ぐらしあすの「精神保健指定医の資質と人格と権限行使について」

ググってみたらこんな文言がありました。

「精神保健指定医」とは、法に基づいて重症の精神障害患者を強制入院、隔離などの行動制限、措置入院者の退院の判断をする、患者の人権に関する権限を持つ医師のことです。 精神科医療の現場では、治療上、患者の行動制限を行わざるをえない場面が多々あります。

今から15年ほど前に、ぐらしあすは某精神科クリニックに努めていた。
そのクリニックのドクターは思慮浅く、指定医としての権限を振りかざし、上司としてもオーマイガー的ドクターであった。

精神保健福祉士としての僕に対して、ケーズワーカーは支援に対して考えずにすぐに体で動け、考えるのは医師であると言い切ったので、ぐらしあすはとうとう愛想を尽かして退職した。

ある男性(50歳代 統合失調症)のKさんがいた。
生活保護を受け、最低限の生活をして、彼の家は4畳半一間、風呂なしトイレ共同のアパートでつつましやかに生活していた。

陽のあたらないあの陰鬱としたアパートの一室にたたずむ彼の姿と、彼がおごってくれて一緒に飲んだ缶コーヒーの味は未だに忘れられない。

静かに誰にも迷惑をかけず暮らしていた。
夜に睡眠薬を飲んで王将に行き、そこで餃子の皿を落として割ってしまい、翌日一緒に店に謝罪に行く程度であり、孤独な人だった。
受診は確実に定期的であり、ドクターも状態像を把握していた。

彼にはいろんなエピソードがあって、今どうされているんだろうかと時折思い出すことがある。

ある日、彼が急にお腹の調子がひどくなり、嘔吐し始めた。
ぐらしあすはその時、たまたま上司のドクターと連絡が取れず、119番で救急搬送を依頼し、同行して総合病院に向かった。

結果イレウスで即入院。知らぬまま放っておいたらあっちの世界に逝ってしまっていたかもしれない。

精神科の処方薬の内容によるが、便が固くなることがあるので、一緒に酸化マグネシウムなどの下剤も処方されることが多い。

本当にイレウス(腸閉塞)は重篤となりうる。

そのKさんが無事退院し、今よりも少し環境の良い(風呂トイレあり)のアパートに引っ越しの段取りをして引っ越しができた。

引っ越しに際して、支援者であるぐらしあす、保健所担当者、役所担当者などが集まり支度した。
つまり、一人ではなく、関わる多くの関係者がその人をその地域で支援する。

引っ越しして暫くして、ぐらしあすにとって忘れられない出来事があった。

Kさんが症状により無為自閉、陰性状態となり家に引きこもり始めた。
何度も言うがその状況により、栄養管理の問題はあるが、近隣への迷惑はかけていない。
また、毎日訪問看護で様子観察という方法もあり。

ドクターはぐらしあすとナースを連れてKさんの家に行き救急隊を呼んだ。
緊急入院させる状況にあったのか否かはいまだに疑問が残る。

救急隊が到着して、ストレッチャーに乗せようとするが、Kさんは激しく抵抗し、救急隊の首からかけている身分証を噛みながら必死の形相で、ついに救急隊がこのままでは搬送できないと告げると、ドクターが私が責任を持つと言い、ナースに指示して強引に鎮静剤を注射した。
ぐらしあすはドクターの主観的(ドクターは一人だけだった)行動に何もすることができず、ことが進むのを静観するしかなかった。

鎮静剤を打たれてからKさんはおとなしくなり、ストレッチャーに乗って、救急搬送されることになる。救急車に同乗して搬送された某精神科病院に状況を伝え、Kさんの様子を見るのはぐらしあすだった。

あの時あの瞬間、強引にKさんの家に行き、力で抑えながら鎮静剤を打ったナースと、傍らに立っていたドクターの語気や動き、そしてKさんの悲鳴のようなうめき声が忘れられない。

せめて自分のクリニックに連れていき様子観察や、家族への連絡等は考えなかったのか。

本当に精神科医は資質と力量と、患者の立場にたって真剣に考えることの出来る人格者か否か、さまざまぐにゃぐにゃそれぞれであると痛感した。


ディプレッションまっさかり。ぐらしあすの「こころの声」を中心に、自分が体験したことや、時折感じる何のエビデンスもない、主観の記事も徒然に書いていきたいとおもいます。よろしくおねがいします。