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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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#Anizine

定期購読メンバーの皆さんへ

「たとえば一週間どこかに遊びに行ったとして、どれくらいいい写真がセレクトできますか」と聞かれることがあります。私はスマホでほとんど写真を撮らないので、遊びに行くときでも普段仕事で使っているカメラで撮ることになります。これがプレッシャーなんですよね。ちゃんとした『作品』と呼べるようなものが撮れるのではないかと淡い期待も生まれます。では、どれくらいの枚数がセレクトできるのでしょう。その答えです。

ありがとうございます:すべてのマガジン

『カメラは、撮る人を写しているんだ。』 発売されて、Amazonのランキングが出ました。 このカテゴリはこちらで指定することができず、Amazonで振り分けられるようです。現在は「教育」などにもカテゴライズされている模様。 写真の教則本だと思って買った人から「まったく役に立たなかった」というレビューもありますが、「文学」なので仕方ないだろうと言い訳もできます。ネットでタイトルを見て勝ってくれた人が誤解するのももっともなのですが、この本はそういった「TIPS」を勉強して

ビーチでのロケ:写真の部屋|Anizine

かなり前の夏の話ですが、ある仕事のロケで南の島に行きました。仕事とはいえ、南の島に行くということでスタッフがウキウキしているのがわかりました。現地に夕方に到着して空港の外に出ると、美しいピンクの夕焼けをバックに椰子の木がシルエットで並んでいました。プロデューサーは50代の真面目そうな男性で、ホテルの彼の部屋にスタッフが集まり軽いミーティングをしました。 「リゾート地ではありますが、明日からの撮影はトラブルのないように気を引き締めていきましょう」 と真剣な顔で言います。皆、

新年のお年玉:全マガジン

定期購読メンバーの皆様、本年もよろしくお願いいたします。 数年前から毎年、年末年始にしている習慣があります。それは年末の最後に乗ったタクシーと、年始の最初に乗ったタクシーのドライバーにお年玉を渡すことです。自分もサービス業に関わる身ですから、お互いにいい気分で一年の終わりと始まりを迎えられたらいいと思っています。ほんの短い時間の間柄であってもできるだけ気分よく。 お金だけではなく、他人のためにすることに、感謝を期待してはいけません。「自分がしたいからしているのだ」というの

オバマと写真家:写真の部屋・Anizine(無料記事)

U-NEXTで『大統領のカメラマン』という映画を観ました。「ホワイトハウスの大統領専属フォトグラファーか、参考として観ておくか」くらいの気持ちで観てみたところ、受ける印象はまったく違いました。写真に興味がない人も魂が揺さぶられると思いますし、カメラを手にしている人なら「写真を撮る意味」をもう一度考えるはずです。 メインになっているのは随行していたオバマ元大統領の姿ですが、それはアメリカの理想、人間の存在、政治の在り方のすべてにリンクしていきます。後半はわかりやすくもうひとり

必ず見つかるんだぜ:Anizine・写真の部屋

今日は金沢へ。ミーティングを終えて渋谷に戻り、近所のコンビニエンスストアで水を買おうとしていると道路に「あるもの」が落ちているのを見つけました。 ここから先は事態の受け取り方が人ぞれぞれだと思うので、定期購読メンバーにだけお伝えいたしますが、なぜ「Anizine」と「写真の部屋」の記事になっているのかはあとでわかると思います。

完パケる:Anizine / 写真の部屋

先日あるシーンが頭に浮かんだのでそれをメモしておいたのですが、次々に話が進んでいって、まあまあのプロットになりました。脚本にはほど遠いですが、物語の骨子は見えています。なぜそんなことをしたかと言えば、山形ビエンナーレで「架空の映画の脚本を写真にする」という展示をしたのを思い出したからです。それと近いことができそうだなと感じました。 ポスターやスチールはあるのに映画の本編だけがない、というおかしな展示でしたが、もしかすると、もしかするとですけれど、かなり保険をかけた発言をしま

待たせてごめん:写真の部屋・Anizine

昨日は音声メディアコンテンツの収録をしました。あるテーマの6回分を続けて話したのですが、箇条書きにしたものを即興で構築しつつ話すというのは、思ったよりも大変でした。いくつかのキーワードを元に話しながら文章にしているような作業であり、アーカイブ型なのでずっと残ってしまうというプレッシャーもありました。 まず、以前の打ち合わせで仮に決めていた「全体のテーマ」が、ちょっと普通すぎるかなという疑問が生まれ、収録の前に一時間以上悩んでみんなを待たせることになっていまいました。数日前に

言葉というツール:すべての定期購読マガジン

いま、写真の本を書いているとお伝えしました。書いているうちに「これは写真以外にも通じる大事な内容だ」と感じたことは一旦横に置いて、もうひとつの本に書くべきこととして貯めています。こちらの本は言うなれば『ロバート・ツルッパゲとの対話』の続編というか、そういうやつです。 自分は言葉を最上位に位置づけているので、くだらない内容なのに、まるで純文学でも書くようにチマチマとしつこく書き直している毎日です。なぜ言葉が大事かと言えば、言葉はツールですから、たとえば腕時計を修理するには専用

ここだけの秘密を:写真の部屋・Anizine

写真という概念には色々あって、レタッチしないとかトリミングなどけしからんとか、それぞれの正義で話をするものです。でも裏でどんな作業をしようと、一枚の写真を見たときに「何が加工されているか」なんて、見た人にとってはあまり関係ありません。 たとえば、この写真(と言えるかな)の元になった写真をご覧にいれましょうか。けっこう驚きますよ。元のは転載しないでね。

一人旅:Anizine・写真の部屋(無料記事)

浅生鴨さんが一人旅の短編を、平林監督もたまたま一人旅について書いていた。俺も帰ってきたばかりなので書く。 国内もそうだけど、外国に遊びに行くときはできれば一人がいい。俺のスタイルはかなり衝動的なので自分の予定だけで決められた方がラクなのだ。二人のスケジュールを合わせるのも大変なのに4人とか5人ではほぼ無理だ。 行きたい場所も予定せずに行くから、誰かが「せっかく来たんだからあそこに行きたい。3時間で行けるから」などと言われると気絶しそうになる。せっかく、が厄介なのだ。とにか

大晦日に:すべての定期購読マガジン

大晦日に言うようなことではないですが、負けている人は次に勝てるチャンスがあります。しかし、「負けていることを認めようとしない人」はずっと勝てませんね。勝ち負けというのは短絡的な意味の価値ではないですが、と信号待ちの老人は言った。 来年もよろしくお願いいたします。

3月12日:Anizine / 写真の部屋

3月11日はデリケートな日だ。 「せめてこの日だけはくだらない文章も読みたくないし、自分でも書きたくない」とTwitterに書いたことに、一日おいてから作家の伊岡瞬さんが同感ですとリプライをくれた。伊岡さんは、繊細さをデリカシーで煮詰めたように思慮深い人だというのをあらためて思い出した。 大きな悲劇があった日を毎年の祥月命日のように思い出すことは人の気持ちとして当然なんだけど、最低限そこには「自分との関わり」が必要だと思っている。前日の3月10日は東京大空襲の日ということ

ダサい:Anizine・写真の部屋

日常的にかなりの頻度で「ダサい」と言ってしまうんだけど、結局のところ自分の判断基準はこれひとつしかないと思っている。 シンプルに考えていくと、「こうするのはダメだとわかってはいるけど、仕方なく目をつぶっている」みたいな多重構造には、巧妙な嘘や言い訳が含まれていることに気づく。こんな状況だから僕を赦して欲しい、というのは当然のことながら「ダサい行為」だと感じる。 このとき、状況の優劣は関係ないということにも留意して欲しい。問題は、自分が掲げる理想と、そのためにやっていること