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【内向型無職の独り言#03 毎日の味噌汁】

安音*An-Ne*

仕事を辞めてから、家族の夕食を作るのは私の役目になっている。
料理は決して上手いとは言えないけれど、作ること自体は苦にならない。うちの母は料理が得意だから、きっとその影響もあるのだろう。音大時代の一人暮らしである程度自炊はしていたし、もともと何かを作るのが好きなタイプだ。
作曲をする時と同じで、食事でもなんでも、モノを作っている時はのめり込んでしまう。夢中になったり、何かに没頭出来る感覚が好きなのかもしれない。

ただその大学時代、自分で作ったメニューの中で、決して母と同じ味付けにならなかったものがある。
味噌汁だ。

味噌汁は、うちの食卓にほぼ毎日出てくるメニューの一つ。高齢の祖父母が一緒に暮らしていることもあって、大抵いつもの献立は和食が多い。朝食も普段はパンではなくご飯派。夕食に洋風メニューが出ても、スープは朝に残った味噌汁だったりする。
毎日の味噌汁作りに関しては、私ではなく母の役目だ。家族の中で一番早起きの母は、毎朝自分や父のお弁当を作り、朝食を作り、その時に一日分の味噌汁をまとめて作る。
定番の具材は豆腐、ネギ、そしてシメジ。母の実家はかつてシメジ農家で、自宅でもシメジを食べていたはずだから、多分その名残なのかもしれない。他に加えるのはワカメやナメコ。今の季節は白菜や人参、大根といった冬野菜が入ることもある。海藻もしっかり食べられるし、結構具だくさんだ。

その味噌汁を、私も大学時代に何度も作ったのだけれど、なぜか母と同じように出来ない。まあ、味噌の種類が実家と違っていたせいもある。だけど料理上手な母の娘なのだから、私もそれなりに母の味噌汁を再現出来るだろうと(勝手に)自負していた。
なのに、どうやっても実家の味にならない。作るのはそんなに難しいわけではないのに、なかなか奥が深いメニューだなぁ、味噌汁。

だからたまに帰省して、母の味噌汁を食べた時はものすごくホッとした。自分で作るものも味は悪くない(と思う)けれど、安心感がまるで違う。もちろん実家に戻った今も、毎朝母が作る味噌汁は食卓の癒しになっている。

料理の経験自体はそこそこ積んでいるはずだけれど、私はまだ母の代わりにはなれそうにない。包丁の技術も味付けも、レパートリーの数も、今は何一つ母に敵わない。
人生、あと何回母の味噌汁を食べられるのだろう。この味を二度と楽しめなくなってしまう前に、作り方をちゃんと教わっておこうか。そしていつか私にも、母と同じ味噌汁を作れる日が、もしくはこの味を超えられる日が来るのだろうか。

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安音*An-Ne*

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