読書記録:楽天

1. 突き抜けろ 三木谷浩史と楽天、25年の軌跡(三木谷 浩史)

たった6人でサービスを開始した楽天市場が四半世紀で年間5兆円規模になり、70以上のサービスを擁する企業への成長している歴史に圧倒される

<Point>
・楽天市場や楽天銀行を立ち上げた当初は嘲笑された
・アントレプレナーは事業を興すだけでなく、持続的に成長させる存在
・果てしないビジョンに向かう経営者の行動力が夢を魅せ続ける
・顧客の批判に誠意を持って向き合い同志になる
・まず不可能とも思える目標を掲げ、次にその差を埋める構想を立て、実行することで成長する。一方、ゴールが高すぎると現実感がなくなってしまうため、翻訳者の存在が重要となる
・懐疑的に見られたプロ野球参入は当時、最大最強のマーケティング施策として効果を発揮した
・特定の顧客や社員を優遇する聖域は決してつくらない
・徹底な継続が文化をつくる
・自分とは異なる人材を側に置き、アクセルとブレーキの絶妙なバランスをつくる
・批判をされた社内公用語の英語化によって、多様な優秀な人材を揃えることができた
・組織の急激な変化は一種の成長痛のように会社の求心力を低下させる危険性もはらんでいるため、人事改革が必要
・KPI管理を当たり前と思える文化をつくれるか

2.最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか(大西 康之)

モバイル事業に挑戦する三木谷さんの仲間の存在に組織力の偉大さを感じる

<Point>
・圧倒的な野望が業界を越境した経営人材を揃える力になる
・天才技術者の存在が不可能を可能にし得る打ち手をつくる
・過去の常識や世間の批判に左右されず先を読んで確信する
・朝の掃除で身体性が磨かれる文化をつくる
・何かあれば誘われやすい幹部が経営陣の一枚を強くする
・前線でリスクに挑戦するには兵站を確保し続ける財務戦略が重要となる
・スポーツに経営力が加わるとビジネスが強くなる
・利潤があってこそ医療などのイノベーションに投資できる
・社員の心身の健康を考えるウェルネスの責任者の存在が組織を安定させる

3.成功のコンセプト(三木谷 浩史)

楽天の文化をつくる「常に改善、常に前進」、「Professionalismの徹底」、「仮説→実行→検証→仕組化」、「顧客満足の最大化」、「スピード‼︎ スピード‼︎ スピード‼︎」の5つのコンセプトが学び深い

<Point>
・改善というのは絶対的に成長する方法
・自己愛こそが判断を誤らせることを常に注意して、ポジティブに自己否定する
・仕事を人生最大の遊びにできるか。人は遊んでいる時、最大の創造力を発揮する
・プロフェッショナルに不可欠なのは、技術よりも成功体験
・面白い仕事があるわけではない。仕事を面白くする人間がいるだけ
・人は仮説→実行→検証によって文明を築き上げてきた
・歴史を振り返ってみれば過去にいくらでもヒントはある
・顧客に支持されてこそ、ビジネスは続けることができる。ビジネスの本質は相反する利害を同じ方向に向けることにあり、相反する川に橋をかけるのが顧客満足
・当事者意識を持って仕事をすればスピードは自然に上がる

4.未来力(三木谷 浩史) 

「ある人々が未来をイメージした先に、私たちのいまが作り上げられている」とのメッセージのもと、バトンリレーのように未来を思い描くことの尊さを考えられます

<Point>
・これまでになかった発明はインベンションであり、未来を創るイノベーションとは新しいもの同士を結合させる発想のこと
・新しいものを結合させていくのが、アントレプレナーの社会的な役割
・シュンペーターの理論では価格競争に左右されないイノベーションが経済成長につながるとされている
・いつも半分くらいは見えているが、残りの半分はまだ誰にとっても暗闇の中にある未来にブレーキを踏まずに突き進む覚悟がアントレプレナー
・歴史の登場人物の心情に照らし合わせる
・Practice(習慣)を重ねることで、精神状態をいつもと同じ状態に保つことができる。
・失敗こそが大きな学びとして評価されるべきもの
・イノベーションを起こすためには、異なる価値観が混ざり合うこと自体に意味がある

5.楽天IR戦略(市川祐子)

資本市場との対話を担うIR視点の楽天成長の歴史が興味深い

<Point>
・IRの力が資金調達を牽引する
・投資家の頭の中にある企業価値計算のスプレッドシートをどう変化させ、価値を高め、購入の意思決定をしてもらえるか
・妄想の共有が大きな事業推進力となる
・公募増資の金額を大きくするにはグローバルオファリングが重要となる
・社内向けのIR活動報告、株価推移や興味深いアナリストレポート等の共有で資本市場への意識を高める
・何かの理由で突然大株主が株を得るリスクに備えて、常に一定の数の大手機関投資家に重点的なIR活動をする
・機関投資家は、背後に年金や投資信託などの資金提供者がいて、資金提供者の利益を守るために一定期間で成果を出す必要があるため、保有期間1〜3年
・投資家は、本源的価値と株価との差を分析することでまだ評価されていない会社に高い投資リターンを狙う
・株価とは美人投票であるため、皆が良いと思わないと上がらない
・上場市場の見直しには多大な手間がかかるためタイミングと目的が重要
・楽天イーグルスによるブランド価値は初期の頃に投資家から認められなかった
・See around the corner=その角を曲がった先を見てみると、また違う未来が現れる

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