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方程式の美学(あね)

えー、ちちの言葉は思い違いだったかな?与えられた環境を大事にしろ…言われてみればそうだった気がする。いずれにせよ、あなたはそれをベストを尽くせ、ととったのね。置かれた場所によっては咲けない、か。自分が何の種かを知っていることが大事…!やっぱり私は自分がなんの種なのかは、まだ知らないのだと思う。どんな場所でも咲こうとしているから…雑草ぽいじゃない?私って。

話はちちのことに戻るけど、方程式を教えるときに、おでんの絵を描いたよね。こちらにはんぺんがあれば、こちらにもはんぺんを。こちらにたまご(大阪ではにぬき、という)があればこちらにも。最後に串を刺すの。数学って美しいものなんだな、と思った。計算できるものは計算せよ。言ってた!約分とかね、移項してまとめたりね。まぁ、数学は全然わかるようにはならなかったけど。好きじゃなかったし。私がいたずら描きしてるのを、数学で図を描くのに役立つと言ってたけども…それはどうだか…

まてまて、ちちの言葉がたくさん浮かんできたぞ。

◯学校の勉強が何の役に立つのかわからんと言う奴は、テレビ見るな!テレビが何で映るかわかるか?

◯世の中にはわからないことの方が、わかることより遥かに多い。

◯暫時休憩!(ちちの塾で、夏休みの講習会の休憩の時に。残児だと思ってた)

そういえば、高校1年生の時、大江健三郎の「快復する家族」を読んだ時の話。先天的な障害をもつことについて想像の枠を超えられず、理解を深められなかった。そんな折、ちちに、水俣病による重い障害をもった人の人生は虚しいのではないか?聞いたことがある。わからない、何が希望なのかと。そうしたら父は、「虚しいなぁ、虚しいと感じられないのが、虚しい。」と言った。私はその答えにびっくりした。およそちちらしくない答えだと思ったから。きっと、私がハッとするようなことを言ってくれると思ったのに。そんなはずないじゃないか、って、思った。結局、私の結論は、周りの人に生きる希望を与えてくれる、意味を教えてくれる、だった。おこがましくて恥ずかしい。私はその本で読書感想文を書き、大きな賞をいただいたけれど、ちちはその感想文、読んだのかしら。なんて思ったんだろう。笑っていたかもしれない。甘ちゃんな考えに。

ちちは数学も好きだったけれど、言語学者だったね。あなたがいちばんその血をひいているように思います。あなたの開く本屋が楽しみです。


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