ニュース✔︎:福島県の20代女性転出超過数が全国的にも多いこと
中国新聞の記事で2021年の転出超過数ランキングで広島県が第一位だったと紹介された記事のなかで、福島県が第二位にランキングしているのに気付きました。
2021年の日本総研のレポートにも分析がありました。
しょっちゅう2015年が転機だったと書いているのですが、ここでも2015年が大きな転機になっています。最初の3年が大きな節目になって、人も資本も引き上げたということだと思います。だいたい民間の助成金なども3年がひと単位となっていることが多いです。外からの人の流入があるときは、新しい出会いや発想がもたらす活気で地域は明るくなるけれど、それがなくなるにつれ、旧来の社会が(強化されて)戻ってくるという構図がここでも裏付けられます。
上記レポートでの産業構造分析にも、やはりもともと福島県の主力であった製造業が復調できないまま、それが所与の社会として固定化されてしまったという記述があります。
県内の統治機構システムは、震災前(を通り越して昭和)に逆戻りしているのに、産業構造は震災の影響が強く残ったまま、という歪な形での復興ということになるかと思います。
産業構造問題をしつこく書いているのは、マスコミ的にキャッチーな「風評」にとらわれすぎて、もっと広範囲に影響が渡る産業問題への対策がなおざりになっているのではないか、と強い懸念を抱いているからです。(風評も影響を受ける当事者にとっては大問題であるのはまちがいないですし、その対策は必要ですが、全体の経済から考えて力の入れ方が不均衡になっているのではないか、という意味です。)
調べているうちに、福島県は20代女性の転出超過がずっと上位ランキングにあるとの記載をニッセイ基礎研究所の記述に見つけました。
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/67948_ext_18_0.pdf?site=nli
上記の記載があるので、男性との比較はどうなんだろうと思って探してみたら、以下のようなサイトで比較ができました。
これを見ると、確かに20代女性の転出数は、一貫して20代男性の転出数よりも多いです。
福島県の某自治体の首長さんが、子供を増やすには「男性が稼げるのが重要」(女性は稼げなくてもいい)と仰ったことがありましたが、それに対する批判の声は県内ではほとんどあがりませんでした。そんな状況を見て、若い女性たちは声を出さないで、より女性が暮らしやすい県外に黙って去っていっている、ということだと思います。
これから社会に出て働き、出産する年齢の女性たちがずっと福島から去っていっているのに、女性よりも高齢者が活躍できることの方が優先的に捉えられているくらいですから、若い世代の女性はますます黙って去っていくだけなのではないでしょうか。
高齢者は、上述の某自治体の首長さんのような感覚の方が多く、高齢者の方の意見を優先すればするほど、若い女性は社会では暮らしにくくなります。
そして、県内に残るのは、そういう現状を諦めた、あるいは是認した女性ばかりになるので、ますます女性の社会的な活躍は見込めなくなる、というループに陥っているのが現状ではないでしょうか。
2022/05/17 追記
福島県の令和4年4月1日人口推計を見ると、男女の人口比率も20代前半では大きく異なっています。20〜24歳では男:女=120:100 近くなっています。(日本平均では105:100) また60代までは全年齢で男性の方が多くなっていて、50〜54歳になるまでは、ずっと全国平均を上回って男性比率が高いです。
そういう話をTwitterでしていたら、男女比を震災前2011年と2022年3月とで比較したグラフを作ってくださいました。
震災前後で、男女の人口構成比も大きく変わったということになります。これまで、震災後、女性がだんだん息苦しくなっていると指摘してきましたが、その現象は数としても裏付けられたということになります。
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