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#02 走ることは美しい世界に触れることなのかもしれない話

ここ数年いつお会いしてもキラッキラされている男性の先輩と話した際に
「あるくちゃん、ランニングはいいよ!走りなよ!」と
いつにも増してキラッキラしながら持ちかけられた。
何がそんなにいいのか聞いてみると、一言「気が良くなるよ」と言われた。

それ以降今は少し控えているが、数ヶ月前までほぼ毎日5km、休日は10km前後のランニングにハマっていた時期があった。
とは言え長距離は昔から好きじゃなくて、大学時代体育会系ラクロス部で主将を務めていたにも関わらず必死に長距離走を練習メニューから無くそうとまでしていた程敬遠していたのに、だ。

走る前までのワタシは名も無い沼にはまって抜け出せずにいた。
東京に引っ越して、満員電車にカラダを捻じ込んでオフィスに着く頃にはすでに退勤したい程疲れ切っている生活が当たり前。
仕事は出来るけど、出来る事とやりたい事はまた違うし、かといって「じゃあ何がしたいの?」と聞かれても何も答えられない。
多忙すぎる恋人とはすれ違いすら存在せず「すれ違いが理由で別れる」にすら羨ましさを覚えるような毎日だった。
それだけじゃないはずなのに、もう完全に手詰まりだと途方に暮れていた。
このやり場のない気持ちをどこかにぶつけたいんだけど、ぶつけようと手をあげると、手に何も握られていないと気が付いてその度泣きそうになった。
これぞ、THEリアル独身30代後半女性
生きづらくて仕方ない、生きるの苦しい・・・沼。

そのタイミングでふとキラッキラの先輩の一言を思い出したのだ。
「あるくちゃん、ランニングはいいよ!走りなよ!」
「気が良くなるよ」

周りにネタ化されている数年前に一応完走したホノルルマラソン用に揃えた
ランニンググッズを引っ張り出し、宝の持ち腐れ感が否めなかったapple watchとair podsをつけて走ってみた。
そしたらちょっとずつ抜けていく実感があった。
走っていくと景色が変わっていくように、視界ゼロだった沼の水が
ちょっとずつ透明に近づき光が差していくような、そんな感覚だった。
最初は苦しいけど、いつからか気持ちいい。もうどこまでも走っていけそうな気がする。

走り出して数週間経った頃、ふと気が付いた。
走っているときはあまり何も考えていないのだ。
脚を前に出す、さっきよりも前に進む。ただそれだけ。目標まで走れたら
次はさらに先まで行ってみよう、そんなことで頭も胸もいっぱいになった。

気付くと毎日走る事ばかり考えていた。
早く帰って走ろう、次の休みはあそこまで走ってみよう。早く起きよう!
それまでワタシの全身をすっかり支配していた
仕事のことも人生のことも恋人とのことも…「考えなくちゃ」「なんとかしなくちゃ」と思ってフォーカスしまくっていたことがなくなったわけではないけれど
それだけが人生の全てじゃないと、解き放たれたような気持ちだった。
そこは天国だった。世界は広い。人生はもっと深い。
あの先輩が言った「気が良くなく」とはこういう場所に立つことか。

ある日テレビをつけたら、偶然にも有名な女性元マラソン選手がインタビューを受けていた。彼女は明るい笑顔でこう言った。

走っているひとに、後ろ向きな人なんていませんよ。
だって前に進むことしか考えてませんから 笑

あぁもう、それね。そうなのよね。
Simple is the best. 
Less is more.
美しいことはたいていシンプルに出来ているのだ。

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