58分の1〔【嘘大会参加作23】実は私の前世はマリー・アントワネットです。 へのお礼作です〕


パンがなければお菓子を食べればいいのに、なんて言ってない。
首飾り事件も起こしてない。
でもフェルゼンのことは愛してた。
私は池田理代子の絵ほどかわいくもきれいでもないけど、フェルゼンは愛してくれていた。

妹と、仲良くできますか

まで聞いてくれた。
私が首を斬られたあと、しれっと結婚して、おいぼれるまで生きたのでしょうね。
悔しい!
悔しい!
悔しい!
私フランスの国母になんかならなくても良かったのに!

国母だったから出逢えたんだろ?
その辺の女だったら逢えてないはずだ。

この声?

振り向くと、そこには懐かしいフェルゼンがいたのだ。

私が逝ったのは1810年10月16日。
君が刑死した17年後だ。

狩りの落馬とか?

フェルゼンはちょっと笑って首を横に振る。

領民に憎まれて、ボコボコにされて殺された。
奇しくもあなたの処刑日なんだよね。


何…で?


だって…フランス臣民はあんた殺したでしょ?
そうか臣民なんてそんなもんなのかーって思ったらさー、愛しむ気なくなるじゃない。
税キツくして、罰キツくしてたら臣民からものごっつ憎まれちゃってさ。

それでボコボコ死?

カッコ悪い彼氏はやだ?

優しい目で私を見る。
あの頃と全然変わらない、いえ、より慈愛深くなった目で。
さしのべられた手のひらに、この指先を重ねる瞬間まであと、一秒…


おかーさん起きようっ!


飛びついてきた我が子のお布団ダイブで、私の前世ラブロマンスは途切れ、二度と続きは見れなかった。

それもよし。
子は愛し。
マリーもこどもがめっちゃ愛しかったろうね。
私も同じだ。



嘘主↓


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それでも地球は回っている