三角関係
最近、息子(二歳)にお気に入りのぬいぐるみができました。奇しくもそれは田辺さんがくれたぬいぐるみでした。そのぬいぐるみはペンギンとねこが合体したぬいぐるみで、息子はその子を「こねこちゃん」と呼び、(ペンギン部分全カット)自分のご飯を分けてあげたり、どこへ行くにもそのぬいぐるみを連れて行くほど大好きなようでした。
私はお礼もかねて田辺さんに報告しました。
私「田辺さんがくれたぬいぐるみ、息子大喜びだよ。ありがとうね」
田辺さん「あら!嬉しいね!」
私「こねこちゃんって呼んで可愛がってるよ」
田辺さん「こねこちゃん!あら、モテ男みたいな言いまわしするようになったのね!」
田辺さんはとても嬉しかったらしく、ネタ合わせで集まったとき、はるちゃんに自慢していました。
田辺さん「みたらしちゃん(息子のあだ名)、私があげたぬいぐるみがとてもお気に入りみたいなの!」
はるちゃん「良かったですね!この前テレビに出てる田辺さんの顔を見て大泣きしてるみたらしちゃんの写真面白過ぎましたもんね!」
田辺さん「その話はよしましょう。私があげたぬいぐるみをこねこちゃんって呼んでるのよ!」
はるちゃん「え?もうそんなキザなこと言えるんですか?」
私「うん。しかもさ、『こねこちゃん見てて!』って言って、他のぬいぐるみたちを戦わせて、それをこねこちゃんに見せるのよ」
はるちゃん「そんなことどこで覚えたんですか?」
私「それが謎なのよ」
田辺さん「人って教えなくてもそれくらいひとりでできるようになるのよ」
私は(人ってそうなの?)と思いました。
それから数日後。息子がご飯を食べるのを嫌がった時、何となくこねこちゃんを持って
こねこちゃん(ただの私の声)「みたらしく~ん!!僕と一緒にごはん食べよ~!!」
と言ったところ、
息子「こねこちゃん!!」
と、息子はこねこちゃんがそう言うならと食べ始めました。それから息子は、
息子「こねこちゃんやって!!」
と、私にこねこちゃんの声優を要求してくるようになりました。ただの私の声なのにこねこちゃんでお願いするとわりと言うことを聞いてくれるので、これはお互いウィンウィンだと私もこねこちゃんの声優として頑張っていこうと思いました。
田辺さん「今日のみたらしちゃんある?」
息子が生まれてから田辺さんが毎日送ってくる、「今日のみたらしちゃんちょうだい」がきたので、(田辺さんが送ってくる理由についてはnoteに『写真』というタイトルで書いています)私は寝転がっている息子にこねこちゃんを使って『みたらしちゃん』とただ話しかけただけで息子が起き上がり、『ど~ぞ~』と、こねこちゃんにおままごとのホットドッグをふるまう動画を送りました。ついでに私はこねこちゃんの声優をやっていることも田辺さんに伝えました。
田辺さん「え、みたらしちゃん寝転がってたのに!!起き上がってる!!すごい!!私なら寝転がってるとき話しかけられてもすぐにホットドッグふるまえないよ!!」
田辺さんは「何なら私はるちゃんに話しかけられても起き上がらないよ!!寝転がったままだよ!!みたらしちゃんはすごい!!」ととても褒めてくれました。
田辺さん「こねこちゃんもみたらしちゃんに出会えて幸せだね」
私「田辺さん、こねこちゃんと出会わせてくれてありがとうね」
田辺さん「それ田辺さんがくれたんだよってちゃんとみたらしちゃんに毎日言ってくれてる?」
私「もちろん」
田辺さん「それなら良かったわ!引き続きよろしくね!」
その流れで、私は田辺さんにただの私の声なのにこねこちゃんでお願いするとわりと息子が言うことを聞いてくれるという話をしました。それを聞いて田辺さんが『すごいこと思いついちゃった!』と、何かを思いついたようでした。
田辺さん「ねぇ、その子の声で『僕、田辺さんととても仲良しなんだ』『田辺さんはすごく良い人だよ』って言ってくれない?」
田辺さんは真面目にそのようなお願いをしてきました。
私「田辺さん、こねこちゃんを利用しようとしてる?」
田辺さん「使えるものは使わないと」
田辺さんはテレビに映る『ケーキのフィルムについた生クリームをフォークでこそげとるときが一番最高』と語る自分の顔を見て息子が泣いたことが相当ショックだったようでした。私は田辺さんに後ろめたさもあり、(こねこちゃんに見せるために戦わされるぬいぐるみの声も息子に要求されるようになり、声のレパートリーの無い私はファイターのぬいぐるみ達の声を全員田辺さんの物まねでやっていることなど)やってみると約束しました。
息子「こねこちゃんやって!」
時が来ました。私は頼まれた通り、
こねこちゃん『こんにちはみたらしちゃん!僕、田辺さんととても仲良しなんだ!』
と、自分は一体何をやっているんだろうと思いながら言いました。
息子「…」
私(聞こえなかったのかな?)
こねこちゃん『僕、田辺さんと仲良しなんだ!田辺さんって優しいんだよ!』
息子「…」
こねこちゃん『僕、この前田辺さんとおにぎり食べたよ!(私の事実)田辺さんと仲良しなんだ!』
息子「たなべさんもういい!!」
息子にいきなりキレられ、私は驚きました。息子は私からこねこちゃんを奪い取り、遠くへ行ってしまいました。私はありのまま今起こったことを田辺さんに報告しました。
田辺さん「ミスったね!みたらしちゃん私に嫉妬したのよ!大好きなこねこちゃんと田辺さん仲良しって!三角関係始まっちゃったよ!」
私が何も考えずに田辺さんの頼みごとを聞き入れ手しまったため、世にも奇妙な三角関係が始まってしまったようでした。
田辺さん「こねこちゃん、みたらしちゃん、私か…困ったね」
私「田辺さんは息子のライバルになっちゃったんだね」
田辺さん「何でこんなことに!物騒ね!私が2人を策略に嵌めたりするのかしら…」
田辺さんはこねこちゃんのことを人として考えているようでした。
私「まぁ、ぬいぐるみと2歳じゃ策略は立てられないからね。この三角関係を盛り上げるなら田辺さんが動くしかないよ」
田辺さん「テクニック使えるのは私だけだものね」
私「38歳が2歳とぬいぐるみの中をどうやってかき回すのか気になるね」
田辺さん「こねこちゃん捨てるしかないよね」
めちゃくちゃ力技使うじゃんって思いました。
おわり
***
※ぼる塾の日常が一冊の本になりました!「酒寄さんのぼる塾日記」全国で発売中です。田辺さんが頭を使った策略として「みたらしちゃんにこねこちゃんは地球を侵略する悪魔らしいよ!って吹き込むとかかしら?」と言って来たので、公式で宇宙人設定のキャラクターなのかと思い、「こねこちゃんって宇宙人なの?」と聞いたら、田辺さんは「安心して。ただのぬいぐるみよ」とまじで私が(もしかして悪魔!?)と心配してると思ったような返事をくれました。詳しくは↓
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