早大生専用のSNSを作って400人規模のコミュニティを立ち上げた話
こんにちは、現在早稲田大学に通う4年のあんどりゅーと申します(この記事を書き終えるのに卒業式を越してしまったので正確にはOBとなってしまいましたが...)。
時が経つのは早いもので、長かった学生生活は終わり、桜が散る頃にはもう社会人となっているでしょう。
というわけで大学生活の振り返りがてら、僕が在学中に立ち上げたKonpeki(https://konpeki.site)というSNSの誕生秘話をまとめてみましたので、どうぞご覧ください。
コンペキとは何か?
konpeki.siteは早稲田生限定のSNSです。
早稲田に精通している人だったらご存じかもしれませんが、早稲田大学にはマイルストーンという大学の授業情報やサークル情報などをまとめて500¥で販売している雑誌があります。それのネット版を作れないか、という試みによりできたのがKonpekiです。
さて、このKonpekiというネーミングですが無論早稲田の校歌、「紺碧の空」から来ております。風の噂で聞いたのですが4文字のプロダクトは売れるらしいですね。メルカリとかグーグルとか。
文字数的観点から言っても完璧なネーミングでしたね(自画自賛)。
なんで作ったのか?
作った理由としてはプログラミング言語の勉強のためでした。React.jsというFacebook製のフレームワークが流行っておりその勉強のために何か作れる面白いアイデアは無いかと探していました。
その時ふと思いついたのが大学限定SNSの作成です。
大学生限定のSNSと言えば、Facebookの元となったアイデアと同じですね。かの有名なFacebook社のCEOであるザッカーバーグ氏はハーバード大学在学中に大学生限定のSNSを作ろうと考えました。そのプロジェクトが現在のFacebookのもととなっています。
要はザッカーバーグ氏の様に影響力のあるSNSを作りたい!と考えたわけです、めちゃめちゃ二番煎じですけど。。
いいアイデアを思いついたらあとは行動に移すのみです。それでは早速作っていきたいと思います。
Step1. アイデアを想像する(一番楽しいとこ)
まず最初にどんな機能が欲しいか考えました。
ニュースフィードや友達申請機能、インスタの様な写真投稿機能などアイデア膨らむばかりです。しかしターゲットのユーザー視点で考えなければなりませんね。
今回のターゲットは早稲田の学生です。現状競合他社と呼ぶのもおこがましいですがFacebookやInstagramがある以上、ニュースフィードや写真投稿機能などの為にわざわざKonpekiを使う必要性がありません。
じゃあFacebookになくてKonpekiができるもの、それは何か?考えた末見つけたのが「ローカル性」でした。
早稲田生だけのクローズなコミュニティにしよう!そう考え、まずは早稲田生限定ログイン機能、授業検索、レビュー機能を実装することにしました。
Step 2. 機能の実装
機能の実装、ここが一番時間のかかる部分ですね。ですが読者の皆さんのほとんどがあまりテクい話は興味がないかと思いますので省きます。
知りたい方はDMください。
ざっくりいうとフロントReact、バックはRuby、Python、インフラはAWSです。ちなみに3ヶ月くらいかかりました、、とほほ
Step3. リリース
ついに待ちに待ったリリース日です!
一応最低限の機能は完成し、後はユーザーの反応を伺いつつ改善していくのがベストだと感じた為、最低限の機能を盛り込んだ段階でリリースすることにしました。
最低限の機能とは
•ユーザーログイン
•ログインパスワード変更
•授業検索
の三つです。
どうやって広めるか?
自分が持てるリソースとしてはTwitterなどでの拡散程度しかできません。
ですがいきなり拡散しようと思ってもフォロワーがそんなにいない平凡大学生なので拡散されません。。そこで自分の親しい人に直接メッセージを送り、使ってもらうことにしました。
これには二つの利点があります。一つは自分がツイッター等で発信した時、拡散してくれる可能性が上がることです。二つ目は直接送ることにより、ユーザーの反応を直で聞くことができることです。
もう少し登録時に飛ぶメールを分かりやすくした方がいい、授業検索のUIが見づらいなど様々な指摘を受けました。指摘された箇所を修正し、ツイッターでリリース告知をすることになりました。
作戦が功を制したのか、400件以上のリツイート、また新規ユーザーとして300人以上がサービスを登録してくれました。
まずはここまで、0から1にするステップはまずまずいったというところでしょうか。
次は1から10を目指すフェーズです。
仲間を集める
ここからこのプロダクトを成長させるには自分一人では厳しいと感じました。
なぜなら自分一人だとどうしてもアイデアが偏るし、サービスとしての勢いも大人数の方がつくと思ったからです。というわけで仲間を集めることにしました。
やり方としてはこうです。
まずプログラミングに興味ありそうな友達にメッセージを送る、またリリースのツイートに紐付け、参加したいメンバーを募集しました。
その結果最終的に7人程のメンバーが集まりました。
組織を作る
集まったメンバーとともに毎週土曜にキャンパスに集まり開発をしていくことになりました。集まったメンバーは学部もバラバラ、スキルもバラバラでした。
テキストエディタのダウンロードから環境構築、Linuxコマンドの勉強など基本的なところから教えていきました。
初心者だったのが1ヶ月ほどでLP作れる様になっていたりと驚く速度で成長してくれるメンバーもいて、とても教えがいがありました。
競合サービスとの戦い
早稲田には実は他にも同じようなSNSを作ってるサービスがあります。
同じ時期にリリースしたというのもありお互い意識はしていたと思います。
次第にライバル意識からなのかKonpekiは早稲田生のメールアドレスを不当収集している、授業データの著作権を守っていないなどと競合サービスからのバッシングを受け始めました。
メールアドレスやパスワードに関しては暗号化されているので問題ないですが確かに授業データの著作権等は考えていませんでした。
そしてある日のことです、一通のメールが届きました。
大学から呼び出しを受ける
「確認したいことがあるから大学まで来て欲しい。」
そう一文だけ添えられたメールは中々に自分の心を揺さぶりました。
「やはり授業データを勝手に利用したのがダメだったのか?」
「サービス停止、もしや退学なんてこともありうるのか?」
など様々なことが頭の中によぎりました。
ですがとりあえず話を聞いてみないことには始まりません。
指定された時間に大学のとある教室に訪れました。
お偉いさん5人 vs 僕
ドアを2回ほどノックし入った扉の先には、スーツを着た自分の父親くらいの年齢の大人が5人程長机に座っていました。もう心臓はバックバクです。
「あ、これ詰められるやつだ」
部屋に入った瞬間、自分のシックスセンスがそう悟りました。
「このKonpekiっていうの君が作ったサービスだよね?」
はい、そうです。と申し訳なさそうに返しました。
「このサービス...一人で作ったの?...すごいね。」
えっ?
まさかの展開に変な汗がにじみ出ました。
結論から言うと大学側が呼んだ意図としては、どんなサービスをどういう目的で作ったのか知りたかったということでした。
サービスの停止を求めるどころか、利用規約をきちんと書いた方がいいなどユーザーとのトラブルを回避するための様々なアドバイスをくれました。もちろん、このような学生の個人情報を扱うサービスを運営する際に気をつけるべき点は指摘されました。授業データの著作権に関しては最終的には早稲田生にとって役立つサービスを作るという目的なら、ということで寛容な対応をしてくれました。
改めていい大学に入ったなと感じました。こうしてKonpekiは遂に大学からも認められたサービスになりました。
拡大するサービス
大学からも正式に認められたことで、ますます機能改善のモチベーションも上がりました。
授業レビュー機能やチャット機能、プロフィール機能など様々な機能を追加していきました。それと同時に様々な人がKonpekiの拡大を応援したい、とお声をかけてくださりエンジニア以外のメンバーも増えていきました。
今からますます成長させるぞ、そう思った僕には残念ながら卒業の季節が近づいてきてしまいました。
スタートアップが死ぬ時
以前どこかでスタートアップが死ぬ時。という記事を読んだことがあります。
その記事曰く、スタートアップが死ぬのは資金が尽きた時でも、人員が確保できなくなったときでもありません。作っているサービス、プロダクトに対する「情熱」が消えた時です。
早稲田大学の卒業が近づくに連れ、自分の情熱は「大学生に役立つサービスをつくること」から「社会に役立つサービスをつくること」に変化していきました。集まってくれたメンバーと話合い、サーバー代等が毎月かかるので2020年四月末を持ってサービスは停止することになりました。(ユーザー様のメールアドレスなどの個人情報は責任を持って抹消いたしますのでご安心ください。)利用していただいていたユーザー様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。。
これから
僕は4月1日から社会人となり、都内のベンチャーでsoftware engineerとして働いていきます。この会社では大学3年の夏から働かさせていただいているので特に新卒感はないのですが、インターンではなく社会人として働くので今まで以上に自分の創作物に責任を持ち、最先端の技術を追い続けていきたいです。
文系の学部である僕がそもそもなぜプログラミングに興味を持ったのかというと自分で何かサービスを立ち上げたいと思ったからです。なので特に最初はエンジニアとして働こうというつもりはありませんでしたが、プログラミングというツールを用いて社会に与えることができる影響力、日々進化していくテクノロジーの世界に魅了され、自分も常に最先端の技術を追い求めていきたい、そう思いました。エンジニアとして働きつつ次の自分の「情熱」を探したいと思います。
Special Thanks
このサービスをユーザー登録し、利用してくれた399名(2020/03/27現在)のユーザーの皆様、ありがとうございました。リリース前に個人チャットで自分へフィードバックを与えてくれた初期ユーザーのみんなもありがとう、また何かサービスを作った際には連絡させていただくかも知れません。
そしてメンバーのみんな。各々予定があるのに毎週土曜日空けてKonpeki開発会議参加してくれてありがとう。ほとんどがTwitterのDMを送って集まってきてくれたメンバーで、最初Twitterで呼びかけたらどんな人がくるのかな、と半分ワクワク半分ハラハラで募集したんだけど、みんなすごい向上心が高く人としても面白いメンバーばっかりで、ご縁があればまた何か一緒に作りたいです。
そして早稲田大学、最高の4年間をありがとうございました。
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