東北の果てに来て出会った大好きな君へ

今私が教育している学生さんへ
私は実はあなたを特別に教育しているんですよ。
なぜかあなたには特別優秀になってほしいんです。
指導教員が私じゃなかったらこんなことしてもらえないでしょうね。
実験すらほとんどさせてもらえない(しなくていい?かな)研究室だってあるんだから。
毎日やることを考えて暇にさせないように、日々進歩してもらえるように考えてるんですよね。

当人はそんなことしてもらわなくてもいいよ、なんて思っているかもしれないけれどもね(思っているかも)。
というか、将来研究やるわけじゃないんだからここまでしなくても、国家試験に合格することの方が大事だから、と何も考えてもなく、感じてもないかもね。

教員の私はそれでも全然かまわないんだ。
いつもあなたは、はい、はい、というだけだけどね。
卒業して(国家試験合格することはほぼ確実)仕事をしていていつかきっとあのとき先生が自分に教えてくれたあの研究(研究方針)が今生きているということを実感できる時が来るだろうということを期待している。

実験なんか全くやらなくたって国家試験に合格さえすれば就職できる。そんな人は大勢いるし、そして何の不便もない。
研究室でのこの経験は、そしてなぜ自分がこの先生に特別に面倒を見てもらえたのかを不思議に思ってくれるかな。
実は教員の私もわからない。あなたを研究者にしようとなんて思ってい
ないのに、なぜここまで丁寧に扱ってあげていることがわかりません。

いくら優秀でもこの学部は国家試験合格が一番大事だから

あなたが受けてきたあの程度の講義と試験内容で合格点とっていれば

充分なんだ。

何も卒業研究で程度の高い実験をやる必要なんかない。

あなたは実験できるし、考える能力があるにも関わらず、なんでこんなことするのかわからないと聞いてくることがあるよね。

それはあなたの能力が低いからではなくて、これまで受けてきた大学での教育がその程度だったからなんだ。

講義や試験は成績上位学生になんか合わせてられない。落ちそうな学生を引き上げる授業でしかない。

そんなんじゃ普通はサイエンスじみたことまで興味持ってられないよな。

東北の果てに来て出会った大好きな君へ。

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