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Best Tracks of 2019 <24-1>

Best Tracks of 2019 <49-25>

「24」
Addison Groove - 'Tokyo Beat'

2019年春に6都市を巡るジャパンツアーを成功させたAddison Grooveが長年DJプレイしていたトラックが満を持してGutterfunkよりリリース。ディスコサンプルにフィルターをふんだんに用いたアゲな4つ打ちディスコジューク。非常にポップな仕上がりであるが、ところどころに挟まれる細かな刻みやブレイクポイントで繰り広げされる左右に飛び交うサンプルの応酬は職人技で楽曲に深みをもたらしている。

「23」
D Double E & Watch the Ride - 'Original Format (feat. DJ Die & Dismantle & DJ Randall)'

DJ Dieが牽引するニュープロジェクトWatch the Rideの1stリリース。ファンキーなベースラインと軽快なビートにD Doubleのストリートなフロウが展開していく。非常にシンプルな作りであるが無駄のない構成でドラムンベース黎明期の質感が蘇る。Roni SizeとDieによる伝説的ドラムベースユニットBreakbeat Eraの最新フォームといっても差し支えない。

「22」
Chase & Status - 'Program (feat. Irah)'

絶好調のUKユニットChase & Statusがジャングルリバイバル真っ只中の中にジャングル、ドラムンベースをテーマにしたアルバムをリリース。先行シングルカットされた本作は鍛え上げた骨太アーメンを主体にブレイクビーツが交錯し、野太いグライムとベースラインが貫くジャングルを構成する最小単位を徹底的に突き詰めたような素晴らしい仕上がり。アリーナサイズのステージからアンダーグラウンドの小さなクラブまで支持されるスーパースター渾身の一曲。

「21」
Special Request & Sully 'Vortex 164 (Sully Remix)'

Paul Woolfordが送るUKレイヴをテーマにしたプロジェクトSpecial Request。楽曲の圧倒的なクオリティの高さから多くのリスナーやDJから信頼されている彼がリリースした楽曲をモダンジャングルのトップクリエイターSullyが更に磨き上げている。解像度抜群のブレイクビーツをエフェクトを駆使しながらボーカリストがアドリブを決めるかのように操り展開している。ベースラインとビートのみといっても過言でない構成だがこれを楽曲として聴かせ、フロアを熱狂させるということは冷静に考えると並大抵のことではない。

「20」
The UK Shapeshifters - 'Life Is a Dancefloor (feat. Kimberly Davis)'

Glitterboxが送るハイパーディスコチューン。煽りに煽る広がりのあるストリングスとブラスセクションに乗せてソウルフルなボーカルが高らかに歌い上げていく。祝祭感溢れる各メロディセクションも素晴らしいが、キレの良いドラムのフィルによって楽曲全体をタイト引き締めている感が良い。明け方のダンスフロアにエネルギーを注入するであろう1曲。

「19」
Sure Thing - 'Special Love (Nuff Pedals Remix)'

All Subject to Vibes収録楽曲から3曲目の選出。Gutterfunkは本当に素晴らしい。こちらはDJ DieのディスコチューンプロジェクトSure ThingのディスコトラックをGutterfunkのNuff Pedalsがリミックス。原曲のソウルフルなバイブスを保ちながらスイングするビートとベースライン、ジャジーなサウンドも絡め極上のUKガラージに仕上げている。Nuff Pedalsはベールに包まれたアーティストであるがGutterfunkを代表する素晴らしいアーティストとして今後も優れたリリースを重ねてくれるはず。

「18」
States Cows - 'Waiting for Love'

現代のAORシーンをひた走るState CowsがAviciiの代表曲Waiting for Loveをカバー。State Cows自体の楽曲構成能力や演奏力が高いのはもちろんだがAviciiのソングライティングがいかに優れていたかを改めて伝えている。優れたEDMは様々な形で様々なシーンと世代にそのメロディとメッセージを発信している。

「17」
DJ Shadow - 'Rocket Fuel (feat. De La Soul)'

ビートメイクシーンの生ける伝説DJ Shadowが久々にアルバムをリリース。先行シングルカットされた本曲は同じくヒップホップシーンのレジェンドのひとりであるDe Las Soulを迎えた最高にファンキーな仕上がりになっている。スクラッチを織り交ぜながら展開するヒップホップビートと雄々しいブラスセクション、これぞヒップホップといった様相。De La Soulの衰えることのないフロウも抜群にハマっており、今となっては貴重な踊れるヒップホップ。こんなのを待っていた。

「16」
UK Apache & SHY FX - Original Nuttah 25 (feat. IRAH) [Chase & Status Remix]

ジャングルにおける永遠のクラシックが25周年を迎え再発。そこに加えられたのがChase & StatusによるRemix。オリジナルのUK ApacheによるMCに加えIRAHによるロウなフロウによってよりアグレッシブなジャングルチューンになっている。ベースラインやブレイクビーツ自体も現代的にアップデートされており、ジャングルリバイバルの追い風になる強力な1曲。

「15」
Chase & Status - 'Shut Up (feat. Suku) [Benny L Vip]

ジャングル、ドラムンベースからの選出が続く。現行UKシーンのトップスターChase & Statusのマッシブチューンの今最も評価されるドラムンシーンの超新星Benny LによるVip。攻撃的なフロウと合わさる緻密に刻まれたファットなブレイクス、吠え猛る極太ベースラインがフロアを震撼させる。彼らによって数多くのマッドチューンが今後も世に送り出されることが楽しみでならない。

「14」
Pinch & Kahn - Crossing the Line (Feat. Killa's Army)

聖地ブリストルのダブステップ2大巨頭によるビックチューン。太く、ノイジーで存在感のあるビートと暗黒ベースライン、コールドなアンビエンスに乗せて荒々しいグライムが駆け巡る。攻め立てる高速グライムに合わせて絶妙のタイミングで抜かれるビート、刻まれるハットがさらにリスナーのボルテージ高めていく。Pinchが2015に放ったBig Slugに次ぐビックアンセムだろう。

「13」
Ill Truth - 'Catch a Break'

ドラムンベースの新興レーベルSofa King Sickのレーベルサンプラーに収録されたシックなドラムンベース。一聴すると地味な楽曲に聞こえるがベースラインの動き、太さとキック、スネア、ハイハットが生み出す渦巻くグルーヴは目を見張るものがある。強靭な足腰を持ち、アンダーグラウンド感が漂わせる凄まじくタイトでクールな1曲。ダブルドロップした時の破壊力は凄まじい。

「12」
Luke Slater - 'Love (Scuba's Bagleys Remix)'

1997年にリリースされたUKレイヴアンセムLuke SlaterのLoveが凄腕リミキサーの手によりアップデート。その中でもScubaによるリミックスはトランス黎明期を想起させるようなレイヴィーでエモーショナルな抜群の仕上がりになっている。トランシーなシンセとアシッドなベースライン。そしてブレイク中の包み込むように響き渡るパッドと光射すようなシンセリードには恍惚なまでの陶酔感が漂う。今年のScubaによる数多くのリミックスワークには90年代レイヴの郷愁と夢が詰まっていた。

「11」
GRiZ - 'Find My Own Way (feat. Wiz Khalifa)'

様々なジャンルを手がけ、豊かなの楽曲性を披露するGRiZがWiz Khalifaを迎えて送り出したゴルペルチューンなヒップホップチューン。緩やかなピアノと豊かなブラスセクションを軸にWiz Khalifaのラップ、ゴスペルによる掛け合い展開していく。アナログで暖かいサウンドとそれぞれらしさを肯定するリリックに底抜けに晴れやかな気分が導かれていく。TREKKEI TRAXアニバサリーにて明け方のAgehaにこの楽曲が響き渡っていた光景は今でも瞼に焼き付いている。

「10」
椎名林檎と宇多田ヒカル - '浪漫と算盤 LDN ver.'

ご存知のお二人がまさかの2曲目をリリース。TYOバージョンも非常にスタイリッシュだがLDNバーションのシンフォニックを主体にした構成とダイナミックな抑揚展開が素晴らしい。広がりを感じさえつつ、絶妙に切ないコード感から1段ズラしながら展開していくメロディ構成は病みつきになってしまう。聴き終わると圧倒されたなという気持ちが最後に残る。

「9」
Brasstracks - 'Always Be My Baby'

フュージョンチックなイントロで幕開けするブラスサウンドの王者Brasstracksが放つシングル。構成でいえばいつも通りだがとにかく胸にこみ上げる祝祭間たっぷりのサウンドに耳を奪われる。誰もが心落ち着き、満たされるようなそんな響きに溢れている。終盤に訪れる転調で高ぶりは最高潮に達し、思わず腕を突き上げてしまう。

「8」
DA BLACK OP'S - 'Hood Up Remix (feat. Sam Binga, Chimpo, Trigga & Killa P) '

今年のDJにおいて最もプレイ頻度が高かったであろうドラムンベース。Sam Bingaによる太く、アグレッシブなトラックに名だたるMCがマイクリレーを繰り広げていく。トラックにディストーションのかかったベースラインを多用することによって非常にロッキンな仕上がりになっている。さながらミクスチャーバンドのような響きを持っており、ドラムンベースやジャングルの中に織り交ぜることで攻めのメリハリを発揮してくれる。

「7」
The Specials - '10 Commandments'

スカバンドのレジェンドThe Specialsが21年ぶりに放ったオリジナルアルバムより先行カットされた本楽曲。時代は変われども彼らのスカ、ダブ、パンクっぷりは健在であり、むしろ現代レコーディング環境によって真価を発揮しているかのように感じる。ルードなベースラインの上に女性蔑視に対するスピーチが朗々と語れる本楽曲をはじめハイクオリティで多様な音楽に乗せて発信する彼らが感じる現代社会へのメッセージを改めて記憶に留めたい。

「6」
THE 1975 - 'Frail State of Mind'

今年のサマーソニックにおいて鬼気迫る圧倒的なパフォーマンスでロックとはなんたるかをまじまじと見せつけたTHE 1975がニューアルバムリリースを控え、先行リリースした本楽曲。ポストダブステップ然としたガラージビートに乗せて漂うなアコースティックなギターフレーズとフロントマンであるマシューのボーカル変化しながら颯爽と走り抜けていく。James BlakeのYMCKを彷彿とさせるような作品を今最も先をいくロックバンドのひとつが放ったことに衝撃と感動を覚える。

「5」
Carpainter - 'O.V.E.R (feat. Utae)'

TREKKIE TRAXの看板アーティストCarpainterによる多幸感溢れるアンセムトラックが誕生。恍惚感のあるシンセフレーズに導かれながら漂うボーカルとUKレイヴ仕込みのブレイクビーツとベースラインがエモーショナルを紡いでいく。The Chemical BrothersのStar Guiter、Swoon。UnderworldのTwo Months Off。はたまた電気グルーヴの虹。そんなクラブ史に残るビックアンセムに肩を並べる響きを持っている。

「4」
Fixate & Double 99 - 'Ripgroove'

勝手なイメージだが2019年最多リワインド回数を誇るのではないかというドラムンベース、ジャングルシーンの一大アンセム。Double 99によるガラージアンセムをオリジナル雰囲気を最大限に活かした形で進化させている。のたうちまわる極太ベースラインと無邪気なまでに刻み込んだブレイクビーツの波状グルーヴで世界中のベースフリークを熱狂の渦に叩き込んだはず。

「3」
Official髭男dism - '宿命'

今年、日本を騒がせまくったバンドのひとつOfficial髭男dismによる甲子園テーマソング。コマーシャルな部分を全て取っ払って客観的に鑑みても楽曲制作のセンスに感動である。フューチャーベース以降のビート構成を軸にポップでありながらもソウルの要素を存分に感じさせるブラスセクション。歌い上げた先にポイントで使われるエフェクトやカットアップを駆使したボーカルアレンジ。終盤の終盤に訪れるワンフレーズだけトラック「抜く」ことでボーカルを最大限に高めて高ぶりを最高潮まで持っていく構成など、書き出せば枚挙に暇がないほどの細かなアレンジの蓄積が素晴らしいクオリティを生み出している。

「2」
Burial - 'Old Tape'

常にアンダーグラウンドシーンの先を行くKode 9が主宰するHyperdubのコンピレーションに収録された孤高の天才Burialによる1曲。イントロから郷愁的でフック抜群のシンセフレーズを叩きつけてくるがここまで明瞭なフレーズをBurialが示してくることはそうなかったように感じる。その後に続くベースラインやボーカルフレーズなど過去作品に比べて総合的に高解像度で輪郭がはっきりしているように感じる。しかしながらビートだけはくぐもっと響きで主張は弱くBurialらしい天邪鬼っぷりをいかんなく発揮している。どこか妖艶で怪しげな雰囲気でありながら安息的な響きも備えておりBurialが見据える次なるサウンドを予見させる楽曲になるのでは。

「1」
The Chemical Brothers - 'Bango'

クラブシーンだけでなくロックシーンからも圧倒的な支持を受ける大ベテラン、レジェンドのThe Chemical Brotehrsが放ったニューアルバムはデビュー当時の彼らのバイブスを失うことなく最高の形で新しく発信されたように感じる。その中でも'Bango'は恐らく今年のDJにおいても最もプレイした曲ということもあり今年のベストトラックとすることにした。代表曲Block Rockin' Beats譲りな強烈にファンキーなベースラインと骨太ブレイクビーツ、飛び交うアナログシンセ、フリーキーでキャッチーなボイスサンプルと当時から変わらぬスタイルを抜群にクールな形で貫いてる。Big Beat Never Die

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