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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2020年5月の記事一覧

「友情は恋愛である」:Anizine

自分で決めている「友だちの定義」がある。 昔、ひとりの「友人」がいた。彼とは同じ仕事をしていて知り合って、仕事以外でも遊んだりするようになった。ここまではよくあるパターンだ。 彼は若い頃から友人が少ないと言っていた。申告せずとも見ればわかる。自己主張をしたいときは平気でそこにいない友人の悪口を言い、聞かされている俺は「たぶん俺のことも言っているな」と感じた。それはとても悲しいことに彼の「友人経験」が乏しいからだと思った。 念のために言っておくと、人は環境だけで育つわけじ

自粛のチョロQ:Anizine

自粛期間中に、様々な人々の感覚を知ることができた。 いつもとあまり変わりがないというインドアタイプの人がいて、会社や通勤が嫌いだからリモートワークは大歓迎だという人がいた。家族揃って三食のテーブルが囲める幸福を語る人がいれば、家族が長い時間一緒にいる状態に慣れていないことに気づいた人もいた。 俺はつねに移動する生活を送っているので、とにかく毎日同じ場所に居続けるのが辛かった。普段どこにも行かない月があったとしても、それは自分の選択で、「今月はどこにも行かなかったなあ」で済

エロマンガ島でマジメに勉強:Anizine

今日、親から子に伝わる遺伝の話をしていた。 当人が持つ個性と、親が与える環境が人格を作り上げるが、環境は子どもには変えることができない。でも同じように育った数人の兄弟がみんな同じ性格をしていないわけだから、環境がすべてではないことはわかる。 遺伝は単なる例で、それ以外にも多くの場面で似たような現象があることに気づく。たとえば社会人として。会社に入れば社内の環境に大きく影響されることがあるだろう。自分の生来の気質を1、社風を1とした「足し算か掛け算」で出てくる答えは全員違っ

空手で言うなら、美しい型:Anizine

俺が人に興味を持つときにはふたつのポイントがある。 「ものすごく正統で体系的な知識と教養を持つ博学な人」 「圧倒的に独特で、その人以外には考えつかないことを言う人」 このどちらかに当てはまっていると無条件に興味を持ってしまう。学者タイプとアーティストタイプといってしまうと単純だけど、そういうこと。人と対話するときは自分が知らなかったことを聞きたいからだ。もちろん自分も相手にそれを提供できているかを気にしている。 「正統な博学でありつつ、腰の抜けたバカバカしさを持っている

おのおのの斧:Anizine

「それは誰の立場で言っているか」と聞きたくなることがある。ポジショントークという言葉があるが、誰でも自分のいる場所、手に入れた情報しか知らないからそうなってしまうのは仕方がない。都合のいいように自分の立ち位置へ利益誘導さえしなければいい。 先日、ある若い男性を紹介された。企業のインターンなどをしている大学生だった。彼が政治や社会について話しているときに「一般大衆が」という言葉を使うのが気になったので正面から聞いてみた。 「あなたはその一般大衆の中に入っている前提で話してる

いくら正しいことを言っても:Anizine

大将、殿、カイザー。 言わずと知れた萩本欽一、北野武、設楽統の呼び名である。(敬称略) なぜ、お笑い界で頂点にのぼりつめた人にはそういう名前がつくんだろうと考えた。また、この3人が東京の芸人だということにも気づく。明石家さんま、松本人志などには異名がつかないのだ。 関東と関西の笑いの質に違いがあることは、俺みたいなド素人が書かなくても皆わかっているだろう。西の芸人は「下から攻める」というか、私たちはアホですから、というスタンスを崩さない。やしきたかじん、上岡龍太郎タイプ

◎Anizineご報告:パフォーマー

あるパフォーマーへ 10000円 岸田奈美さん主催イベントへの賞金 2000円 を「Anizine」の定期購読料から支援させていただきました。定期購読メンバーの皆さん、いつもありがとうございます。 note「Anizine」 https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd

ブラッド・ピットにおはよう:Anizine

世界中のすべての人に、違う環境や生き方がある。だから全員を満足させることはできない。それが「何かをするとき」の出発点だ。 「何かをする」とカギ括弧をつけたのは、何もしないなら満足も不満足も生まれないということ。俺たちの仕事は誰かに頼まれて、トイレなどで代弁する仕事だから、いつも満足と不満足の批評に晒されているが、満足はさておき、不満足から批判を受けるダメージも料金に含まれていると思っている。 仕事をしたことはホメられなくていい。そんなのは当たり前だからだ。小山薫堂さんとラ