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声優のアニメのギャラはいくら?ランク制について解説!【声優養成所講師が解説】

どうも、福原安祥です。

ナレーターをしたり、声優養成所の講師をしたり、会社の経営をしたりしています。

今回のテーマは『声優のギャラについて』です!

お金の話ということで、今回は激激リアルな話をナマナマしくしていきますね。

事務所に入ってからお金の問題と向き合っても遅いんです。

お金の話を情報として知っておくことはスゴく大事ですし、今まで僕が話してきた「自分の戦略を立てる」ことにも関わってくる問題なんですよ。気合と根性で生きていけるほど甘くない業界です。。

お金がないと生きていけないのは、みなさんお分かりだと思います。

なので、若いうちからお金の問題とはキチンと向き合わないとダメ。

それではここから、ナマナマしい話を淡々としていきます…最後までついてきてくださいね!

動画で見たい方はこちらをどうぞ。

あんじょーメソッド(YouTubeチャンネル)

声優のギャラはいくら?

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まず、声優のギャラを語る上で絶対に外せない組織があります。

それが「日本俳優連合」です!通称「日俳連(にっぱいれん)」と呼ばれています。この用語は絶対に覚えておいてください。

「日俳連」とは?

多くの新人声優さんは、事務所に入るタイミングで、この日俳連にも入ることになります。

けっこう勘違いしてる人が多いんですけど、日俳連というのは、事務所が入るんじゃなくて個人で入るんです!

なので関係性的には、声優とかナレーターは事務所に雇われているのではなく、個人事業主なんですよね。簡単に言うと、役者さんはみんな「自営業」ということなんです。

もう一点、ここも勘違いされやすいんが、日俳連に入ることは自由なんですよ。入らなくても別にいいんです。

ただ現実としては、日俳連に入っている人の割合が多い事務所に入った場合は、自分だけ入らないという選択をするのはなかなか難しいです。

逆に、日俳連に入ってない人が多い事務所に入った場合は、自分も日俳連に入らない場合が多いですね。

「日俳連」がある理由

なぜ日俳連のような組織があるのかというと…

昔は役者さんとか声優さんの立場が激クソ弱かったからなんです。今では考えづらいかもしれません。

立場が弱いと、個人でいろんな交渉をしても負けちゃう。

「だったら個人が集まって、いろんな交渉をすればいいじゃないか」「組織vs組織にしたら交渉がまとまりやすくなるんじゃないか」ということで、「役者チーム」を作ったんです。

そうやって先輩たちががんばって、ギャラの交渉などをするために「日俳連」という組織を作ってくれました。

そのことを踏まえた上で、まずは声優の仕事の花形ともいえる「アニメのギャラ」についてお話ししていきますね。

まずは大枠の説明をしてから、細かい説明をしていきたいと思います!

声優のアニメのギャラはいくら?

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動画では、ここからホワイトボードを使って解説しているので、そちらもチェックしてみてください。

声優の「ランク制」とは?

ご存知の方もいるかもしれませんが、声優のアニメのギャラには「ランク制」というものが存在します。

「ランクによって支払われるギャラが変わる」という制度ですね。

まずは、30分アニメを収録するときのランク制の説明をしていこうと思います。

ランク制はピラミッド型になっていて、そのピラミッドのさらに下に「ジュニア」という、ピラミッドから切り離されたランクがあります。

ジュニアランクは30分アニメの場合、ギャラが15,000円になります。

ジュニアに対して、ピラミッド型のランクに入っている役者さんのことを「ランカー」といいます。

ピラミッドの一番下(ランカーの一番下)は「ランク15」というランクです。このランク15の人のギャラも15,000円です。

ランク15の上は、「ランク16」になります。このランクの人は、30分アニメのギャラは16,000円。

というわけで、次は「ランク17」になって、ギャラも17,000円になります。

こういうふうに、ランカーのギャラはランクが1つ上がるごとに千円上がっていきます。一番上のランクは「ランク45」です。ということは…30分アニメに1本出た場合、ギャラが45,000円ということですね。

じゃあ、「ランク45」以上はないのか?というと…実はあります。

ただ、ランク45の上がフリーの状態。交渉でギャラが決まります。

簡単にいうと「俺は20万もらわないと出ないよ」という声優さんがいたら、それは「ランクフリー」ということになるんですよ…もはや神の領域ということですね。

以上が「ランク制」といわれているものです。

ジュニアランクとは?

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事務所に入った新人声優が日俳連に登録すると、まずは「ジュニアランク」になります。ただし、ジュニアは3年間限定です。

※2020年4月から、一定条件下でジュニア期間が5年になったようです。詳細はマネージャーさんに確認してみてください。

逆にいえば、絶対に3年間はジュニアと決まっていますので、この間にいくら売れてアニメに出まくっても…1本15,000円というのはずっと変わらないんですね。。

もう1コ大事なことがあって、「ギャラとセリフの量はまったく関係ない」ということです。あくまでも、30分アニメ1本あたりの金額ということですね。

たとえば、Aの現場で主役を演じてメチャクチャ喋ったけど、Bの現場では一言しか喋らなかっ場合、どちらもギャラは15,000円なんですよ!

これはランクが変わっても同じで、「ランク45」の人は、主役でメチャクチャしゃべっても、「おつかれさま」の一言だけでも、ギャラは45,000円ということですね。

ジュニアにはないランカーの特典

ジュニア期間の3年間が終了すると、晴れてピラミッド内の「ランカー」に組み込まれていくわけですが…その場合も、基本的には一番下の「ランク15」からスタートになります。

このとき「ジュニアでもランク15でもギャラは一緒じゃん!」って思うかもしれませんが…ランカーの場合は「特典」がつきます。

たとえば、アニメがネットで放送されたり再放送されたりした場合…ランカーはプラスで収入が入るんです。ジュニアの場合は入りません。

あとは、作品の時間が長いものになると、「60分の作品だとギャラが1.5倍」など、時間に応じてギャラが増えたりもします。

こんなふうに、ちょこちょこプラスアルファがあるんですね!

でも…イヤですよね。ずっと15,000円でやっていくのって。。

ジュニアで耐えてきたのに、まだ15,000円でやらなきゃいけないのもイヤだし、はやくランクも45まで上げたいですよね。ギャラ3倍だし!

ランクはどうやって上げる?

じゃあ、ランクを上げるにはどうすればいいんでしょうか?

それは…自由です!

ランクを上げるのは自由なんです!

具体的にいうと、マネージャーや事務所と話し合った上で決めることなので、いきなり「45ランクにしたい!」って言っても、「やめとけや」って言われたら上げるのはムリなんですけどね。。

ただ、ランクは「自分で決める自由」があります。

でも、「俺は15,000円でずっとやってくのはイヤだ…ランク30まで上げてやる!」って、マネージャーとか事務所の静止も聞かずにランクを上げちゃったとしましょう。

これ…とってもヤバいことになっちゃうんですよね。

声優がギャラを上げるとヤバい?

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ランクを上げるのは自由だけど、好き勝手上げると大変なことになる…という話です。

例として、技術が未熟なのにランクを30まで上げるとどうなるかというと…高確率で使われなくなります。

なぜかというと、アニメの制作費がスゴく安いからです。

制作費がないから、声優さんにかけられるギャラも限られているわけです。そうなると必然的に「安くてうまい人」が使われます。

安い!うまい!

…吉野家みたいな話になってきましたね。笑

お金が限られているから、安くてうまい人が使われるのは当たり前ですよね。

…ランクを30まで上げた例に戻ります。

たとえば、演技力や人気を数値化したときに、ランクを上げた人の数値が「50」だったとしましょう。

この場合、この人は「ランク30(ギャラ3万円)・数値50」になりますね。

しかしランク15に、同じ「数値50の人」がいた場合…どっちが使われると思いますか…?

そりゃあ「ランク15の人使うよ」ってなりますよね。それに、ランク15の人だったら、3万円で2人使える…!

なので「3万円払ってでも使いたい」と思われる声優じゃないと…ランクは上げれないっていうことなんですよ。。

ここまでの話ですでに「声優業界大変じゃん…」って思ってる方もいると思うんですけど、さらに悲報があります。。

売れっ子やベテランがランクを上げない

最近は、売れっ子さんやベテランさんもランクを上げないんですよ!

全員がそうではないんですけど、上げない人が増えてきている現状があります。

具体的に、誰がどのランクで誰がランクを上げてないのか、みたいな話は、本人が喋ってない限りトップシークレットです。

個人のランク情報って、本人以外が公開すると業務妨害で訴えられかねないレベルのものなので、出てこないんですよ。なので、もしそういう情報が出てきても信用しちゃダメですよ(本人が言っている場合は別)。

話を戻しますね。なぜ、ランクを上げない売れっ子さんやベテランさんが多くなってきたかというと…年々アニメの制作費が減っているからなんですよね。。

テレビ業界でもテレビの制作費が減ってるから、タレントさんたちのギャラが年々減っています。

それと同じで、アニメの制作費も年々減ってるんですよ。なので、売れっ子やベテランの声優さんたちも、ギャラを下げることで使ってもらえる機会を増やしてるんです。

声優業界で生き残るための戦略

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こういうところで、「いかに戦略が大事か」ということがわかってもらえると思います!

売れっ子さんやベテランさんも、生き残るための戦略をもれなく考えてるんですよ。

昔は、売れっ子さんやベテランさんたちはランクを上げていたので、ジュニアの新人声優がランカーになっても、お金的な面で使われる可能性があったわけです。

つまり、正面から売れっ子さんやベテランさんと戦う必要がなかった。

しかし!最近は売れっ子さんもベテランさんなかなかランクを上げない。となると、アナタが憧れている声優さんが「実はランク15」という可能性がないわけではない…。

ってことは…あなたがランカーになった瞬間に「憧れの声優さんと同じ金額で戦わなきゃいけない」ということがありえるわけですよ。

その人と同じギャラで戦うということは、同じ役を同じ金額で取り合うということです…。

ゾッとしませんかこの話。。ヤバいですよね。確実に負けるじゃんってなりますよね。

まあ、今のは極端な例ですけど、そういう時代に入ってるということを覚えておいてください!ここはホントに危機感を持ってほしいところ!

勝負どころのジュニア期間

ランカーになったとたんにガチ勝負が始まるということは…逆にいえば、ジュニアの期間はガチ勝負じゃないということです!

さっきも話したとおり、ジュニアの期間はプラスアルファの特典がないので、予算がない制作陣からすればジュニアは使いやすいんですよね。

なので、ジュニアの期間にどれだけがんばれるかがメチャクチャ大事なんですね。ホントにホントに勝負どころ!

この3年間で、どのくらい仕事が取れて、どのくらいの人に気に入ってもらえて、どのくらい業界の中で自分の声が広まるか…。

3年間の過ごし方で、その後の声優人生が変わるといっても過言ではありません。

いま、声優養成所や専門学校に入る前の方とか、養成所の方とかは、事務所に入れたら嬉しいと思うんですよ。

そこで「やったー!事務所に入れた!」って嬉しがるのはスゴくわかるんですけど…そこからの3年間が勝負の分け目になるので「喜んでる場合じゃないぞ」というところは覚えておいてくださいね!

「事務所に入る=戦いが始まった合図」ってことです。

今回のまとめ

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今回は『声優のギャラ』について解説してきました!

なかなか厳しい話が多かったと思うんですけど、毎度のことですがこれが現実なんですよね。。しっかり受け止めて、がんばってくださいね!

今回は30分アニメの場合の話でしたが、アニメをメインとして生計を立てていくのはメチャクチャ大変だということがわかってもらえたと思います。

もちろん、アニメがヒットして、グッズ化・映画化したりすると、プラスアルファで仕事が舞い込んでくるので、そのぶんギャラもよくなります。

でも、それってごく一部の話で、すべてのアニメがヒットしているわけではないですよね…。

声優としての活動で高額ギャラのものとなるとアニメ絡みのイベントですが、そういうものが開かれるレベルのアニメってなかなかないです。

そのアニメに出演することはもちろん、イベントに呼ばれるようないい役を取らなきゃいけません。

グッズとか映画化とかイベントがあるのは、大ヒットアニメに恵まれた場合だけってことですね。。

じゃあどうやって生き残ればいいのかというと、やっぱり「戦略」です!

自分が生き残る戦略がキチンと立てられる人とそうでない人では、5年後10年後に明暗がハッキリ別れます。

いまの新人声優さんに求められているものは、アニメの能力はもちろん、外画もできてナレーションもできる「総合力」です。

皆さんが知っているような売れっ子声優さんたちって、オールジャンルいけるんですよ!アニメ・ゲーム・外画・ナレーション…基本全部できます!うまいんですよ!

アニメに出て脚光を浴びることが多いので、アニメ1本でやってるイメージがあるかもしれませんが、オールジャンルできるからこそ生き残れているんですね。

というわけで、今回は以上です。ほかの、ゲーム・外画・ナレーションのギャラについては、次回お話ししますので、そちらもお楽しみに!

それではまた。

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