見出し画像

Adobe Analytics入門編~AAのメリットとGAとの違い~

皆さんは、Web解析ツールは何を使っていますか?
無料で使えるGoogleアナリティクスは、一度は使ったことがあると思います。

一方で、「Adobe Analytics」は、よく聞くけど自分たちが導入すべきかわからない、という方が多いのではないでしょうか?

今回は、Adobe Analyticsの入門編ということで、Adobe Analyticsを使用するメリットや注意点、GAとの違いについて説明をしていきます。
こちらの記事が、自社のマーケティングの目的に合った解析ツールの導入の手助けになれば幸いです。

はじめに~Adobe Analyticsとは~

画像1

「Adobe Analytics」はAdobe社が提供する、「Adobe Marketing Cloud」の製品の一つです。
Adobe Analyticsはそのうち、Web解析をするツールになります。

Web解析をすることで、ユーザー増の分析やWebサイト内でのユーザーの行動を把握し、サイト改善に役立てることができます。

Adobe AnalyticsはWebビーコン型の解析ツールになります。
解析をしたいページには、専用のJavaScriptのコードを埋め込む必要があります。

1. Adobe Analyticを使うメリット

Adobe Analyticsを使用するメリットは大きく以下の点になります。

① 変数設定を自由に行える
② ワークスペースでの作業が簡単
③ AIによる自動分析
④ セキュリティの堅牢性
⑤ Adobe Marketing Cloud製品との連携

では、詳しく説明していきます。

① 変数設定を自由に行える
Adobe Analyticsでは「eVar」、「prop」、「event」という変数(値を入れておく箱)を設定することができ、必要なデータの取得を割り振ることができます。

例えば、あるECサイトでフリーワード検索をした際にユーザーが入力した情報を取得して「eVar」という箱に入れて解析画面から、一覧で見ることができます。
これにより、どのような商品に需要があるのかを把握する手助けになります。

また、ECサイト上での購入をコンバージョンとした場合、それを「event」という箱に入れておき、
そのユーザーがどのような行動をとっていたかを詳細に分析することができます。
さらに、広告の効果測定をする際も、URLに付与したトラッキングコードを変数に入れておくことで、ユーザーの流入経路別に詳細な分析をすることが可能です。

つまりそのサイトに適した「オリジナル」の解析指標を設けることができ、非常にカスタマイズ性が高いです。

② ワークスペースでの作業が簡単
「Analysis Workspace」という、画面上でドラッグ&ドロップ操作で簡単に
指標やディメンション、セグメントを組み合わせて分析できる機能が用意されています。

目的に沿って、分析項目を容易に入れ替えることができるため、非常に柔軟性が高い機能です。

テンプレートも、スタンダードな表組みのものから、「フロー図」や「フォールアウト」など様々なものが使用可能です。

画像2

▼フリーフォームテーブルの例

画像3

▼フォールアウトの例

画像4

▼フロー図の例

画像5


③ AIによる自動分析
Adobe AnalyticsにはAIによる自動分析レポート機能があり、
サイト内での以上数値を検出したり、セグメント比較と統計データに基づき調査を行ったりしくれます。

④ セキュリティの堅牢性
Adobe Analyticsで収集をしたデータをAdobe社がデータ利用されることはありません。
一方で、Google Analyticsでは個人情報を含まないマーケティングデータがGoogleにより利用される可能性があります。

また、複数アカウントを設定して閲覧や操作権限が振り分けられることが可能です。

そのため、セキュリティやアクセス権限の管理を重視する大企業ではAdobe Analyticsが使用される傾向があります。

⑤ Adobe Marketing Cloud製品との連携
Adobe Marketing Cloudとの連携に強いのもAdobe Analyticsの特徴です。

例えば、A/BテストやWeb接客を行うツール、「Adobe Target」と連携をして、施策の効率的な効果分析や、DMPである「Adobe Audience Manager」で作成したセグメントを利用して、より精緻な分析が可能になります。

画像6

2. Adobe Analyticsの注意点

ここまでAdobe Analyticsのメリットについて述べてきましたが、続いては導入をする上での注意点を記載します。大きく以下の点に注意していただく必要があります。

① 実装難易度が高い
② カスタイマイズ内容を把握しておかなくてはいけない。
③ 価格
④ 文献の少なさ

詳しく説明していきます。

① 実装難易度が高い
企業やサイトごとに独自にカスタイマイズを行うため、導入や運用にあたり専門のサポートが不可欠です。
またデータを取得するには「どのようなデータを取得したいか」を設計し、それを実装していく必要があります。

どちらも高度な技術が必要となり、外部のパートナー等と連携をしたり、
Adobe社に問い合わせしたりすることで導入を進めていきます。

契約企業に対して講習会の実施もありますが、独自のカスタマイズに重点を置いた内容だと個別講習となり、別途講習費用が発生する場合があります。

② カスタイマイズ内容を把握しておかなくてはいけない。
独自にカスタマイズができるということは、その社内の人しかどのような設定かわからない。
つまり、カスタマイズした内容を記録しておく必要があります。

例えば、前任のマーケティング担当がeVarやpropに様々な値を格納するようにセッティングをしても、次の担当者が解析画面を見て理解できなければ意味がありません。

Adobe Analyticsを運用するにあたって、「どのような定義で、どのような値を、どのようなタイミングで」変数を取得するかなどを、しっかりとドキュメントに残しておかなくては、ツールの強みを十分に引き出すことができなくなってしまいます。

③ 価格
Adobe Analyticsは無料で使うことができません。
価格別に4段階のプランがあります。
月のサーバーコール数にも左右されます。

④ 文献の少なさ
Google Analyticsは検索をすれば様々な操作方法や解説記事がありますが
Adobe Analyticsについて書かれている記事は非常に少ないです。
また、書店でもAdobe Analyticsについて解説された本はありません。

3. GAとの比較

ここまで、Adobe Analyticsの特徴について述べてきましたが、
よく使用される解析ツールとして「Google Analytics」があります。
では「Adobe AnalyticsとGoogle Analytics、結局どう違うのか?」を説明していきます。

大きな違いは以下の表をご覧ください。
ざっくりというと、「ファストファッションの服」か「オーダーメイドの服」の違いとイメージしていただければよいかと思います。

AA_図

[価格]
前述のとおり、Adobe Analyticsは有償です。
Google Analyticsは無償版を提供しています。

[分析力]
Adobe Analyticsはカスタマイズをすれば、ユーザーの行動分析など精緻な分析が可能です。
一方Google Analyticsは基本的なWeb解析に関しては問題がありませんが、セグメンテーションや行動分析においては一歩劣ります。

[カスタマイズ性]
Adobe Analyticsは変数設定が自由に行えるなど、サイト独自の解析軸を設けることができます。
Google Analyticsはいわゆる「既製品」なので、そこまで高いカスタマイズは行えません。

[操作・実装難易度]
Adobe Analyticsは機能が多い分、管理画面の操作を覚えるまでに学習コストがかかります。
一方Google Analyticsは比較的簡単に操作ができる画面になっており、文献もWeb上に多く転がっているため、操作に困ったときも解決がしやすいです。
また実装面に関しても、Adobe Analyticsは高度な専門知識が必要になるのに比べて、Google Analyticsはシンプルなコードで実装をすることが可能です。

[セキュリティ性]
前述のとおり、Adobe Analyticsで収集をしたデータをAdobe社がデータ利用されることはありませんが、Google Analyticsでは個人情報を含まないマーケティングデータがGoogleにより利用される可能性があります。

[ツール連携]
それぞれ、Adobe社のツール、Google社のツールとの連携に強みを持っています。

サイトの目的によって、導入するツールを選別していただければと思います。

◆Google Analyticsを導入したほうがいい例
・サイト分析ツールにお金をかけたくない
・ユーザー数や、PV数といった、基本的な数値の解析ができればよい
・Google広告からの流入を強化したい。
・学習コストをかけずに、ストレスなくツールを使用したい

◆Adobe Analyticsを導入したほうがいい例
・ユーザーやコンテンツの詳細な分析を行いたい
・サイト独自のカスタマイズをして、精緻に分析を行いたい
・セキュリティ性が重視される企業
・Adobe製品と連携をして、マーケティングのPDCAをしっかりと回したい。

4. まとめ

Adobe Analyticsの概要についてまとめます。

・非常にカスタマイズ性能が高いサイト分析ツール
・セキュリティ面にも強みがあり、大企業に導入されるケースが多い。
・一方で、導入には高度な技術が必要となり、学習コストも高くなりがち
・Google AnalyticsとAdobe Analytics、それぞれの長所・短所を理解し、解析の目的に合ったツールを導入することが重要

最後になりますが、Web解析ツールを導入することが目的ではなく、それを利用してWebサイトの改善を行い、ビジネスゴールの達成に一歩ずつ近づけていくことが目的です。
その目的に対して最適な手段となる、Web解析ツール導入の指標となれば幸いです。

◆Twitter
お役立ち情報発信中です。フォローよろしくお願いします。

Adobe Analyticsの解析のお問い合わせはサイトよりお願いします。
▶and,お問い合わせフォーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?