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まったくの素人が彫塑(ちょうそ)で藤井風フィギュアに挑戦する<第1回>

2021年、思い切って新しい扉をたたき割ることに。”生きるギリシャ彫刻”のように美しいミュージシャン藤井風さんのフィギュアを作ることにしました。

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この完璧に美しい写真を見てTwitterで「フィギュアにならないかな」とつぶやきました。


藤井風さんには2020年の1月に出会いました。それからずっと、そのピアノと音楽性の虜(とりこ)になること早1年。瞬く間に人気急上昇となった彼はライブのチケットがなかなか取れません。当面、3次元の藤井風さんに会えないなら、自分で作ってしまおうという無謀な試みが始まりました。ただし当然、等身大は大変なので頭部5cmほどのフィギュアです。

まずは、お手軽な家にあった紙粘土で作り始めました。わたしの手は表面温度が高く、粘土がすぐに乾いてしまいます。どうにもこうにも紙の繊維が手にひっついてきて、うまくまとまりません。

小一時間ぐらい、紙粘土と格闘したでしょうか。輪郭さえもうまくできません。あきらめようとした瞬間、ふと、近くに住む義母のことを思い出しました。

義母は御年80歳。かつては、衣装や髪も絹糸を染色して一本ずつ植毛するという、かなり精巧な人形を作っていました。個展を開いていたほどの腕前です。年末年始の行き来のついでに、藤井風さんの写真数枚とCDのブックレット、紙粘土の塊を持参し、教えを請うことにしました。


義母はモロモロになった紙粘土の塊を一瞥(いちべつ)するや否や

「紙粘土じゃ、無理だわ!水分が多過ぎて向いてないし。だいたい乾いたら変形するから悲しくなるよ」

と差し出されたのは彫塑用粘土。きめ細かく、石膏取りも可能です。

「顔のパーツと骨格、肉の付き方を、とにかく色んな角度から観察して。デッサンしてみると特徴がよくわかるから。まぁ、顔だけで早くて3ヶ月ってとこかな」


と、テキスト数冊と頭部の形に丸めた粘土、ヘラ(お手製)などを渡されました。


もともと絵は見るのも描くのも好きな方です。が、彫塑は初めて。全くずぶの素人です。粘土なんて遠い昔に陶芸をかじった時に触った程度。でも言い出したからには後には引けません。

何より、音楽も絵も文章も「カッコイイ、美しい」と感じたものは自分で納得いくまでとことんコピー(真似)するというのが人生パターンのわたし。音楽にいたってはアーティストの思想にまでどっぷりハマり、進路まで変わってしまうほどでした。

古今東西の名画の登場人物に扮した作品で知られる美術家で作家の森村泰昌さんは著書『「美しい」ってなんだろう?』「まなぶ」とは「まねる」こと と書かれています。

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「まなぶ」「まねる」「まねぶ」 勉強するという意味の「学ぶ」、ものまねをするという意味の「真似る」。「まねぶ」と「まなぶ」と「まねる」が似ているのは「まねぶ」が両方の語源だから。学ぶためには真似ることが必要で、真似るためには学ぶことが必要だとあります。

音楽であれば楽曲のコピーやカバーです。絵画なら模写、語学や文章、スポーツでも同じでしょう。

ただ真似れば良いというものでなく、真似た世界に何かを付け加えたり違う角度から眺めてみる。そうやって生まれた世界に自分なりのアレンジを加え出来た世界に自分の変化を付けていく。科学的な発明や発見、芸術的な独創性、こういったものは、とつぜん生まれるわけではないのです。無から有は生まれません。まずは素晴しいと素直に感動できる世界を見つけだしてください。 引用:森村泰昌 「美しい」ってなんだろう?


YouTubeにさまざまな楽曲カバーをアップすることから始まった藤井風さんの音楽。彼が多くの楽曲を「真似る」ことから学んだエッセンスは、今オリジナル曲にふんだんに取り入れられています。カバーした曲は彼自身の解釈を経て消化され血肉となって素晴らしい作品となっています。


まずは藤井風さんのお顔を色んな角度から見ることから始めました。普段は運指(手元)中心に見ているので、お顔のスクショはあまりありません。お顔のスケッチを描いては、粘土を削ったり足したり。今のところこんな感じです。しかし、風さんは写真によって全く顔が違って見えるので、だんだん混乱してきます。

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風さんごめんなはい。まだ似ても似つかぬ、ちょっとホラーな状態(笑)

「藤井風さんってきれいで優しい顔。でも年齢の割に落ち着いているというか…」

さもありなんですね。それ、誰もが感じることですから。

ちなみに義実家には、美術の専門書がたくさんあります。もう処分しましたが、中にはキムタクの写真集や宮沢りえさんの「サンタフェ」もありました。彫刻のための胸像やトルソーも、子どもたちのおもちゃと化しているカオスな家です。ヘンタイ活動に理解がある家でよかった(笑)

風さんの顔が、あまりにも写真によって変わるので「藤井風さん、メモ置いといて。色んな角度から見て研究しておくわ」とのこと。

風さんは上京前には高齢者施設でもピアノを演奏していたこと。4人兄姉の末っ子で陸・海・空さんというお姉さんとお兄さんがいること。幅広い世代に親しまれている音楽家で、海外でもじわじわと注目されていることなどをサラッと話しました。

義母の巨大なモニターのパソコンにも風さんの動画(アダルトちびまる子さん)をしっかりブクマ。少々個性的ですが、ビジュアル的に美しい人は男女ともに嫌いではない義母。さて、どんな感想が聞けることやら…楽しみです。


2021年事始め。これから定期的に”藤井風フィギュア”が完成するまでの記録を綴ります。



藤井風さんのこと、いろいろ書いてます。

画像引用:藤井風公式twitter、藤井風公式Instagram



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