なんで涙が出たんだろう
私が好きな作家さんの本を、弟が持っていたので借りた。
読んだことはあったけど、何年も、下手したら10年以上も前。内容はなんとなく覚えていたし、当時自分の中でざわついた場面は覚えていた。
やっぱり面白くて、そして、多分前は泣かなかったところで泣いた。
私は本でも漫画でもアニメでも泣く人なのだけれども、無意識にこらえてしまうのでいつも顔に力が入る。食いしばる癖に加えて、目元にも力が入る。
でもたまに、気持ち的にはすごくぎゅうっとなっているのに体には全然力が入ることなく泣くときもある。しまりの悪い蛇口みたいに、ただただ静かに涙が流れ落ちる。
違いは何だろう。無意識にこらえる涙と、流しっぱなしの涙。どちらも同じように心はぎゅっとなっているはずなのだ。どちらも、あとで思いだしたり考えたりするとぎゅっとなる。
どちらが先か、ということなのかな。心がぎゅっとなるのが先か、涙が流れだすのが先か。でも涙だけ突然流れるわけない。何かに反応して、私は泣いているのだ。
涙に気づいて、気づいたときにぎゅっとなるなら、その涙はどこからきたものなんだろう。ぎゅっとなる理由はなんとなくわかるけれども、理由に気づく前に流れ出した涙と、気づいてからこらえる涙はなんとなく違う気がする。
何が、私のどこに、触れたのだろう。
あの涙は、どんな気持ちのときに流れる涙なんだろうなぁ。
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