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未来から逆算して過去を作り変える 未来思考のススメ

日本酒の”獺祭”を作っていることで有名な旭酒造。

代表取締役社長、桜井博志氏の思考が完全に”未来思考”ですごい。

旭酒造は山口県の山奥にあって、まず良質な酒米が手に入らない。周りに田んぼがないからね。この時点で酒造メーカーとしてはすでにオワコンじゃないか…。

なので、県の経済連を通して米を融通してもらおうとしたら、3年間待てど暮らせど手配してもらえない。仕方がないから、役所に頼まずに自分たちで米を手に入れるために動く。これ、35年ほど昔の話。

「もし県が米をスムーズに融通してくれたら、今の旭酒造はなかった」と桜井さんは言う。当時、旭酒造は山口県でも弱小企業。そのまま県から米を手配してもらえたら、配給量は身の丈にあった微々たるもので、その後の今のような成長は期待できなかったはすだから、と。自分たちで米を仕入れることにしたから、いくらでも仕入れることができたのだと。

その後、会社に元々いた杜氏がいまいちということで、他県から杜氏を招へいする。努力の甲斐もあって、10年かけて少しづつだが売上を伸ばしていくのだが、ある時、長年勤めた杜氏が会社を去って行ってしまう。理由は会社が手を出した地ビール事業の失敗による業績下降。杜氏に満足のいく給料が払えなくなったからだ。こうして、杜氏がいなくなったことにより、自分たちで酒を作るしか生き残る道がなくなってしまう。

「給料が払えないのだから杜氏が去るのは当たり前。でも、彼が去ってくれたおかげで、その後の発展がある。彼が自分を犠牲にして会社に残ってくれたら、今の旭酒造はなかった」と桜井さんは言う。つまり、杜氏の技術に頼らなくても酒が作れるシステムを開発するきっかけになったからだ。

桜井さんにかかると、日本酒業界全体の業績下降すらも今の旭酒造の発展に寄与しくれたことになる。業界全体の規模が下がったおかげで、自分たちのような弱小企業がシェアを拡大することができたのだからと。まあ、戦国時代の下克上みたいなもんだね。

この桜井さんの思考は、まさに未来(つまりは今だけど)が過去を作る、作り変えるという、未来思考だといえる。この未来思考を持てれば、失敗にくよくよしなくなる。だって、何が未来で成功するのか誰もわからないのだから。今の失敗だって、未来では成功のきっかけになるかもしれないし、それを誰も否定することはできない。否定できるとしたら、タイムスリップしてきた未来人だけ。

そう思うと、何があっても「まあいいか」となる。どんなポンコツと仕事しても、「これも成功のきっかけかも」と思えるかもしれない。というか、そう思うことにする。

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