至高の怪作、言葉のいらない約束というEDの魅力について

皆さまは、アニメナルト疾風伝33番目のED、言葉のいらない約束について知っていますか?ナルトのEDでどれが一番いいかという議論では戦争が起こるでしょうが、どれが一番イカれたEDかという議論では恐らくこのEDが真っ先に上がるでしょう。

というのも、見て貰えば分かるのですが、このEDは敵キャラのうちはマダラに焦点を当てたものですが、その内容は常軌を逸したものです。

以下では、このEDの魅力と狂気について語ります。なお、EDの主人公であるうちはマダラというキャラが、ナルトという作品の根幹に関わる重要人物なので、説明をナルト未読勢と既読勢の両者に向けて分けて作ります。


この曲の魅力と狂気(ナルト未読勢向け)


この曲は敵キャラであるマダラが、ニッコニコの爽やかスマイルで手を差し伸べるシーンから始まります。

そして、殺し合い、争ってきた忍世界の歴史がフラッシュ形式で表示され、フラッシュされるにつれて、だんだんと忍という文字が浮かび上がってきます。忍という文字が完成すると、NARUTOの作中で起こった悲劇のシーンが大量にフラッシュ形式で映し出されます。そして、それを穴の開いた木の葉から覗いていたマダラが映し出されます。

そして、その木の葉を捨てると同時に、半裸のうちはマダラが大暴れするシーンが流れます。そして、次々と登場するマダラの素敵な仲間たち。

最後はライバルの柱間との子供時代を映し、力を取り込み異形の姿となったうちはマダラを映して終わりといううちはマダラの不気味さと忍世界の残酷さを描写したダークな演出のアニメーションが、ボーカルの可愛らしい声の前向きで爽やかな歌と一緒に流れるという非常に奇抜なEDなのです。

このEDを始めとして、ナルトのアニメには素晴らしい曲が採用されているので、ぜひ聞いてみてください。また、これをきっかけにナルトという作品に興味を持ってくれると1ファンとして嬉しいです。ナルトは長編の作品なので曲やキャラクターの解説から入るのもありだと思います。

この曲の魅力と狂気(ナルト既読勢向け)


ここからは、作中のネタバレなどを考慮せずにこの曲、そしてうちはマダラというキャラについて僕が思っていることを語ります。

まず、最初の10数秒を始めて見た時、マダラおじいちゃんニコニコ過ぎて笑いました。初手からぶっ飛んでて、これはスゴイEDだなと感じました(語彙力がない)。

歌詞の最序盤「独りじゃないよ 恐れるものなんてないから 行こう、さぁ、目を開けて」まずこれが秀逸ですよね。全ての生ける生物に幻術をかけて、個々の理想、夢の世界に閉じ込め、白ゼツにする(実質的な死を与える)無限月読、人と人の繋がり、歴史を断つこの回避不能の幻術が、皆でかかるから問題ない。一人じゃないよ。さぁ、目を開けて、行こう。夢の世界へ…(^^)(目を開けようが開けまいが関係ないじゃん)というマダラの独善性と無限月読という歪んだ世界平和の歪さをたった十数秒で、純粋な子供の様に笑うニコニコマダラおじいちゃんと一緒に提示してくるんですから。常人のセンスでは作れないでしょう。

やはり……うちはタツヤか?全く、大した奴だ……

続く歌詞の「ぶつかっていた。本当は追い付きたくて」
ここもいいですよね。マダラの親友(彼氏)にしてライバルである柱間との過去と関係性が現れていて非常に良いと感じました。

というのも、マダラは少年時代から埋まらない実力の差、弟と一族を守れず、一族、里の皆から信頼されていない自分とは対照的な柱間に対して、劣等感や羨望をマダラといえど、多少は感じていたと思います。そして、そんな二人の過去と関係性を端的に表していると感じます。

「傷つけ合って つなぎ止める絆ほしくて「ごめん」」

この部分は、先ほどの歌詞と同様に争いつつも、少年時代に柱間と共に語り合い、夢見た子供たちが殺し合いをしなくてもいい集落、二人の少年時代の夢と思い出の象徴たる里について示唆すると共に、子供たちの、人の為の里システムがいずれ里の為に人の犠牲を強いる矛盾を抱えたものであり、自分は「本当の夢」、無限月読による恒久的な世界平和を成す為に、里づくりには、協力、賛同できないというマダラの里システムに対する姿勢を表したものだと思います。

また、「ごめん」という言葉は、この歌詞の部分の直後に流れる忍システムの犠牲者たち、そしてライバルの柱間に対するマダラの言葉の様に感じられなくもないですね。

「忘れないで 信じて待ってて 迎えに行くんだ」

忘れないでの部分では、うちはイズナ、千手板間、のはらリンand少年カカシ、ミナトandクシナ、少年オビトandのはらリン、大蛇丸、干柿鬼鮫、弥彦and長門、長門とその両親、自来也、薬師ノノウandカブト、うちはイタチandサスケ、赤砂のサソリ、はたけサクモandカカシ、猿飛アスマ、日向ヒザシandネジ、分福、うちはイタチと両親、加藤ダンand綱手、尾獣達、二つのクナイ、日向ヒナタ、我愛羅、うちはサスケ、うずまきナルトがフラッシュ形式で流れて来ます。

まるで、マダラが忍システムが生んだ悲劇を忘れないでと言わんばかりの描写ですね(当たり前の様にマダラ自身が仕組んだ悲劇の犠牲者や月の目計画が生んだ悲劇の犠牲者も含まれているんですが、これは……)

「信じて待ってて 迎えに行くんだ」の部分からは、

そして、穴の開いた木の葉から覗いていたマダラが映し出され、穴あき木の葉を捨てると同時に、半裸のうちはマダラが大暴れしようとするシーンは、

木の葉を捨てて(矛盾を抱え、子供たちを戦場に送り、悲劇を生んだ里システムを見限ったマダラを端的に指す秀逸な描写ですね)、今(無限月読で)助けに行く、迎えに行くぞという意味なのでしょう。また、マダラの人生経験から考えると、特にナルト、サスケ、カカシといった戦争による孤児達に対するメッセージの様に感じました。

戦争や悲劇の首謀者、元凶が何を言っているのやらという感じではありますが、里を抜ける際に、柱間に語った「本当の夢の道(争いのない平和な世界)へ行くまでの間…お前との闘いを愉しむさ」というセリフにも表れている様に、戦いを望むと同時に平和を本心から望むうちはマダラという人間の矛盾、二面性を表した秀逸な描写だと感じました。

「勇気の灯火 照らし出せ弱さを」
「傷だって痛みだって 分け合えば平気だ」

この部分はこの曲のサビでもあり、半裸のマダラおじいちゃんが忍連合軍相手に大暴れしているシーンですね。

この部分の歌詞は、あれですね。非常にナルトとサスケを感じさせますね(この曲は元々歌い手の人がナルサスを意識して作ったので当然なんですけど)

「君の背中押す 結んだ約束」

マダラおじいちゃんの素敵な仲間達(オビト、黒ゼツ、白ゼツ)の登場です。なお、オビトには離反され、ラスボスのカグヤ、ゼツのおもちゃのチャチャチャだったんですけどね(結局、後ろに誰も立たせないし、誰にも託さない、独りよがりなマダラの独善性とそれから来る孤独、そして他者とのつながり方、関係性が現れている描写の様に感じました)

この部分の歌詞もナルトとサスケの重たくも切ない友情を表している様に感じますね(マダラと柱間の友情も大概だけど)

「いつだって離れたって 信じられる絆は胸に眠ってる」

十尾を取り込むための印を結び、人柱力になるマダラ、そして、少年時代のマダラと柱間がアップで映し出されます。そして、六道マダラが映し出されてEDが終わります。

胸に物理的に眠っている信じられる絆、柱間ァもイカれていて面白いのですが、

この曲全体を通して感じたのは、この曲は、歌い手の可愛らしい純真な声が、ミスマッチなようでうちはマダラという人間のサイコパスさ、柱間との奇妙で絶妙な友情(クレイジーサイコホモとかいう言い方はよさぬか!!)、忍世界という復讐と悲しみの連鎖を繰り返して来た世界観を表すのに適していて、ミスマッチじゃない。寧ろこのEDの傑出性に寄与しているんですよね。

以上で、うちはタツヤの究極幻術、言葉のいらない約束というEDの魅力についてのオタク早口語りは終わりにします。

最後までご覧いただきありがとうございました<(_ _)>

それと、マダラおじいちゃんについて詳しく知りたくなった方、見返したくなった方は下記動画をどうぞ






 



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