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【プレイ感想】インディカ

ロシア文学にはあまり触れたことがない。「罪と罰」なら読んだことはあるけど……
ロシア正教会を中心とした信仰をテーマにしたり、精神性・人間の心理について踏み込んだ描写がされていたりという特徴をもって「ロシア文学」とラベリングするなら、多分本作は「ロシア文学」になるんじゃないかなと思います。

奇天烈

インディカはとある理由から修道女となっているが、どうやら彼女は頭の中に悪魔が住み着いているのか、悪魔の声がよく聞こえてしまう。そうした理由もあってか修道院内では爪弾きにされている。ある事情で旅に出たインディカは、神の声が聞こえるという脱獄囚、イリヤと同行することになる。

悪魔と向き合うインディカ。神の恩寵を信じるイリヤ。思うに神への信仰は二面性が存在していると思っている。神という存在を信じることで、禁忌や“ケ”を意識した悪魔という存在も生まれうる。逆に信仰心のない人は、神をありがたがれることはないけど、悪魔の存在におびえることがない、という話でもあるのかも。

『インディカ』の印象を一言で表すならそれは「奇天烈」に他ならないと思う。3Dの三人称視点アクションアドベンチャーという風に聞いていたのに、突然2Dドットのアクションが始まるし。なんか口からおっさんは出てくるし。
(ただ今はゲーム紹介としてはいろんな要素が混じってるよ~みたいな宣伝がされているっぽい。1stトレーラーあたりは3Dアクションアドベンチャーっぽかったと記憶している)
カオスとシュールが入り混じった不思議なプレイ感がゲームを通じて展開される。

でもちゃんとしてる

そんな“狂った”感じのゲームでありつつも、それらが破綻せず、しっかりとまとまっている。たとえばインディカの過去の話が展開される際には決まって2Dになる。ちょっと彩りも豊かになった気がしていて、小さいころに感じていた「世界の鮮やかさ」だとか、子供故の「世界への解像度の低さ」を象徴しているのかなとも思ったり。

そう考えてみると、本編中に展開されるぶっ飛びがちな表現は、インディカの直面した状況に対する精神の乱れの表れであるともいえるかもしれない。いずれにせよ、世界や巨悪といった大仰なテーマではなく、あくまで個々人の精神性に向き合うストーリーであることは確か。内省・葛藤・怒り・悲しさ……それらが詰まっている、気がする。

レビューとかではエンディングの内容なんかも取り沙汰されることが多く、思ったよりも短めなストーリーラインに言及するものがある。とはいえ、それも本作が「己を顧みる物語」だとするのであれば、これまでの自分を乗り越えればそれで終わりなのだから、ある意味で短くて当然だと納得できると思う。典型的なJRPGであれば、その上で巨悪と戦ったりすることになるから、ここからが長くなったりするわけだし。

なんかいろいろ錯綜してきた。『インディカ』は小粒めなゲームで、各所で奇天烈な印象を残す変わった作品ではある。しかし登場人物の内面を描き出す表現やストーリーライン。そしてなによりも、寒く彩度の低いロシアの土地でのシーンの数々は、とても印象的だ。

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