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杉本亜未原画展VOL2について

 茗荷谷のマンガナイトBOOKSさんで現在開催中の杉本亜未原画展VOL2も開催期間はあとわずかですが、日々見に行ってくださった方の御感想を見て色々思うことがあり、遅まきながら一筆書きます。今回は男性には不人気ですが女性の読者の支持があるアニマルXというSF漫画の原画中心で、ホントに駆け出しの私が必死で描いた、思い出深い原稿ばかりです。男性が妊娠出産する、昨今流行りのオメガバースの始祖と言われた事もありますが、話の主軸はそこではないので、色々お好きな方向で読んで頂けたらと思います。原画展をするには私はとくに絵が上手いというわけではないので、お恥ずかしい限りですが、やはり他の先生の原画展に伺うと、その時にしか描けない漫画家の魂の記録だな、と感じて、私のつたない絵でもそれを感じて戴けたら、と思います。とくにアニマルXは最初の『荒神の一族』連載が終わった頃、当時、脳内出血と言われましたが意識不明になり救急車で運ばれそのまま入院、当時の編集長がお見舞いにも来なかったことを私でなく他の作家が怒ったり、まあいろいろこじれたため他誌で続きを描くことになりました。続きの『原始再来』は出足は良かったものの本当に人気が無く、当時の担当編集さんにがっかりされてため息まじりに『アニマルXで売れた時期ってのもあったんだなぁって感じ』と言われたりで、いろいろ踏んだり蹴ったりの私の漫画履歴です。たまにふと、じゃあ描かないほうがよかったのか、私のしたことはムダだったのかなと考えることがありましたが、最近そうではないな、描かないより描いた方が良いなと思うようになりました。まず今回の原画展、そして復刻版が発売された事、なつかしんでくれた方、復刻版ではじめてアニマルXを知った若い読者の方とお話しできたことなどです。さらに 『アニマルXで売れた時期ってのもあったんだなぁって感じ』という担当さんのセリフは物語に合わせてカスタマイズし『独裁者グラナダ』でグサッときた一言として使用。だから傷つくこともムダじゃないんですね人生。漫画の世界はいま本当に厳しい状況で、読者はより簡単で考えなくてすむものに流れていきがちだけれど、やっぱり私は自分の愛したかたちの漫画を描いていきたい。そしてそれを見てた人に、何かを感じて欲しいのです。是非原画展にいらして、心に何かを刻んでくださいね。

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