛してる」を言わなかったこと。彼女の人生を描いてきて、それを一緒に見てきたはずなのに!と思っちゃった(笑)  まあプロポーズの言葉はふたりだけの秘密です的なことなのかもしれないけど。何見てきたんだろうってね、そこを余白するのかってね、思わずにはいられなかったよね。

良かったところは、水の作画。めちゃめちゃ綺麗だった!!!ギルの家の前で、ドアどんどんするときに映るヴァイオレットの足元と最後の海のシーンでギルが「愛してる」を言う前(だったはず)に海面だけのところがほんと綺麗だった~!サブタイトルが「あいしてる」だったのはもうそれしかねぇよな~っていう気持ちだった💯あと、パンフレットの原作者のコメントがめちゃめちゃよくてそこで泣いた。

「窮鼠はチーズの夢を見る」

10分遅刻したので冒頭は観れてない…。(それで感想言うのかっていうのは思ってくれ)まあ正直観なくてもよかったかなあ。原作は読んでません。

すげー気に入らなかったのが、大伴(大倉くん)がゲイの集まりに行くシーン。(原作にはないらしい)メインの2人を大倉くんと成田凌というイケメンで固めておきながら、ゲイクラブ?にいるゲイはゴリゴリのゲイしかおらんっていう。ファンタジーにするならファンタジーのままで頼むよ。マイノリティを題材にしといて、この映画は何がしたかったのかわからなかった。消費の仕方は考えた方がいいと思うこの頃。人の死にしろなんにしろもっとね。

今ヶ瀬(成田くん)の吸ってたタバコを大伴が吸って今ヶ瀬が嬉しなっちゃってるシーンは可愛かったです。

「海辺のエトランゼ」

めちゃめちゃ良かった~~!!!!!と声を大にして言いたい。原作を読んだことがある人、原作を好きな人が満足できる出来だったと思います。原作者が大きくかかわってるおかげだろうし、ちゃんと制作側も原作大事にして作ったんだと思う。(もっと大事にして欲しいのは、コミックに巻かれる帯のキャッチコピー。言いたいことはわかっちゃうけど、トゲがあるんだよなあ。)

キャラデザを作者がしてくれてるから作画がいいし、背景美術もすごくてめちゃめちゃ綺麗。空がすごい綺麗なんだよー!音楽もとってもいいし、入るタイミングが神がかってた。原作の間(ま)とかも再現されててすごかったなあ。

舞台挨拶で、エトランゼがそのまんま映像になってますって言ってた通り、本当に原作の雰囲気が映像になってた。駿役の村田さんが是非春風も!って言ってて、キャストがそう言ってくれる作品っていいなあ、とも思った。

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パンフレットも素敵だった!見返しがついてるパンフなんて初めてだった~!洒落てるー!背景美術とか音楽のこととかも載ってるパンフでありがたかった~。

エトランゼを布教してくれた先輩ありがとう…!気になっている人!観に行って!!!!!

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