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12星座

石井ゆかりさんの「12星座」を読みました。このような表現の仕方もあるのかと思いながら読みました。

はじめに

牡羊座から始まり、魚座でひと回りし、さらにまた牡羊座へ進むという、人生の循環の中で、人格が成熟していくというストーリーという意味では、特に目新しいものではありませんでしたが、多角的に星座の仕組みを解き明かそうとしていて、なかなかに意欲的な取り組みだなと思いました。

フェアリーテイル、仕組みの話、神話の話、それぞれのサインの特徴、スケッチ、メッセージという流れで、組み立てられていて、順番に読んでもいいし、気になるところだけピックアップして読んでもいいようになっていますね。

また、ところどころにいろんな分野の著名人の文章が引用されていて、見事だと思いました。その範囲も広くて、石井ゆかりさんがかなりの読書家であるということが、自然とわかります。たくさんの本を読まれていることがベースにあって、彼女の素晴らしいお仕事があるのだということも理解しました。

飛び出してきたもの

興味深かったのは、最初の牡羊座の始まりのところでした。魚座の世界を死の世界と例え、とても辛い場所であったから、とにかく勢いよく飛び出してきたという表現の仕方をされていました。とても新鮮でした。

牡羊座が、とにかく速いということのひとつの説明にもなっていると思いました。たしかにおぎゃーと生まれてくる赤ちゃんも、ほとばしるように躍り出てきます。

ここまで書いていて、息子が生まれたときのことを思い出しました。ほんとうにほとばしり出てきたんですよね。全身全霊の雄叫びとすごい踊りを見せられているようでした。生まれてくるということは、盲目的で、爆発してしまうかのような、激しい物理的な挑戦なのではないかと思います。みなそうやって生まれてきたということなのでしょう。

その時には当然、理性的とは言えないわけです。衝動的だし、向こう見ずで、鉄砲玉というような飛び出し方になりますが、冒頭部の牡羊座のフェアリーテイルのところでは、そのような雰囲気がよく出ていましたし、牡羊座がなぜ速いのか理屈を超えて伝わってきた感じがしました。

そして、そこを通ることで、記憶は消え、履歴は抹消され、あらたにゼロからスタートするという事になります。

季節的に見てみると

「サインは地理を理解するように理解する」というのは、ミカミ・ポーラさんの表現ですが、

ここで語られていたのは、魚座の時期は、食糧は底をつき、ギリギリの中、なんとか希望を見出そうとしているというお話です。しかしそれにしてもやはり、死にそうなほどに苦しかったはずですから、春分になって牡羊座に入ると、どっと飛び出していくというのもわかる気がします。

春になり、いち早く動いて田畑を確保し、耕して種を蒔く必要があるというのが、季節的に見た解釈になりますが、石井ゆかりさんの書かれたストーリーは、魂の遍歴という要素が強く、まさに人が成長していく物語ですね。

やむにやまれず、飛び出してきた生命体というのは、もしかしたらすべての人に当てはまることなのでしょう。そして、みなゼロからスタートするわけです。

12星座を旅する

牡羊座で誕生した生命は、やがて牡牛座で感覚を発達させていきます。双子座になると言葉を話し始め、他者と関わりを持つようになり、蟹座においては共感できる仲間を作ります。獅子座で自分を見つめ直し、乙女座でいちおうの個の完成をみます。

天秤座では社会と関わり始めますが、蠍座ではひとりの人にターゲットを絞って契りを結びます。射手座で人生を語り、人生を謳歌し、山羊座でひとつの完成形を見いだしたわけです。水瓶座ではそこからさらに意識を進化させることに焦点を向け、魚座ではすべてを受け入れて、すべての人々の幸を祈るようになります。

星座を順番に辿りながら、それぞれの星座を体現しながら、少しずつ人格形成していくというプロセスが描かれていきました。

自分のストーリー

ほんとうに、人の数だけストーリーはあると言えるのかも知れません。サインを絡めながら、天体を絡めながら、ストーリーを作るというのはいつかやってみたいことのひとつです。そんなことを思いました。

石井ゆかりさんのストーリーとはまた違うストーリーをすべての人が語る資格を持っているのだと思います。それぞれが唯一無二の存在ですからね。それぞれが辿ってきた道のりは、とても個的なもので、オリジナルなもので、どの経験もとても大事なものだと思います。それ自体が、アカシックレコードの更新作業と言ってもいいのではないかとさえ思います。

こうして、星を生きることで、人間は宇宙を創造している第一原因なのではないかと思うことがあります。僕たち人間の歩いてきた道のりが、そのまま宇宙であるわけですし、星の運行は私たちの自我活動とリンクしているわけですからね。

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