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#3-1どうやって「氷艶〜月光かりの如く〜」という異種格闘技を演出したのか? 〜キャスト・配役編〜

キャスティングも異種格闘技を揃えた

「今回、キャスティングも異種格闘技ですが、そもそもキャスティングって誰が決めるんですか?」


主なキャストは、光源氏/髙橋大輔、朱雀君(後の朱雀帝)/ステファン・ランビエル、弘徽殿女御/荒川静香、松浦/柚希礼音、桐壺更衣&藤壺宮/平原綾香、頭中将/福士誠治、長道/波岡一喜、紫の上/ユリア・リプニツカヤ、朧月夜/鈴木明子、陰陽師/織田信成、咲風/村上佳菜子、桐壺帝/西岡德馬 ほか

それもプロデューサーからの推薦と、僕が提案するのと両方だね。

今回はスケーターと役者の垣根をなくすのが目的だったので、スケート経験がある、もしくは挑戦したい役者をプロデューサーがあたってくれた。そこで挑戦したいと言ってくれた福士誠治さん、「プライド」でアイスホッケーを経験済みの波岡一喜さんがまず決まった。普段から2人は仲が良いと聞いたので、あえて敵と味方に別れ、お互いを切磋琢磨して欲しかったんだ。彼らが演技的にも、技術的にも、全体を見事に支えてくれたお陰で「月明かりの如く」は完成したと言っても過言じゃない。本当に素晴らしい2人だった。

そして、僕から是非とお願いしたのが、柚希礼音さんと、平原綾香さん。ミュージカルでも実力者である二人のファンでね。あまり演出家がファンとか言うのも変だけど、実力が凄いんだ。柚希さんは男役として颯爽として色気もあるし、歌は上手いし、ダンスなど身体能力抜群。退団後、次々と新たな挑戦をしてたし、平原さんは、見事な歌手で、あらゆるジャンルを歌えるし、その歌声は人智を超える世界すら創り出す。月をテーマにした舞台に、彼女の声はどうしても必要だったんだ。もちろん女優としても見事なアンテナを持っていて素晴らしかった。

また、大学の先輩である西岡徳馬さんとはやっと初めて仕事ができ、まさに円熟した役者でこの舞台の芯を作ってくれた。西岡さんは稽古中盤からの参加だったけど、リンク上で第一声を聞いた時、身震いしたよ。いよいよ芝居が本格始動したと。   

それから、声を大にして言いたいのは、アンサンブルだ。全員が朝9時からのリンク上での稽古、午後4時から夜9時までの体育館での稽古に徹底的に付き合ってくれて、このカンパニーの雰囲気を素敵なものにしてくれ、また新たな挑戦を全力投球してくれたのは、彼らがいたからだ。歌と踊り、演技だけじゃない、全員が人間的にも見事なカンパニーだったよ

写真は、アンサンブル・オーディションの様子。経験者の中でも、全てに実力のある方々を選ぶ。演出家自ら、振り付けも考えていた。

プロット作りとキャスティングは同時進行なので、誰がどれに当てはまるかパズルのように決めていき、当てはまらない場合は、変更するということも必要になったそうだ。

一方、プロデューサーは全体スケジュールを考えなければならず、まず宣伝とパンフレット用の撮影も重要で、2018年7月までにプロットをあげ、9月にはメインキャストの衣装を数点用意しないといけなかった。ただ、キャスティングも俳優プロダクション側の返答の時期もそれぞれ違うため、思ったように全員確定とはいかず、予定のスケジュールより、遅れていったそうだ。


高橋大輔は、スケート界の森田剛

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