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ピクニック

ここ一年くらい、一人ピクニックにはまっている。


ピクニックにはまったのは、仕事を辞めたことがきっかけだ。昨年私は晴れて無職になり、せっかくなんだから思い切り無職らしいことをしてやろうと、一人で平日の昼間にイオンのフードコートでクレープを食べたり、地元のプラネタリウムを貸切状態で見たり、意味もなく空港までドライブがてら遊びに行って ソフトクリームだけ食べて帰ったりしていた。いろいろとやりたいことをやるうちに、無職といえば公園で昼間から飲酒では、と思いつく。けれど、地元の公園では恥ずかしい。ガチ感がすごいから。だから、少し離れた大きい公園でやろうと思うものの、そうなると車が必要で、飲酒はできない。

だから飲酒は諦めて、適当に好きなお惣菜、フルーツ、コーヒー牛乳なんかをスーパーで買い、それを公園で食べることにした。これが私の初一人ピクニックだ。

天気のいい初夏の平日昼間、私は早速実行した。目指す公園はかなり広大で、山々にはハイキングコースもある。目ぼしい場所はいろいろとあったが、あまり人が来なさそうな、葉桜の茂る林にあるベンチにした。晴れているが、木々のおかげで日差しは遮られてちょうどいい。時折心地のいい風が吹く。遠くに車の走る音が聞こえたかと思うと、すぐそばで鳥のさえずりが聞こえる。

ベンチに腰掛け、買ったものを食べる。冷えかけのお惣菜ですら、なんだかすごくおいしい。パイナップルも食べた。少し手がべたついたが、お手拭きもあるから安心だ。

高揚感であっという間に食べ終わる。ここからは読書タイムだ。近くの図書館で借りた本がある。お供はコーヒー牛乳。読み終えたら、音楽を聞きぼーっと過ごした。

夕方、暗くなる前に帰る。だらだら過ごすと寒くなったり、虫に食われたり、渋滞に巻き込まれたりと、いいことはない。 


この日を境に、私はピクニック愛好家になった。好きなものを少し買い、手頃な場所に座って食べ、音楽を聞き、帰る。ときには友達と、川沿いにレジャーシートを敷き、昼から飲酒をしながら将来の話をしたりもした。ときにはちょっとリッチなハンバーガー屋さんの分厚いハンバーガーと、無印のチャイティーを買って、駅前の公園で食べ、勉強をしたりもした。また、昼休みは毎日、職場近くの公園のベンチで、川を見ながらお弁当を食べている。至福のひとときだ。デザートがあればなお良し。

少し前は例の流行病やお花見シーズンの影響で、昼休みに外でお弁当を食べる人の姿も増えた。最近は気温が高く、木陰がないと厳しいが、一度木陰に入るととても涼しく快適だ。


実はピクニックについては、農林水産省も公式ユーチューブで紹介している。

これは私か?と思うほど、これは私だった。



梅雨が開けると本格的に夏で、そのころにはもうピクニックは難しい。ピクニックを快適に楽しめる機会は案外少ない。けれど、一度試すと開放感がやみつきになる。流行りのおしゃピクとは違うが、これはこれで楽しい。いいピクニックの場所を探したり、テイクアウトのお店を探すのも面白い。

虫と日焼けとゴミの持ち帰りには気を付けて、これからもピクニックライフを楽しみたい。

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