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夜明け前

次の休日はあれをしよう、これをしようと考え始めた。日常が再び帰ってきた。人生が回り始めた感じがある。人生の時間はこれまで一度も止まったことは無かったし、今もそうなのだけど。

無くなりかけていたフィルムを注文した。写真を撮るのを再開した。周りの人達も動き始めた。遠くの知らない街でも人々は動き出しているのだろう。風景が新しく見える。

息を大きく吸って吐く。見慣れた風景なのにどこか新鮮だ。遠くへ行きたい。写真を撮りたい。今、形に残したい物語がある。一人では撮れないから被写体さんに手伝って欲しい。作りたい。この熱を創作にぶつけたい。

現実と想像の間にいる。バランスを保って立っている。目に見えるものを使って、目に見えない世界を表現したい。昔から情熱を人に伝えるのが苦手だ。でも今ははっきりと言える。真っ直ぐ過ぎる位に伝えてしまう。作りたい物語がある。

今日も夜が来る。真っ暗な部屋で考えるのはイメージの世界のこと。目を閉じて、眠りの前に夢を見る。どこへも行けなかった私たちの夢。人の沢山いる社会に馴染めなくて、部屋の中でひとり過ごしても長くは続かなかった。居心地の悪さが人生を形作っていた。そんな夢。

誰とでも仲良くなれるのは嘘。自分自身とだって一緒にいられない。どこへも居られなくて、どこへ居るのも違う気がした。世界から置いていかれる気がした。唯一心が落ち着くのは、誰かの作ったものに触れる時。映画、音楽、小説、全ての芸術。全てのデザイン。人の声だって誰かが意識して発したものだ。人の温もりも同じだったのかもしれない。

現実の全てを諦めてさよならを告げたかった。それも出来ずに同じ場所にいる。変えようとする力じゃなくて、別の道を選ぶ。心の内側にあるものを取り出したい。誰かに引っ張り出されるのもいい。

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