ジュマンジにざわつく。
「ジュマンジ」という名前を聞いてなぜか、ほの暗い記憶の底がざわざわするような気がした。
当時、俺が勤めていた会社には不思議な社員旅行のシステムがあって、グループを作ってそれぞれが好き勝手な場所に行っていいことになっていた。俺たちはハワイに行くことにした。
会社から渡された予算だとたいしたホテルには泊まれない。目の前に大きなホテルがあり、まったく海が見えないセコい部屋だった。でもまあそれでもいいやと思いつつ、ワイキキでボンヤリするのが楽しかった。
女性3人と男性3人だったか、詳しいことは忘れたけど、男性チームが「遊びに来て貧乏臭いのはイヤだから、最終日は別のホテルを取ろう」ということになり、ロイヤルハワイアンのスイートルームを女性には内緒で予約した(恥ずかしながらそういう時代だった)。
最終日の前夜、女性チームの姿が見えない。夜中に戻って来た彼女たちは「せっかく来たからロイヤルハワイアンに行って、マイタイ・バーでお酒飲んできた」と言うのだ。なんて庶民的なヤツらだ。
ホテルを移動した時も「わー、素敵な部屋」みたいな新鮮味はまるでなく、翌日にお見合いをするはずの相手と偶然コンビニで会っちゃったような妙な雰囲気と、支払いだけがキッチリと残った。
でも人はそうやって大人になるんだと思うので、悪い思い出ではない。
そうそう、そのホテルの部屋で流れていた退屈な映画「ジュマンジ」を、皆でまんじりともせずに観ていたのだった、と数十年ぶりに思い出したという話。
定期購読マガジン「Anizine」https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd
定期購読マガジン「写真の部屋」https://note.mu/aniwatanabe/m/mafe39aeac0ea
定期購読マガジン「interview」https://note.mu/aniwatanabe/m/m7fd0ccb1951e
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。