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旅とインドを扱う編集ユニットKAILASのこと

「なにやってる人なんですか?」というのは私もちょっと前までよく聞かれたし、自分でもポンっと答えられる明確な回答がなかった。

会社員のときは(たとえ裏でインド通いを続けていたとしても)「どこどこ社でなになにやってます」と言えば済んだので、ずいぶんめんどうな身分になったなあ、と思っていました(笑)

KAILASもたぶん、そうなんだと思うんですよ。

カメラマン&編集者である松岡宏大さんと、編集者の野瀬奈津子さんが、2017年に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)を刊行する際に「便宜上」つけたユニット名が『KAILAS』なんだそうです。

この本はインドファンなら手にとったことがあるかと思います。インドの手しごとを中心にした、ディープだけどチープじゃない「ヒト」と「モノ」と「場所」の写真とエッセイがたくさん。インドに行かなくてもインドの人や風景が目に浮かぶし、眺めていたらインドに行きたくなる。紀行ものとはまた違った切り口で、美術館の図録のようでもある。

つまり、もともと旅とインドが好きで、すてきな写真が撮れて、編集ができて、アンティークの確かな審美眼やモノへの愛着が溢れた人たちが、編集者だけど著者にもなって本を作るときのユニット名が『KAILAS』という次第。ああ、長い(笑)。

私がドッヒャーと思ったのは、まだ『KAILAS』名義ではなかった2010年に初版が出た『地球の歩き方 aruco インド』(ダイヤモンド・ビッグ社)

「旅好き女子のためのプチぼうけん応援ガイド」と銘打った、「歩き方」の別冊的な「見て読んで楽しいガイドブック」arucoシリーズの一冊です。

このシリーズの紙面の可愛らしさやセンスのよさって、台湾とかベトナムとかね、そういう女子ウケする地域にはマッチするけど、泥臭いインドとは相容れないものだと思ってたの! いやいや開いてびっくり、これ、うっかりインド行きたくなっちゃうわーと、インド女子旅推しを長年黙々と続けていた私には、そうそうこれだよこれ、こういうインドが楽しいし愛おしいんだよと、思わず頬ずりしたくなるような本でした。

その後、美しい手刷りシルクスクリーンの本を出版するインドの小さな出版社タラブックスの本を出したり、タラブックス展であちこち飛び回ったり、おしゃれ雑誌に登場したり、松岡さんの本がついにタラブックスから出たりと大活躍なのは、インド界隈の人たちは皆知るところ。

この松岡さんの新刊『Origins of Art〜The Gond Village of Patangarh』、話題沸騰なのに「どこで買えるんですか」と謎で、私も知りたいので聞いてみました(笑)。

現在取り扱っているのは、OUTBOUND(吉祥寺)細見美術館(京都)梅田蔦屋Tara Booksのホームページ、だそうです。アマゾンプライムで明日届いたりしないんです、手間かかります(笑)。最新情報はFacebookのKAILASのページをご覧くださいとのことです。あ、松岡さんはInstagramもやってます。

こう、なんでも情報が素早く巡り、モノは瞬時に手に入り、「映え」に注目が集まる。そんな時代に、KAILASはなにかに媚びることもなく、自分軸を崩さず、Massなビジネス道とは対極の道を行きながらも、ちゃんと周囲含めた人たちがみんなハッピーになれる「しごと道」をひた走っている。

KAILASってなに? と聞かれてもKAILASとしか表現しようがない、そんなユニットってことで。

ひっそり勝手に紹介したぞ。

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