ニュース✔︎:葛尾村避難指示解除日決定、震災関連死報道、福島県ストレス度全国ワースト1

葛尾村の野行地区の避難指示解除が6月12日に決まったというニュースで、朝日と毎日が長めの記事を掲載しているので、備忘録程度に紹介しておきます。

これだけ長期にわたっていると、県外の人どころか県内の人でさえ、どこの避難指示が解除されたかされていないか把握している人は、ほとんどいなくなっているのではないかと思います。

そういえば、最近、また放射線量を「◯倍」といった相対的なところだけ記載してある記事が目につくようになっていますが、絶対値としての測定値も記載するべきだと思います。リスク認知は、相対的な判断で行われるということは理解していますが、「◯倍」という記載では、リスクの程度がまったく判断できません。

■帰還困難区域の避難指示、葛尾村が一部解除の方針 住民から不安の声

だが、日課の約1時間の散歩で行き会うのは除染や工事の作業員ばかり。かつての友人も知り合いも見かけない。周辺の家は解体され、震災前の風景も消えた。「おれのふるさとはもうないんだな」。帰還して現実を突きつけられた。

数日前、避難していた南相馬市の中古物件2軒を見学した。「もう双葉町が嫌だから」。良い物件が見つかれば、引っ越すつもりだという。

本文から

ようやくこうしたコメントを記事として掲載するようになったか、と思います。これはずいぶん前から言われていたことで、帰還したものの、実情が想像していたのとは違い、戻った先で落ち込んでしまっている、という人は多くいらっしゃるものと思います。

これは、場当たり的な復興というよりも再開発計画の弊害で、「戻ってほしい」ならば「戻りたい」と思える、元の風景を残した復興にしなくてはならなかったのだと思います。

こうしたコメントは、日常茶飯的に解除地域では言われていたことですから、普通に地元の人たちの話を聞いていれば把握できたことですし、こうした意見を踏まえつつ計画を修正することだって可能だったのではないでしょうか。

関連して、大熊町図書館を解体するのに反対署名活動が行われているという記事です。私も大熊町出身の方から、どれだけ大熊町が図書館教育に力を入れていたのか伺ったことがあります。大熊出身の子供は、図書館の利用の仕方が他の自治体で育った子供たちとは明らかに違うのだとか。

解体する理由が放射線量だけなのだとすると、価値的な重要性とのバランスですから、極端に線量が高いのでなければ(たとえば建物が10μ/hを超えているとか)、線量を明示した上で残すというのも選択肢ではないかと感じます。

■重い11年間「帰りたいよ、でも…」 諦めた、だけど忘れられぬ故郷

関連死問題について、毎日新聞が掲載しています。

■終わらぬ震災関連死 原発事故で突出、福島県2333人 長引く避難/重なる転居/喪失感 - 毎日新聞

避難が終わり帰還した後であっても、故郷に住民や店舗が戻っていない現実に直面し、体調の悪化につながるケースがあった。12年1月末に居住が再開した同県川内村では帰村後に体調が悪化して関連死に認定された人が複数いた。遺族が書いた経緯書には、いずれも周囲の知人や通い慣れた店が戻っておらず、孤立や運動不足など心身に悪影響があったと記されていた。

本文から

避難指示解除をしたからといってそれが問題が解決するわけでなく、さらなる困難をかかえることになる人も少なからずいるものと思われます。
もちろん幸せに暮らしている方もいらっしゃるわけですが、「風評」になるからといって、負の部分にまるっきり蓋をしてしまっているのが現状で、そのせいで、対策を話し合うことさえできない、気詰まりな雰囲気が全体を覆っている、という感覚を抱いています。
話し合わなければ、対策も考えられないのです。蓋をし続ける限り、改善のための手はうてません。

ストレスオフランキング2021で、福島県が全国で最下位(もっともストレスが高い)のは、こうした「もの言えぬ」気詰まりな雰囲気が大きく影響しているのではないか、と思っています。
これも、県政中心方面のテンションの高さとの対称性が際立っていて、ほんとうに、県政の人たちは自分達の狭いサークルのなかしか見ていないし、関心がないんだな、と思うばかりです。


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