見出し画像

恋愛してる自分が好き

私は、恋をした。相手は、13歳年上のバイト先の店長だ。居酒屋の店長

よくある話

歳の差なんて、5歳差までだと思っていたくせに干支一周より年が離れている。最初は、期待なんてなくて諦めようとも思った。結局諦められなかったけど。自分に酔っていたのかもしれない。自分は若く、気に入られていた。だから、勘違いをした。

いや。勘違いをしたふりをした。

好きになったんだから仕方ない。

終電逃しちゃった

じゃあ、この仕事終わらすから。その後、メシ食いに行こう。

私は、課題をやりながら待っていた。ずるい言葉。別に終電には乗れた。でも乗らなかった。

牛丼を二人で食べた。その後は、就職の話をしたり、バイトの話をしたりした。

どうする?家来る?家の掃除してよ。

うん!遊びに行く

さすがに家に行けるとは思わなかった。
散らかったペットボトルを集めて、床掃除をした。一通り掃除した後、店長はシャワーを浴びに行った。私はその間、白々しく寝たふりをした。布団が敷かれたままだったけど、私はそこには寝なかった。なんとなく遠慮していた。店長がお風呂から出てきて、布団に寝ていた。しばらくすると、布団で寝なよと私の体を抱えて移動させた。彼の手が私の頭を撫でる。私はまだ寝たふりをしていた。

気づけば、お昼をすぎていた。付き合って3年のカップルのようにぐだぐだ過ごしていて、私をバックハグする体勢で寝ていた。

もう帰らないと

うん

30分後。体勢は変わっていない。私がこのまま何も拒まなかったらどうなるんだろう。漠然とそんなことを考えていた。店長の手がぐっと私を引き寄せる。私もそのまま店長の方を向いた。私の顎が上げられた。彼は一瞬、迷っていたけど私はそのまま目を閉じた。

優しいキス

あーあ。手出しちゃいけないんだー

自分も望んでいたくせに、こんなセリフがでてきた。だんだん激しくなるキス。

ねぇ。触って。これどうすんの。

知らない…
今、生理

ちょうどいいじゃん

何が?店長という立場でアルバイトに手を出さずに済んだから?実際、生理だったことにほっとしていた。なんとなく挿入していなかったら、”店長とアルバイト”という関係は崩れないと思っていたから。私の手が彼のものを刺激する。気持ちよさそうな顔。
私の服を脱がして、ブラのホックを外した。

いきそう。どこにだしていい?

顔はだめ

わかった

終わったあと、駅まで送ってくれた。私は、何をしているんだろう。

数日後には、店長の誕生日があった。店長の誕生日の前に私の誕生日があって、ギフト券をもらっていた。
0時ぴったりにLINEでハッピーバースデーのスタンプだけ送る。身体の関係を持ったくせに、気にしてないふりをして。すぐにありがとうのスタンプが返ってきた。

「今日はなにか予定あるんですか?」

「夕方から地元のやつに会うよ。会いたいの?笑」

「誕生日のお返ししたい」

本当は夜まで学校があったのに、先生にメールをしてオンラインで授業を受けた。そんなことをしても意味がないのもわかっていたけど、理由がなければ「会いたい」の一言も言えなかった。

彼の最寄りの駅で待ち合わせた。彼の姿が見えるだけで、心臓の音が大きくなる。マスクをしていてよかった。自分を落ち着かせるための大きな深呼吸をしてもばれないから。

お疲れ様です。これ

ありがとう

彼の予定まで時間があったので、駅周辺を散歩した。たわいもない話をして。

うちでぐだぐだする?

正直その言葉を待っていた。家でも特に意味のない会話をしていた。
手を繋いできて、引き寄せられる。

なんですか

白々しい言葉。わかってる。これが、セフレってやつ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?