【メンバー紹介】個人事業主の活動を広げつつ。合同会社&ante創業メンバー、木村希です。
合同会社&ante(以下&ante)は、人と組織の可能性が広がる場を共につくる会社です。原田優香(ゆか)、大滝文一(ぶん)、木村希(のん)の3人で11月末の設立のための準備をしながら、これから様々な角度から事業をつくっていきます。
&anteにどんな人がいるのか・どんな思いを持っているのかを知っていただけるきっかけをつくりたいと考え、これから各メンバーへのインタビューを行い、定期的に思いを綴りお届けします。
今回は第三弾。合同会社&anteの創業メンバーであり現在個人事業主での活動も幅を広げている木村希に「会社設立への思い」を語ってもらいました。
聞き手:原田優香
記録:大滝文一
言葉にできない気持ちが大好き。だからどう言葉に表現するかはいつも葛藤がある。
(ゆか)のんは、こういうインタビューとかは初めて?
(のん)あんまりないね。ちょっとどきどきしてるよ。もともと、顔が見えない所に言葉を投げるのが不安なんだよね。文章書くのは好きだし会話自体も嫌いじゃないけど、発信となるとちょっと身構える自分がいます。(笑)
(ゆか)そうだよね。こういう発信することに怖さとかがあるのかな?
(のん)なんの不安なんだろうね。これは特に自分だけの話ではないと思うけど、普段目の前の人を見て伝える言葉を慎重に選んでいるところがあるんだよね。自分のなかにあるイメージを伝えるには表現方法を変えなきゃ届かないかな、とか、こういう言い方じゃ伝わらないからこっちの言葉を使おう、とか、今はこの言葉使いたくないな、みたいな。とはいえ不器用だからそんな冷静じゃいられない時もあるし、上手くいかないことの方が多いから、どういう表現が良かったのかなあ、みたいな葛藤や反省が残る場面は多いかも。最近自分の本棚を見て、「言葉」に関する本が多いなとも思ったりしてたんだけど、どう表現するかってことは自分が少し気にしているところなのかも。できる限り自分の言葉で伝わるように試行錯誤したいと思いつつ、相手に委ねることやそもそも100%は理解し合えないみたいな前提も意識してるな。
(ゆか)へえ。面白いね。それは昔から?
(のん)うん。昔からそう。他の人の言葉にできない気持ちとか大好きだし、逆に自信がみなぎっていないような、その人の迷いを含んだ言葉を聞くと嬉しくなる。でもやっぱり自分も社会人になってからは「通じる言葉」というか、スムーズでストレートな感じの言葉を選ぶ場面が多くなった気がして、選べてない時もあるね(笑)、そういう自分に俯瞰して気付いた時には悲しくなったりもする。日常のコミュニケーションでもこういう感じだから、発信ってなったらどうすればいいの!って感じはある。今までインターネットの世界で傷付く現場を目の当たりにすることがあったり、そこが得体の知れない「社会」や「みんな」みたいなものに支配されてるように見えてたりしてたから、それも身構える理由かも。
(ゆか)なるほどね。そんなのんの原体験とか聞きたいな。
(のん)なんだろ、ほんとに色々あり過ぎるよ。子供のころは、色画用紙を眺めて色に溺れていく想像をしたり、分からないものや得体の知れないものを見たり考えたりして楽しんでた。アニメとかにのめり込むとかじゃなくて……伝わってるかな?(笑)
(ゆか)人と違うことをして楽しむタイプってこと?(笑)
(のん)自分の感覚におぼれないと生きていけないタイプってこと。(笑)自分の心が動いていることを実感したいというか、そう実感することで目の前の物事との関係が成り立っていると捉えているというか。例えばアート作品も、もともと作品としてあるんじゃなくて、心が動いた私がいるからその瞬間にお互い「アート」になるみたいな。落ちている埃も綺麗だと自分が思ったらそれが自分にとってはアート。自分の心が動いた、みたいな瞬間を大事にしてるね。
大きな組織での叫びと自分の足で歩くこと
(ゆか)その感覚、素敵だな〜と思ったんだけど、組織に入ったら大変だよね。潰されなかった?
(のん)新卒で大企業に入ったけど、話したい言葉は通じないし、段々と言葉を投げることをやめてしまうところもあった。素敵な出会いやかけがえのない経験もたくさんさせてもらったから、全てが嫌だったわけではないけど、思うことも多くて許せないことで頭がいっぱいになったり、自分を曲げられなくて衝突したことも多かったな。潰されてはないけど、私が潰そうとしていたかも。(笑)「こういう気持ちがあることわかってよ!」みたいな。
(ゆか)そうかー、当時からのんの中では戦っていたというか、自分を生きていると言う感じだったのかな。
(のん)生きようとし過ぎてたね。自分がこの気持ちを伝えないとダメだという義務感や責任感があったのかな。大きな組織だと「みんなこっちだからこっち行こう」みたいな風潮が強くあったような気が私はしてて、「私は違う」、「それは‘みんな’じゃない」、みたいなことをどうにかして伝えたくて叫んでいた感じ。
(ゆか)叫んだりを繰り返す中で組織は変わっていったの?
(のん)びくともしないねえ。けど、応援したり笑って見守ってくれていた人も数人いて、そういう方々とは今もこれからも大切にしたい関係になってる。今思えばやり方はもっとあったのかもしれないけど、まあ叫んでも組織は変わらないし、傷付いたことも逆に傷つけてしまったこともあったな。
(ゆか)声が届かないことが組織を辞めるきっかけにもなった?
(のん)それもあったかも。組織を変えるとか人を変えようとすることにエネルギーを使うんじゃなくて、自分の在り方を模索しながら組織の外でも自分の仲間になってくれる人を見つけた方がやりたいことができるんじゃないかと思ったのはあるね。組織にいた時は自分の声を届けなきゃと思って必死だったけど、もっと世界は広いんじゃないか?って思うようになった。
(ゆか)そっかそっか。大きな組織を辞めてからはどういう流れ?
(のん)会社を辞めると決めてから、目指したいことは変わっていなかったけどそのために何をしようかと改めて考えて、2,3ヶ月間で全国の色んな人に会いに行った。でも一周回って、自分のやりたいことはまだ世の中になくて、既にある誰かのやりたいことではなかったことに気付いて。そこで自分でつくるしかないなと思って、ビジネスをつくることを学ぶために、新しいことを始めようとしてた設計事務所に行くことにした。企画や提案やクライアントさんとのコンセプト策定をやらせてもらって、設計士さんにカタチにしてもらう仕事。その事務所はアルバイトからのスタートだったし、自分以外は設計士さんという状況だったから試行錯誤期間もあったけど、色んな気付きや学びが増えたと思う。同時にボランティアをしたり思いを持って活動をしている人に会いに行ったり手伝いをさせてもらうことは続けてて、独立した感じ。
(ゆか)個人事業主になったきっかけは?
(のん)理由はひとつじゃないから毎回言ってること違うかもしれないんだけど(笑)、領域横断したいと思ったことは大きいかな。自分がやりたいことは自分でつくらなきゃと思いつつ、でも手段やモデルが分からないからまずは興味のあるところに突っ込んでいきたかった。今は地域に関わることや不動産、表現や文化、社会福祉を横断しながら自分自身をつくっているという感覚かな。あとは、自分の足で歩くことでチームというか仲間が欲しかったというのもあるな。
(ゆか)それは自分の可能性を広げてみたいっていうのもあったのかな。
(のん)そうだね。できることを増やす、想像できる範囲を広げる。そんな思いで個人事業主になってもうすぐ一年が経つね。
&anteは違和感やこだわりをごまかせないチーム
(ゆか)3人で過ごす中で印象的なことはある?
(のん)楽しかったのはスウェーデンで過ごしたことかな。本当にゆかと飛行機に乗ってぶんに会いに行ってる! みたいな。「おっ」と思ったのは、目指したいところを話し合っている時の議論。「社会を変えたい」ってゆかが言ってて、私は「社会を変えたいのではなく、自分と身の周りの人を」って。深く話すと目指していることは大きく違ってないんだけど、表現にお互いのこだわりがあって、その違いを受け入れながらどういうチームになるのかを考える時間とか。
(ゆか)そういうところでは、のんのこだわりが良い意味ですごくあると思ってて。何がそのこだわりをつくってると思う?
(のん)うーん。なんだろう。それはゆっくり考えたいところ。分からないけど、見えない人たちのことを想像してるところはある。自分がある方向へ行ったら、違う方向の人たちが悲しんだりするのかもって考える。自分の中の勝手な責任感や義務感が強いのかな。自分の大事にしたいものとか好き嫌い? 善悪? みたいな軸が強いとは感じる。
(ゆか)へえ~、のんの中で見えない人たちのことを想像して発言したり決めてたりするんだ。
(のん)こういう話が周りの人にどこまで理解されるか、というか理解されたいのかも分からないけど、無意識的にそれはあるんだよね。大多数的になり過ぎないように意識してたり、自分にフィットしない言葉は使わないように気をつけてる。たまに相手に合わせすぎて自分らしくない言葉を使うとその夜めっちゃへこんだりする。(笑)ややこしいこだわりでもあるとは思うんだけど、それぞれのそういうこだわりとかも大事にできるチームだとは思ってる。
(ゆか)のんに会社作ろうって声かけたのいつぐらいだっけ?
(のん)5月とか6月とか。元々一緒にスウェーデン旅行行こうって話もしてたよね。
(ゆか)そうだそうだ。ぶんと会社立ち上げの話をしてたけど、もう一人いた方が良さそうだねという話をして、そこから声をかけさせてもらったんだよね。声をかけられたときはどうだった?
(のん)もともと2人のことは知ってたから、率直に嬉しいと思ったよ。でも初めて言うかもだけど、私もいつかは自分のチームをつくりたいとも思っていたから、自分が発起人じゃなくていいのかなという戸惑いも正直最初はあった。でも自分が言い出しっぺである必要はないことにも気付いてたし、やりたいって気持ちの方が大きかったから、ぜひ!ってなった。
(ゆか)そうだったんだね。スウェーデンで合宿して会社の輪郭が見えてきた感じで日本に戻ってきて、設立準備を進めている中で気持ちの変化はあった?
(のん)何かが大きく変わったわけではないけど、より覚悟を固めなきゃいけない瞬間はあったね。今までと違う長期的な目線で自分の気持ちもお金とかも考えなきゃいけなかったり。個人事業主のスパンってプロジェクト単位だったり半年から一年くらいだったりするから、意識しないとすぐ目の前のことでいっぱいになっちゃう。会社はそこまで目の前のことになりすぎちゃいけないし、でも堅実な計画が立てられるほどの余裕もなかったり。どちらも大事だよね。
(ゆか)そうだよね。いよいよ会社作るって所で、今はどんな気持ち?
(のん)一人じゃできなかったことが実現できるのは嬉しいし楽しみ。一方で自分の苦手なところとどう向き合えばいいかなと考えることもあるし、0からつくることの大変さも日々実感してるかな。
(ゆか)面白さも大変さもあるよね。
(のん)大前提としてやらされているわけではなくて自分でやりたくてやっているから、苦しさも楽しみたいかな。楽しく苦しみたいというか。大変だし不安なこともあるけど、覚悟決めて進んでみるっていうのは良い機会だし、前向きなイメージも大きくなっている気がする。3人チームだからそれぞれの声が聞けるし、想定よりもフラットに進んできていると思う。それもあって良い意味で包み隠せないから、違和感やこだわりをごまかせない関係になりつつあるなと。ごまかしたらまたどっかで言わなきゃいけないと思うし、準備期間を通してそういう関係を築けたと思う。
(ゆか)これから&anteでやっていきたい、大事にしていきたいことある?
(のん)組織自体がそれぞれのメンバーが目指すことの足枷にならないようにしたい。それぞれの考えていること、やりたいことも違っている中で、ここに属しているから何かが制限されるってことはなく、逆にもっとなにかがしやすくなるような踏み台というか発射台のような場になれたらいいな。事業でいうと、色んな人のもやもやに寄り添える場をつくりたい。言いづらい感情や人間関係の難しさとか、寄り場がない気持ちを置ける場を&anteでつくっていきたい。うん、つくろう!(笑)
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最後までお読みいただきありがとうございました。
心の琴線に触れるものが少しでもあり、共感で繋がることができればこれ以上嬉しいことはありません。このnoteが&anteとのコミュニケーションツールの一つになることを目指して今後も発信を継続していきます。どうぞご期待ください!
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