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【プレイ感想】Hookah Haze

シーシャって吸ったことありますか?おしゃれな言葉を使ってはいるものの、要するにタバコなので、様々を気にする人は控えたほうがいいと思います。店で吸うと匂いも結構つくだろうし。そんな諸々を承知で楽しむのであれば、アングラな感じにも、まったりとした時間を過ごすのにも向いている。素敵に無駄な時間を過ごせるのではないでしょうか。
なお酸欠には注意。閑話休題。

本作でいちばんかわいい説がある(らしい)トオル。

治る見込みの薄い病を患った炭木トオル。そんなトオルに残された時間は2週間。その間に、シーシャ屋「Hookah Haze」を営んで、思い残しの無いようにしよう、というのが導入。そこで一癖も二癖もある人たちが訪れて……というのが本編。

「シーシャが紡ぐヒューマンドラマアドベンチャー」と称する通り、ゲームのメインはシーシャを媒介として交わされる会話。コンカフェ店員の愛上あむ、ショップ店員の明月院こころ、人形作家の古森くるみ。彼女たちにはそれぞれ好きなフレーバーがあり、オーダーに応じてそれとなく出してあげると喜んでくれる。まあやってることはシーシャ版『VA-11 Hall-A』だし、シーシャ版『コーヒートーク』です。多分オーダーをミスってもペナルティらしきものはなかったので、その点で行くと2作品よりかなり易しめ。

……ということで、コンセプトからもデザインからも話を読ませるタイプで、ゲーム性は割と後回しになっている。その分話が濃厚かというと、あっさりめ。既読スキップは多用したが、それでも全実績解放まで10時間は使ってない。定価2000円なので、それなりのボリュームだとは思っていたけど。

店員と客、それぞれのディスプレイという形でウィンドウを分けるスタイルは、それなりに好き。

気になった点としては、2人同時に訪ねてきたときに会話をしたり、ルーティーン的に炭換えをしたりするところ。これが浮いているというか、各キャラとの1対1のやりとりの間に挟まれるので、温度差が急に出てくる。あと炭換えの評価は固定のセリフじゃなくて、できればストーリーなどの状況に応じて変化してほしかった。ちょっと気まずい状況なのに無邪気に喜ばれても反応に困るじゃんね。

欲を言えば、「全体的に“チル”な雰囲気に浸りつつ、それぞれのヒロインたちとの会話を楽しむ」というのが目的なら、そこにしっかり時間を割いてほしかったな、というのが素直な感想。いや悪いわけではないんだけど、せつなげな感じになってるところに「Hookah, whoo!」とかをぶつけてきたりするのって、雰囲気や方向性がとっ散らかってないか?と思わないでもない。
やりたかったのはゲーム?それともタイアップ?

企業に「底抜けの情熱」ばかりを求めるのは筋違いとわかっていても……

と散々言ったりしたものの、ドット絵の作りこみはかなりしっかりしている。作中で店内BGM的に流せる曲も、夜のシーシャ屋という雰囲気にマッチしていて、画作りや雰囲気作りにこだわりを感じる。感じるからこそ、惜しい。それはコンテンツの内容の充実でもよかったし、より徹底した雰囲気の醸成でもよかった。返す返す、もう一息な作品であった。

シーシャ、煙草、お酒なんかが片手にあるとより良いと思われる。

ところで昔の人は、蜃気楼を、「蜃(みずち)が吐き出した気が幻覚を見せたもの」として認識していたという。シーシャから立ち上り、そしてすぐに消えてしまうその煙越しに、『Hookah Haze』の蜃気楼を追いかけてもよいだろう。それはあくまで煙であり、ほどなくして立ち消えてしまうこともあるが、そこにささやかな安らぎを見出すこともできるはずだ。

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