ミュージカル「SIX」の「Don’t Lose Ur Head」を訳してみた(試訳:ご意見ご感想叱咤お待ちしています)

お待ちかね?アン・ブーリンのパートです。いやあ苦しみました。多分いつも以上に誤訳まみれです。出でよ識者。我を救いたまえ。

[ANNE BOLEYN]
Grew up in the French court
Oui oui bonjour
Life was a chore
So

[アン・ブーリン]
私、フランスの宮廷で育ったの
ウイ・ウイ・ボンジュール
私の人生、七面倒くさいことばっかりだった
だから

[Chorus]
She set sail

[コーラス]
彼女は出帆した

[ANNE BOLEYN]
1522 came straight to the UK
All the British dudes lame

[アン・ブーリン]
1522年にイギリス※1にまっすぐやってきた※2
イギリスの男ってみんなつまんない

※1 当時は勿論UK(United Kingdom)とはいわない。
冒頭の152「2(two)」「came」と韻を踏んでいるのではないか、という説あり。

※2 アンはイギリス人ではあるが、ベルギー、フランス育ちなので「来英した」イメージなのかも。

[Chorus]
Epic fail!
Ooh

最悪!!

[ANNE BOLEYN]
I wanna dance and sing

[アン・ブーリン]
私は歌って踊りたいの

[Chorus]
Politics

政治

[ANNE BOLEYN]
Not my thing

[アン・ブーリン]
私の領分じゃないわ

[Chorus]
Ooh

えー

[ANNE BOLEYN]
But then I met the king
And soon my daddy said
"You should try and get ahead!"
He wanted me, obviously
Kept messaging me like every day
Couldn't be better then he sent me a letter
And who am I kidding
I was prêt à manger

[アン・ブーリン]
でも、そこで王に会ったの
で、すぐ父は言ったわ
「(王に)モーションをかけるべきだ!そして成り上がれ!」
彼は私を求めたわ、だれが見たってね
毎日のように私に連絡をとってきた
手紙1通だけ送ってくるより最高じゃん
そう、私は「まさに食べごろ」※3だったの
我ながら何言ってんだか

※3 prêt à manger=フランス語で「できたての食事」
イギリス好きの皆様はご存じ、どこにでもあるファーストフードチェーンの名でもある。
トマトスープがおすすめです(個人の意見)
フランス帰りのアンの台詞としては相応しい…か?

[Chorus]
Ooh

えー

[ANNE BOLEYN]
Sent a reply

[アン・ブーリン]
返事を送ったわ

[Chorus]
Ooh

おー

[ANNE BOLEYN]
Just saying ’Hi'

[アン・ブーリン]
一言だけ、「ハーイ」って※4

※4 アンは結婚までヘンリーとベッドを共にすることはなかった。
それどころか、7年もの間キスも許さなかったとのこと。

[Chorus]
Ooh

おー

[ANNE BOLEYN]
'You’re a nice guy
I'll think about it maybe
XO baby'

[アン・ブーリン]
「あなた、いい男ね
考えとくわ、そのうちね
キスとハグと共に ベイビー」

[Chorus]
Uh oh

へー、ほー

[ANNE BOLEYN]
Here we go

[アン・ブーリン]
さあ行くわよ

[Chorus]
You sent him kisses

彼にキスを送ったのね

[ANNE BOLEYN]
I didn't know I would move in with his missus

[アン・ブーリン]
彼の奥さんのところに転がり込むことになるなんて知らなかったの※5

※5 アンはキャサリン・オブ・アラゴンの侍女だった。

[Chorus]
What?!

へ?

[ANNE BOLEYN]
Get a life!

[アン・ブーリン]
人生楽しまなきゃ!

[Chorus]
You're living with his wife?

彼の奥さんと一緒に暮らしてたの?

[ANNE BOLEYN]
Like, what was I meant to do?
Sorry, not sorry 'bout what I said
I'm just trying to have some fun
Don't worry, don’t worry
Don’t lose your head
I didn't mean to hurt anyone
LOL
Say ’Oh, well!'
Or go to hell!
I'm sorry, not sorry 'bout what I said
Don’t lose your head

[アン・ブーリン]
そうねえ、私はどうすべきだったんだろ?
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
ただ、ちょっと楽しもうとしてるだけなの
気にしちゃだめ、気にしちゃだめ
まあ、落ち着いて※6
誰かを傷つけようなんで思ってなかったの
(爆笑)
まあいっか!って言ってよ
それともくたばっちまえ!かしら
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
まあ、落ち着きましょうよ

※6「Don’t lose your head」=冷静になってね、落ち着きましょう
勿論、彼女の末路を暗示…というかそのまんま表している。

Three in the bed
And the little one said
"If you wanna be wed
Make up your mind!"
Her or me, chum
Don't wanna be some
Girl in a threesome
Are you blind?

ベットに寝てた3人※7
その中のちっちゃいのが言いました
「もし私と結婚したいのなら、心を決めてよ!」
彼女か私か、ねえあなた
3P※8のなかの一人の女、になんてなりたくない
あなたの目は節穴なの?

※7『ベッドに10ぴき』という数え歌から。
There were ten in a bed
And the little one said
"Roll over, roll over"
So they all rolled over
And one fell out

ベッドに10ぴき寝てました
一番小さい子がいいました
「あっちへ転がって、あっちへ転がって」と
それで、かれらは全員ころころ転がって
(端っこの)1ぴき、転がり落ちちゃった

3人、は勿論ヘンリーとキャサリン、そして「ちっちゃいの」ことアン。

※8  3人とベッド、とくればまあ、アレですね。アレ。

[Chorus]
Ooh

[ANNE BOLEYN]
Don't be bitter

[アン・ブーリン]
怒んないでよ

[Chorus]
Ooh

[ANNE BOLEYN]
'Cause I'm fitter

[アン・ブーリン]
なぜって私は魅力的※9なんだから

※9 解説サイトには
「‘Fitter’ is commonly used British slang, meaning someone is attractive.」
とある。

[Chorus]
Ooh

[ANNE BOLEYN]
Why hasn't it hit her?
He doesn't wanna bang you
Somebody hang you

[アン・ブーリン]
どうして(私のやったことが)彼女(キャサリン)に痛手を与えなかったのかしら?
彼はあなたとなんかヤりたくないのよ
だれかがあなたを縛り首にしてくれるわ※10

※10 解説サイトより、同じ時期を描いたドラマ「The Tudors」の中で、侍女のアンが「私はキャサリンなんてどうでもいい。自分のご主人様と認めるくらいだったら縛り首になってくれた方がまし」というセリフがあるとのこと。実際、アンはこれに近いことを言ったと伝えられているとのこと。
勿論、縛り首hangは前段のbangとかかっている。

[Chorus]
Uh oh

[ANNE BOLEYN]
Here we go

[アン・ブーリン]
行くわよ

[Chorus]
Your comment went viral

あんたのコメントはバズった

[ANNE BOLEYN]
I didn't really mean it
But rumours spiral

[アン・ブーリン]
ほんとにそんなつもりじゃなかったんだけど
けど、噂って渦巻くものだから

[Chorus]
Wow Anne, way to make the country hate you!

わお、アン、一国を敵に回すやり方ね!※11

※11 当時のイギリス人たちはキャサリンに対し同情的で、アンに対する世論の風当たりはきつかったという。

[ANNE BOLEYN]
Mate, what was I meant to do?
Sorry, not sorry about what I said
I'm just trying to have some fun
Don't worry, don't worry
Don't lose your head
I didn't mean to hurt anyone
LOL
Say 'Oh, well!'
Or go to hell!
I'm sorry, not sorry 'bout what I said
Don't lose your head

[アン・ブーリン]
ねえ、私はどうすべきだったのかしらね?
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
ただ、ちょっと楽しもうとしてるだけなの
気にしちゃだめ、気にしちゃだめ
まあ、落ち着いて
誰かを傷つけようなんで思ってなかったの
(爆笑)
まあいっか!って言ってよ
それともくたばっちまえ!かしら
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
まあ、落ち着きましょうよ

Tried to elope
But the Pope said 'Nope!'
Our only hope was HENRY
He got a promotion
Caused a commotion
Set in motion the C of E

駆け落ちしようとしたんだけど
教皇様は「だめ」っていった※12
私たちの唯一の希望はヘンリー
この騒ぎのおかげで彼は昇進※13
CオブEを始動させてね

※12これまたご存じの通り、ローマカトリック教会はヘンリーの離婚を許さなかった。
PopeとNopeの韻踏み。

※13 CオブE、つまりThe Church of England(英国国教会)のこと。
彼はこの教会の首長「Supreme Governor of the Church of England」となる。
「昇進」はこのことを指している。

[Chorus]
The rules

決まりは決まり

[ANNE BOLEYN]
Were so outdated
Us two wanted to get X-rated

[アン・ブーリン]
すっごく時代遅れな話だけど
私たち、二人共「R18」のお墨付きが欲しかったのよね※14

※14 何度か書いているが、アンは結婚するまでヘンリーに体を許さなかった。というわけで、get X-rated(「R18」認定)はつまり結婚するということ。

[Chorus]
Soon
Excommunicated

あっという間に
破門された

[ANNE BOLEYN]
Everybody chill
It's totes God's will

[アン・ブーリン]
みんなお静かに
それ(この結婚)は神の意志を担ってるの

[WEDDING CHIMES]

Henry's out every night on the town
Just sleeping around like "What the hell?"
If that's how it's gonna be
Maybe I'll flirt with a guy or three
Just to make him jel
Henry finds out and he goes mental
He screams and shouts like
So judgemental!
You damned witch
Mate, just shut up!
I wouldn't be such a b...
If you could get it up

[アン・ブーリン]
ヘンリーは毎晩、街に出て行って
マジかよ、ってくらい誰とでも寝てる
それが本当にそうなら
そうね、私は一人、いえ三人と※15いちゃいちゃしてやる
ただ彼に妬かせるためだけに
ヘンリーは気づいてブチ切れた
彼はそりゃもう強烈に※16叫んで怒鳴った
このクソ魔女野郎※17
ちょっと黙って!
私はそんなあばずr…じゃない※18
もしもあんたがヤれてたなら…※19

※15(解説サイトより)ヘンリーは、アンが複数の男性と関係を持ったという咎(だけではないが)で告発している。
その中には実の兄弟、ジョージも含まれていた。彼女が少なくとも二人の男性と少々「浮わついた」関係にあったことは確からしい。ただ、そのお付き合いは宮廷内の疑似恋愛的なレヴェルどまりであったのではないかと考えられる、とのこと。

※16 judgemental=一方的な判断をする、の意。ヘンリーの強引な告発→処刑を思わせる。

※17(解説サイトより)アンは実際魔女裁判の告発を受けたことはなかったが、彼女が実は魔女である、というまことしやかな噂は市井の中で広がっていた、という。

※18アンも一応は王妃なので、Fワード(ここではbitch)を言いよどんでいる。

※19(解説サイトより)アンがヘンリーに告発された「罪」のうちの一つに、ヘンリーが性的不能者であるといいふらした、というものがあったらしい。

[Chorus]
Uh oh

おお

[ANNE BOLEYN]
Here we go

[アン・ブーリン]
行くわよ!

[Chorus]
Is that what you said?

それがあなたの言ったことなの?

[ANNE BOLEYN]
And now he's going 'round like
"Off with her head!"

[アン・ブーリン]
そして遂に、彼は(ご存じ、私と言えば例のアレに)取り掛かった※20
「彼女の首を切っておしまい!」※21

※20 超意訳。going 'roundはgo aboutと解した。
※21(解説サイトより)『不思議の国のアリス』のハートの女王の台詞として有名だが、もともとはシェイクスピア『ヘンリー8世』の台詞なのだそうな。

[Chorus]
No!

うそ!

[ANNE BOLEYN]
Yeah, I'm pretty sure he means it

[アン・ブーリン]
ええ、彼が本気だってことは間違いないわ

[Chorus]
Seems it

そうみたいね

[ANNE BOLEYN]
What was I meant to do?

[アン・ブーリン]
私はどうすべきだったの?

[Chorus]
What was she meant to do?

彼女はどうすべきだったの?

[ANNE BOLEYN]
Like, what was I meant to do?

[アン・ブーリン]
私はどうすべきだったの?

[Chorus]
What was she meant to do?

彼女はどうすべきだったの?

[ANNE BOLEYN]
No, but what was I meant to do?
Sorry, not sorry about what I said
I'm just trying to have some fun
Don't worry, don't worry
Don't lose your head
I didn't mean to hurt anyone
LOL
Say 'Oh, well!'
Or go to hell!

[アン・ブーリン]
ねえ、私はどうすべきだったのかしらね?
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
ただ、ちょっと楽しもうとしてるだけなの
気にしちゃだめ、気にしちゃだめ
まあ、落ち着いて
誰かを傷つけようなんで思ってなかったの
(爆笑)
まあいっか!って言ってよ
それともくたばっちまえ!かしら

[Chorus]
Just go to hell!

ただただ、くたばっちまえ!

[ANNE BOLEYN]
Sorry, not sorry about what I said

[アン・ブーリン]
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね

[Chorus]
Sorry, not sorry about what she said

彼女は言ったことについて悪いとおもってない、ごめんね

[ANNE BOLEYN]
Sorry, not sorry about what I said
Don't lose your head

[アン・ブーリン]
昔言ったことは悪いと思ってないわ、ごめんね
まあ、落ち着いて

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