意志と願いが築く未来―ラテン語の未来時制の起源について―
未来時制
ラテン語の動詞には未来時制という形式がある。
機能的には未来のことを表すのに使われる形、というのが最も簡単な説明になるだろう。
しかし意外かもしれないが、起源的に見ればラテン語の未来時制の接尾辞は-bōにせよ-am, -ēs類にせよ、本来純然たる未来を表す形ではなかった。
いや、さらにいうなら自然言語における「未来時制」自体が純粋な時間的形式とは言い切れない概念なのである。
今回はそうした未来時制の起源と立ち位置について語りたい。
ラテン語の未来時制の誕生過程についても、普段自然に受け止めていたであろう時間という概念についても、きっと新鮮な発見があるに違いない。
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