午前0時のシュークリームの裏に隠しきれなかった2人の秘密
昨日の夜、夫の帰宅を待ちきれずネコとうたた寝していると、午前0時にさしかかろうとするころ玄関の鍵が鳴った。
ドアが開いて「ただいま」の声と共にご機嫌な夫登場。普段から常にご機嫌な人なのでいつもとの差が分かりにくいが、なんとなくハッピーオーラが出ていて嬉しそうな雰囲気だった。
寝ている私を見つけてドタドタと近づいてきて、左手に持ったビニール袋をシャカシャカと振っている。
ー(シャカシャカ)☺️
ーおぉ…おかえり〜疲れたでしょ。
ーこれ!(シャカシャカ)
ー何それ…シュークリーム!?どしたの。
ー疲れたけど、いい事あったからシュークリーム買ってきた!
ーいいこと?珍しいね。
ーうん、そう。珍しい。笑
夫はトラックドライバーで、以前は会社の立ち上げメンバーとして管理職のようなこともしていた。色々あって今はバイトで気楽に働いている。
ー今日さ、車庫に帰ってきたらさ、事務所にバイトの子達が集まってて。どんな話してるのかな〜ってのぞいてみたら、みんなで写真見せ合ってるの。
ー何の写真?
ー業務の一環で、走行の記録として写真を撮らないといけないんだけど、その写真。
ーあ〜前なんか、一番いい感じに撮れた人は千円もらえるみたいなキャンペーンやってたやつ?
ーそうそう(笑)もう今はやってないんだけどね。でもみんな仕事終わって帰ってきて、今日はこんな写真撮っただの、前こんな良い写真が撮れただの話してるの。
ーへぇ〜、なんか微笑ましいね。
ーそう。その光景がすっごく嬉しくて。俺が目指してたものって、この景色だったのかもな〜と思って。
ーというと?
ーもう社員じゃなくなったけどさ、社員の時はこういう景色が見えなかった。ずっと売り上げとかそういうのばっかりに気を取られてて…バイトスタッフのことも、数字でしか見れない時期もあった。でも、俺がほんとに作りたかったのは多分売り上げとか会社を大きくしたいとか(それも大切なんだけど)そんなんじゃなくて、この光景だったのかもなってふと思って。
ーバイトの子達が、仕事の写真自慢しあってる風景?
ーそう。だってすごくない?写真なんて適当に撮ってればいいし、車庫帰ってきたらすぐに帰ればいいのにさ、それ見せ合ってるんだよ?
ーたしかに、士気高いね(笑)
ーそう!みんな楽しんでこの仕事してるんだなぁってしみじみ思ってさ…。俺こんな会社にしたかったんだと思う。社員辞めて初めて見えたわ。
ーなるほど〜視野が広がったのかもね…!より客観的に見られようになった的な。
ーうん、多分そうだと思う。もしかしたら前からこんな風景はあったのかもしれないけど、今日まで全然気がつかなかった…
彼はそう言って、着替えもせずにシュークリームを持ったまま嬉しそうに話し続けた。数秘術でいうところのコアナンバーとして8と6を持つ彼の、軸の部分が見えた気がして私も嬉しかった。
ーこのこと、社長さんとかK君(立ち上げメンバー)には言わないの?
ーん〜言わない。社員じゃなくなった奴から言われても何の説得力もないしね(笑)俺とノアの秘密にしとく。にしても、あいつらには見えてんのかなぁこの景色。
ーどうかなぁ。経営に必死で見えてないかもね。
ーなんかそんな気がする…俺もそうだったし。でもさ、最後に見られてよかったよ。こんな立場になっても、良いもの見させてもらった。
そんなふうにしみじみ言いながら立ち尽くす彼を洗面所に押し込み、お茶を沸かし、2人で深夜のシュークリームを食べた。
今日はお祝いだからねと言って、ネコにも深夜のチュールをあげた。
夜中に食べるクリームはなんとも甘美で、夫の満足そうな顔を見ているとそれだけでもうお腹いっぱいになった。
お金を稼がないとこの世界では生きていけない。
だから経営のことを考えて視野が狭くなることはあるだろうなと思う。
だけどお金だけではなくて、会社は人でできているんだということを改めて考えさせられた夜だった。
夫は秘密と言っていたけど、こんな素敵な出来事を2人の秘密にするのはもったいないのでここにこっそりお裾分けします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?